文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

エネルギーと技術 地熱発電 …日経新聞9月8日23面より

2011年09月08日 14時48分56秒 | 日記
国立公園の開発規制緩和が必要

地熱発電は地中のマグマによる熱を蒸気の形で地上にくみ上げ、タービンを回転させて電力を得る発電方式である。他の再生可能エネルギーと異なり、天候に左右されず安定してエネルギーを供給できる。

自然エネルギーを利用した発電所では水力に続いて実用化の歴史が長く、1966年に運転を開始した松川地熱発電所(岩手県八幡平市)が最も古いものである。

日本は複数の火山帯があるため豊富な地熱資源を持っている。電力の潜在的な供給量は大きいものの、2000年以降に新設された地熱発電所はなく、合計53万キロワットの設備容量にとどまっている。また、地熱発電所は東北電力と九州電力の管内に偏在している。

計画から発電開始までに必要な期間が長く、維持管理に費用がかかることから現在の発電コストは1キロワット時当たり約20円である。ただし再生可能エネルギーのなかでは比較的安い。

資源エネルギー庁の研究会は2020年ごろには条件の良いところで1キロワット時当たり10円を実現することも可能と報告している。設備容量として20年に119万キロワット、30年に188万キロワット以上を期待できるとの調査結果もあり、利用の促進が期待される。

コスト以外に地熱発電の開発を制約しているのは、国立公園などの開発規制と温泉事業者からの反発である。日本では地熱発電所の立地候補の80%以上が国立・国定公園内にある。また、温泉事業者は地熱発電用の井戸を掘ることで温泉が枯渇するのではないかと強い不安を抱いている。

国立公園などの開発規制を緩和し、温泉事業者に対しては計画当初から十分に情報公開するなど理解を得るように努力することが必要である。

浅い地盤のなかに存在する低温の熱エネルギーは「地中熱」という。地下10~15メートルの深さでは、地中の温度は年間を通して一定でその地域の平均気温と等しくなる。外気温と地中温度の差を利用する冷暖一房や融雪のシステムが既に存在しており、その利用推進も期待されている。

(早稲田大学教授 松方正彦)

超円高と日本経済②…日経新聞9月8日23面より

2011年09月08日 14時41分13秒 | 日記
竹中 正治 龍谷大学教授

…前章からの続き。

米連邦準備理事会(FRB)は8月9日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で、景気回復の勢いが弱まっていると判断し、現在の超低金利政策を「少なくとも13年半ばまで継続する可能性が高い」と表明した。

FRBの方針の通りならば、今の円買いの動きは震災直後に起きた短期的で投機的な動きとは異なり、一定の合理性を持っている。現在の為替相場は購買力平価からみて円高に行き過ぎているが、目先1~2年は円高が持続する可能性が高いと覚悟した方がいいだろう。

そう考える理由は、日米のインフレ率を勘案した実質金利格差にある。
米国のインフレ率は消費者物価指数(CPI)総合(7月時点、前年同月比)でみて3・6%であるのに対し、日本はO・2%だ。つまり日米間には3・4%のインフレ格差があり、前述のように長期的には円高・ドル安要因となる。さらに短期金利は日米ともほぼゼロであるため、投資家が短期のドル資産を保有しようとする名目金利上のインセンティブ(誘因)は乏しい。

中期的な相場環境を振り返ると、03年以降、日米の実質金利格差と円ドル相場の間にはある程度の相関関係がみられる(図参照)。

図の横軸は米国の短期金利(フェデラルファンドレート翌日物)と日本の短期金利(コールレート翌日物)をそれぞれ日米のインフレ率(CPI前年同月比)で調整した実質金利格差で、プラスはドルの実質金利が円より高いことを示す。

縦軸は円ドル相場の前年比変化率 (6ヵ月移動平均)で、プラスはドル高への変化を示す。
図の点は03年1月から11年7月までの各月の分布を示しており、右肩上がりの分布になっている。つまり日米の実質金利格差が拡大するとドル相場は上昇し、格差が縮小するとドル相場は下落するという相関関係がみられる。両者の相関係数はO・65、決定係数はO・43である。

これは実質金利格差の変化↓為替相場の変化という因果関係を前提に、円ドル相場の変化の43%は実質短期金利格差で説明できることを意味している。

こうした相関性は長期でみると相関係数がマイナスの時期もあり、安定的ではない。要するに、このアプローチの有効性は中期であり、いずれ相場環境の変化(=相関性の変化)により有効性を失う局面が来る。

