ワインに限らず、どの世界でも「変遷」があります。
最近よく使われる「冷涼な」とか「酸に支えられた」「スマートな」ワインが優勢で、それまでの「完熟な」「アルコールが高く」「酸の少ない(少なく感じる)」「樽が効いた」ワインが姿をくらますかのような印象です。
例えば「冷涼」とか「酸に支えられた」ワインはマロラクティック醗酵(MLF)と呼ばれる「リンゴ酸を乳酸に変える」行程を経ないか、あまりしないか、と言う風に言われます。また「小さな新樽を避ける」こともあります。
20年前=2003年は110年ぶりの猛暑で葡萄の本来の酸が失われ、多くのシャルドネ生産者はマロラクティック醗酵を回避していました。
これは偶然の条件によるものです。
現在は生産者の意図で「ノンマロラクティック」を造っていると言います。
「偶然」と「意図して」では大きく違いそうですが、しかし、考えてみれば世界中の猛暑は「MLFなんてやっている場合じゃない」とも言えますから「偶然から生まれた必然」なのでしょうね。
もう一つの要因はファッションでも音楽でもそうである様に「流行は巡り巡る」のです。
80年代にワイン専門誌で「シャルドネが消えた夏」という特集があって「重い」「樽の効いた」ワインを敬遠する向きがありました。
しかし、いつの間にか元に戻り、また今「冷涼」なのです。
私の予想では今回は長引きそうかな、と・・・
それは世界中で経費の高騰が続いていますので、高価な「樽」とか「手間と時間」を避けなければならないなら、「MLFも新樽も使わない」と考えるのではでは、という見解です。
あ、すべての生産者が、と言うことはないと思いますが・・・
そむりえ亭の様に「バラエティ豊かなグラスワイン」で攻める場合、片方に偏られるのは残念で、できれば双方が混在していることを望みます。
かっこよく言うと「多様性を認めろ」です。
さて今日はどんな傾向のワインを使おうか?
皆様も現場でお試しください。
樋口誠