駿台コロンバス校です。
先週教えたはずのことを次の授業で生徒に聞くと、きれいさっぱり忘れているということはよくあります。
自分自身もやることを忘れてしまったり、人の名前やその場面に相応しい言葉などが出てこなくて嘆くことも多くなってきました。
「もっと記憶力が良かったら」と誰でも思ったことがあるかもしれません。勉強も仕事も上手くいき、人生はバラ色モード。
しかし、見たこと聞いたこと、体験したことすべてが記憶に残ってしまったら本当に幸せなのでしょうか。
「サヴァン症候群」という、色々なものを記憶する特殊な才能があります。電話帳の数字をすべて記憶したり、一度聞いた音楽を完璧に再現できたりします。これは記憶力が異常によい「能力」かもしれませんが、忘れるということのできない「障害」という捉え方もできます。
考えてみれば、人生いいことばかりではありません。嫌な経験、ひどい体験をしてそれがずっと忘れられずに鮮明に残り続けたら、常に苦しい状態のままでしょう。人間はまさに忘れることができるからこそ、明るい未来を描いて希望をもって生きていけるのではないか。
だから、勉強の内容を忘れる生徒に腹を立ててはいけません。記憶力が低下して老化した自分を嘆きすぎることもないのです。生徒にはもう一度教えればいいし、自分が忘れそうなことはメモして乗り切ります。忍耐と繰り返し、また道具の活用が肝要です。
『よい記憶力は素晴らしいが、忘れる能力はいっそう偉大である』 エルバート・ハバート
駿台コロンバス校 D.A.