ただし興味深いことに80年から各時点5年単位で計ると、上下動しながらも、相関係数が上昇傾向にある。03年以降現在までは、過去30年間で最も相関性が高くなっている。金利感応度の高い円キャリートレード(円借り取引)の持ち高の増減が次第に大きな相場要因になってきたことが理由かもしれない。

現状はドルの実質金利がマイナス3・5%、円かマイナスO・2%で、ドルの方が3・3%も低い。図でみると、左下の領域(実質金利格差マイナス、ドル相場の変化マイナス=ドル下落)にある。左上の領域にはほとんど分布がないので、実質金利格差がマイナスのままドル相場が前年比で大きく上昇する可能性は低いことを示唆している。

これは病み上がり状態の日本経済にとっては困ったことだ。震災からの生産面の復旧は比較的速やかに進んだが、需給ギャップをみると依然として大幅な需要不足である。外需が伸びるとともに多少円安に戻れば、輸出の増加で需給ギャップが埋まり03~07年のような景気の回復が期待できるが、円ドル相場は実質で円か割高な状態が今後1~2年続きそうな状況にある。

長期では購買力平価に回帰するとはいえ、経済政策では経済環境の過度な変動を回避することが重要だ。政府・日銀にはデフレ・円高を抑制する市場介入と金融緩和政策が求められる。大きく円安に反転させることは難しいとしても、一部の投資家が外貨資産の投げ売りに走った95年のようなパニックを阻止できる可能性は十分にあるだろう。

一方、民間企業にとっては今の円高は海外で事業や企業を安く買収できるチャンスでもある。

投資家にとっても債券に比べて長期的に高い収益を期待できる海外株式への分散投資のチャンスであろう。行き過ぎた円高という本来あるべき相場水準からの乖離をチャンスに変える「アニマルスピリッツ」が日本人に求められているといえよう。

超円高と日本経済①…日経新聞9月8日23面より

2011年09月08日 13時05分02秒 | 日記
竹中 正治 龍谷大学教授
たけなか・まさはる 56年生まれ。東京大経卒、旧東京銀行へ。国際通貨研究所を経て09年より現職

中期の継続前提に対応を 実質金利、米国と開き
長期では海外投資の好機


・購買力平価でみると円高は約15%行き過ぎ
・米国の超低金利政策継続で円安反転難しく
・デフレ・円高抑制へ市場介入・金融緩和カギ


歴史的な高値を更新した円相場について「米国債の格下げやユーロ圏の政府債務の信認危機で、欧米諸国の状況が深刻化している。そのため消去法で円か買われている」という解説がメディアでは一般的だ。しかしこの説明で納得できる人は少ないだろう。

為替相場の10年以上の長期変動については、通貨の「モノを買える価値」を示す相対的購買力平価原理で最も適切に説明できる。高インフレはその通貨の購買力低下を意味するので、ある時点を起点に計ると、高インフレ通貨は低インフレ通貨に対しインフレ率の格差分だけ名目為替相場が下落すると考えるものだ。
  
国際的な資金移動が急増し始めた1980年代には、短期・中期の為替相場変動を説明できず、同原理が廃れた時期もあった。変動相場制下での長期の時系列データが蓄積するにつれ、為替相場は短期・中期では購買力平価から大きく乖離(かいり)することがあるが、長期では購買力平価の水準に回帰することが実証されるようになった。

国際通貨研究所のホームページにあるように、相対的購買力平価と名目為替相場を重ね合わせた図をみると、そうした変動パターンが視覚的に理解できる。

これを理解していれば、2006年前後の円安局面で「高金利(高インフレ)通貨に投資すれば収益を上げられる」「日本経済は長期的に低成長だから為替相場も長期的な円安傾向となる」といった根拠のないセールストークに誘われて高金利の外債に投資する投資信託を買って、その後の円高で大損することも回避できただろう。

要するに相対的購買力平価原理に基づけば、デフレ下で円高が進むのは必然である。とはいえ、現在の為替相場が円高に行き過ぎていることは確かだ。「実質為替相場」の概念で考えてみよう。

