「部活の発表会があるけど、来る?」
あまり愛想がいいとは言えない長女が誘ってくれた。
彼女らしい表現だ。 高校時代から始めた電気が必要なギター。中学の合唱コンではソロパートを引き受けていた。大学に進学して、入ったサークルは言わずと知れた‘軽音部’
というわけで秋の学祭シーズンでライブコンサートに参加するというのだ。
2年生の時に一度誘ってくれて聴きに行った。いろいろあった彼女も4年生。これが最後だ。
この娘はセンターの申込みをしたとたんに高校を不登校になり、それから不安な一年を過ごした。
そしてそんな彼女を受け入れてくれた今の大学。本当にありがたかった。
ただ、この大学、東京の家からめちゃくちゃ遠い。楽に2時間かかる。4年間よく通ったと感心する。
さて娘の雄姿を観に行きたいけれど、往復4時間の道のりを一人で行くのがつらかったので、
ほかの子どもを誘ってみた。あいにく次女はやはり学祭でサークルに顔を出さなければならなかった。
長男が「帰りは大学に回るから、往きだけ一緒でいい?」と言ってくれた。
彼の大学も学祭で、何でも後輩がミスターコンテストに出たから一票入れに行かなければならないのだそうだ。
長男の大学は長女の大学と方向的には同じだ。我が家からは少し角度が違う。
途中の駅から横に動くというのだ。
で、無事に・・・
この雄姿を目に焼き付けてきました。
この娘は苦労ばかりだ。だけれど、こういう時間もつかんでくれた。
4年生だというのに就活もしていない。どうするんだか・・・・・・でも、もうこの娘が学校に行けずに苦しんでいた
あんな辛い姿を二度と見たくない。
自分で考えて、自分で選んで、自分で幸せはつかむんだと進んでほしいと思っている。
生きている限り、娘を見守る覚悟は父も母もできている。
「卒業式、行ってもいいか?」親ばかで子煩悩な旦那がこっそり聞いたらしい。
ある日、娘が私に言った。
「父が来るんなら、袴着てみたいんだけれどどうしたらいいの?」
なんかあると 「大学やめる!」 と親を脅してきた娘が、と少し驚いている。
いい時間を過ごせたんだろう。そして、これは彼女なりの感謝の気持ちなんだろう。