ダイニング・ウィズ・ワイン そむりえ亭

料理にワインを
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 樋口誠

ワイン造りの「意図」と「偶然」、そして「巡り」

2023年07月13日 02時08分27秒 | ワインの事
ワインに限らず、どの世界でも「変遷」があります。

最近よく使われる「冷涼な」とか「酸に支えられた」「スマートな」ワインが優勢で、それまでの「完熟な」「アルコールが高く」「酸の少ない(少なく感じる)」「樽が効いた」ワインが姿をくらますかのような印象です。

例えば「冷涼」とか「酸に支えられた」ワインはマロラクティック醗酵(MLF)と呼ばれる「リンゴ酸を乳酸に変える」行程を経ないか、あまりしないか、と言う風に言われます。また「小さな新樽を避ける」こともあります。

20年前=2003年は110年ぶりの猛暑で葡萄の本来の酸が失われ、多くのシャルドネ生産者はマロラクティック醗酵を回避していました。

これは偶然の条件によるものです。

現在は生産者の意図で「ノンマロラクティック」を造っていると言います。

「偶然」と「意図して」では大きく違いそうですが、しかし、考えてみれば世界中の猛暑は「MLFなんてやっている場合じゃない」とも言えますから「偶然から生まれた必然」なのでしょうね。

もう一つの要因はファッションでも音楽でもそうである様に「流行は巡り巡る」のです。

80年代にワイン専門誌で「シャルドネが消えた夏」という特集があって「重い」「樽の効いた」ワインを敬遠する向きがありました。

しかし、いつの間にか元に戻り、また今「冷涼」なのです。

私の予想では今回は長引きそうかな、と・・・

それは世界中で経費の高騰が続いていますので、高価な「樽」とか「手間と時間」を避けなければならないなら、「MLFも新樽も使わない」と考えるのではでは、という見解です。

あ、すべての生産者が、と言うことはないと思いますが・・・

そむりえ亭の様に「バラエティ豊かなグラスワイン」で攻める場合、片方に偏られるのは残念で、できれば双方が混在していることを望みます。

かっこよく言うと「多様性を認めろ」です。


さて今日はどんな傾向のワインを使おうか?

皆様も現場でお試しください。


          樋口誠

二つの夏

2023年07月13日 01時23分06秒 | 日記
夏は色々想い出があるものです。

例えば1977年の夏。

ちょうど今頃の時期に私はホテル学校の「夏の研修」と称して京都のホテルに行くことになりました。
「ここが寮だ」と地図を渡されJR(この頃はまだ「国鉄」でした)向日町駅に向かいます。

そこから「開かずの踏切」でイライラするほど待って、そして重いスーツケースを引きずって寮を探します。

「暑かった」事しか思い出せないくらいです。

昨今の熱波と比べようもありませんが、気象庁のデータでは「1977年7月、京都」は35度以上が5回。

私の「もっとも暑いと感じた夏」でした。


そして2007年の8月。

インポーターさんの招待でオレゴン・ワシントンのワイナリーツアーに出掛けました。

殆どの行程は朝から晩までワイナリーです。

しかし、ワシントン州シアトルでは素晴らしい機会を与えて頂きました。

昨日、日本時間では朝のMLBオールスターゲームで紹介されていたマリナーズの本拠地「Tモバイルパーク」

その頃は「セーフコスタジアム」と呼ばれており、そこで「マリナーズVSホワイトソックス」を観させていただけたのです。

イチローさんと城島さんがマリナーズ、井口さんがホワイトソックス。

そしてイチローさんは5打数3安打、そのうち一本は三塁打。

熱狂しました。

いや、その成績も思い出ですが、メジャーリーグでの観戦マナーが素晴らしく・・・

そして、そのツアー途中で知った「サブプライムローン問題」が「ダメ押し」となり、ホテルからの独立決意に至ったのです。

ある意味、セーフコスタジアムとその近くにそびえる「スペースニードル」は私にとっての記念碑です。

あ、私、野球ファンではありません💦


二つの夏。

良い思い出です。


しかし、夏はそれだけではありません。

来月の今頃は78年前に思いを馳せたいと思います。


          樋口誠