名目為替相場が相対的購買力平価からどの程度乖離しているかを指数化したもので、長期では一定の水準に回帰する傾向を示す。今の円ドル相場(1ドル=76~77円台)は73年起点の実質相場指数(企業物価ペース)の平均値から約15%円高方向にずれた水準にある。

行き過ぎた円高はいつ是正されるのか。購買力平価から乖離する短期・中期の為替相場の変動については、どのように理論モデルを工夫してもマクロ経済的な変数では一貫した説明はできないことが学問的に認識されている。

その結果、90年代以降は外国為替市場のミクロ的な構造(マイクロ・ストラクチャー=市場参加者の異なる行動特性、情報の不均一な広がりなど)に注目するモデル化か試みられている。

ただ、相場の基礎的条件からの乖離が速やかに調整されず中期的に持続する理由や、乖離と回帰が繰り返される原因など、短期から長期までの為替相場の変動を包括的に説明できるマクロとミクロを統一した理論モデルはできていない。

長らく外為取引業務に携わった筆者の経験に照らせば、標準的な経済理論が想定する合理的な市場参加者は、名目金利格差は為替相場の変動で長期的に相殺されると考えて行動するので、「高金利通貨ブーム」などは起こり得ない。

しかし現実の市場参加者の合理性は不完全で、名目金利格差が注目され、他者に同調する傾向も強いため、高金利通貨投資のブーム(円安)とその破裂(円高)が繰り返されてきた。これをモデルで一般化するのは難しいようだ。

ただ、一定の相場環境を与件とし、経験則に基づいてある程度の蓋然性で中期的な見通しを立てることはできる。現在の円高の原因と中期の見通しについて考えてみた。

…以下続く。

徹底研究 「松下政経塾の罪と罰」②…週刊朝日9月9日号より

2011年09月08日 11時11分12秒 | 日記
…前章からの続き。

最近の卒塾生には、横のつながりの意識は希薄だという。「同じ釜の飯を食ったという思いがあるのは、5期生ぐらいまでじゃないですか。その時期の方々は幸之助氏の教えを熱く語り、後輩というだけで、すごく面倒を見てくださる。最近は途中で選挙に出るヤツも多いし、横のつながりは感じない」(前出の政経塾OB)

99年から政経塾関係者の取材を続けている出井氏は、初期の卒塾生たちの言葉には、確かにロマンを感じたという。
「新党ブーム以前の塾生たちは、リスクを取って入塾してきました。いい大学を出たのに、海のものとも山のものともわからない政経塾に入った彼らは、何もないところから成り上がってやろうという革命志向集団でした。

選挙運動でも、山田宏・前東京都杉並区長(2期生、現日本創新党党首)は六本木の交差点でラグビージャージに身を包み、タックルを繰り返しました。野田氏は地元の駅前で13時間のマラソン演説をやり抜きました。こういう気概や破壊力が今の政経塾にも卒塾生にも感じられない。政経塾は単なる選挙予備校になってしまいました」

しかも、90年代後半から、清廉なイメージがあった政経塾出身の政治家にもスキャンダルが目立ち始めた。中でも底の浅さが露呈したのが06年、民主党の「偽メール問題」だった。

同党の永田寿康衆院議員が、武部勤自民党幹事長とライブドアの堀江貴文社長(肩書はいずれも当時)との不適切な交際を追及した。だが、その根拠となるメールの真偽が疑われていた段階でも、党代表だった前原氏は「国会での議論を楽しみにしていただきたい」と言い張った。国対委員長だった野田氏も国会での質問を許可した。

結局メールが虚偽との結論が出て、前原氏と野田氏は辞任。永田氏は後に自殺した。

前出の江口氏は、外的要因も絡み、卒塾生が“劣化”したと指摘する。「政経塾は保守の思想に基づいていますが、保守政党の自民党は上下関係や徒弟制度を重んじていたため、卒塾生を生意気だと毛嫌いし、受け入れてくれなかった。

その結果、卒塾生には民主党という選択肢しかなくなった。革新系が多い民主党の中で、彼らも自己矛盾を感じたはずですが、しだいに“朱に染まって”しまったのでしょう。

今や松下の『国民第一』の哲学は見る影もなく、組織の中での『出世第一』松下は『税金は安く』と口が酸っぱくなるほど言い続けたのに、野田は増税を叫び、前原は独断専行で、上から目線の政治家になってしまった」 出井氏も苦々しい表情でこう語る。

