最近「うす旨」と言う表現がよく言われます。言葉通り「うすくて旨い」ワインのことです。
といっても何でもかんでも薄ければ良いと言うことではありません。ピノノワールの色が薄いものに関して使われます。
しかし、この言葉に裏には「色が濃いほうが普通は美味しい、と思われている」という事があります。確かに色の濃いワインで有名でしかも美味しいワインは沢山あります。カベルネ系、シラー系がそうですね。
しかし、色は味を現す重要なものではありません。確かに参考にはなりますが、例えばこういう事があります。果汁の薄い場合、果皮の色素が溶け出しやすい。或いは不要な要素が入り込みやすい。つまり味の薄いワインの方が色が濃い、バランスが悪いと言うこともあるのです。
逆にしっかりした果汁だから色素が溶け出しにくい、旨味があるから他の要素に負けない、のです。
ピノノワールは基本的に色素が少ないわけで、それを理由に「ピノは味が薄いワインだから・・・」とか決め付けたりするのは勿体無い話です。
アルコール、酸、ミネラル、そしてなんと言っても香りの要素、ピノには「旨い」と言わせる要素がたっぷりです。ピノが「料理無しでもいけるワイン」と言われるゆえんです。勿論、どんな葡萄のワインでもお値段相応に薄い場合も濃い場合もありますが・・・・
そむりえ亭的には「料理無しでも・・・」は困るのです。お料理と一緒にお願いしたいのですが、良く熟してしなやかさを備え香りが開いたピノの場合、それだけでも「うっとり」と言うのは認めざるを得ません。
「うす旨」、誰がつけたか、真実を突く言葉ですね。