「幸之助が世界に例のない『政治家養成機関』を立ち上げたのは、数多くの政治家を育てたかったからではない。一人でも本物の政治家を生み出して、日本の危機を救いたいと思ってのことでした。設立から30年以上がたち、国の危機は深まるばかりだが、いまだ『本物』は現れていない。幸之助も、あの世で嘆いているのではないか」

そうした現実を理解しつつも、元政経塾塾頭の上甲晃氏はかすかな期待を寄せる。

「卒塾生の根っこには、松下幸之助のDNAはあると思うんです。代表選後は原点に立ち返り、日本の道筋を示してほしい。それができずに国民の期待を裏切れば、政経塾は命運尽き果てたということになるでしょう」

たった一人で構わない。日本を変える本物の政治家を生み出したい。新総理の下で、幸之助氏の思いは、達せられるのだろうか。

本誌・篠原大輔、國府田英之、山岡三恵

今朝、芥川が食事をとりながら流した音楽。

2011年09月08日 09時18分28秒 | 日記
今朝、芥川が食事をとりながら流した音楽、日本の最高傑作の一つ、YAMAHAのキュービックスピーカーを通して流した音楽は、これはもう絶対的にボブ・ディランの「ライク・ア・ローリングストーン」だった。それは、理由も説明もいらないぐらいに、この曲だったのである。

思うに、日本のみならず、世界の政治がパッとしないのは、為政者が音楽というものと共に生きていないからではないだろうか、と芥川はふと思いもしたのだ。
きっとその原因はヒトラーがワグナーをあのように使ったからなのだろうが、

本来は…古今東西、為政者というものは、すべからく、音楽に造詣が深かっただけではなく、様々な局面や行事に於いて、音楽を奏でたものではなかったか。

当方のemperor-banzai-fascismには、おおよそ音楽は無く。

芥川の周囲にいた人達はよくご存じのように、芥川はずっと言い続けてきたのだった…大阪を再生するのはもはや大阪人などではないと。梅田という土地の地力が大阪を再生するのだと。
しかるに、今、痴呆テレビ上がりの2人が市長、府知事となって、喧喧諤諤、様々な事をやっておるわけだが、

芥川が一つ言えば、大阪再生と君が代云々は何の関係もない。

大阪再生と教育は韓国に学ぼうなどというのは何の関係もないだけではなく、これ以上無い位、愚かな事だと言っても過言ではない。

○○市長などは、最初から、大阪再生には何も関係がない。 

事はそういう事なのだ。

これはマスメディアと本人の深い自省の文章だろう。…週刊朝日9月9日号より

2011年09月08日 08時37分53秒 | 日記
田原総一郎のギロン堂

新首相よ、「国民に嫌われる覚悟」はあるか  

8月29日に民主党の代表選が行われる。この原稿が活字になって店頭に並ぶときには、既に新代表は決まっているはずだ。

8月8日発表の朝日新聞の世論調査では、民主党の支持率は14%、自民党は19%で、毎日新聞(8月22日発表)の調査では民主党13%、自民党22%となっている。このままの支持率で総選挙が行われれば、民主党は確実に惨敗する。

いま代表選に手を挙げている中で、支持率を上げられるような政治家はいるだろうか。

実は、昨年の尖閣諸島沖での漁船衝突事件、そして3・11の東日本大震災などで、私たち日本人の政治家を見る目は、大きく変わりつつある。国民は戦後日本の欠陥に気づき、その欠陥がどんどん大きくなっていることを理解し始めた。だが、メディアの多くはまだわかっていない。戦後日本の欠陥とは何か。そのことを指摘しておきたい。

第一は、戦後50年以上、日本においてリーダーシップはタブーだったことだ。リーダーシップを発揮する人間は独裁者と見られ、出るくいは打たれた。戦後の首相でいえば吉田茂、岸信介、田中角栄、中曽根康弘などがそれにあたるだろう。メディアが求めるのは「穏やかな話し合い」であり、リーダーシップは論外だった。経営者でも、エネルギッシュな挑戦的人物ではなく、内部の調整が得意な人物が好まれた。

第二は、率直に言えば、外交交渉を事実上放棄してきたことだ。外交交渉とは、戦争以外のあらゆる手段、方策を駆使して国益を確保することである。駆け引き、恫喝、謀略、何でもアリだ。

ところが戦後日本は、衝突を避け、相手国の要求をのむことが外交だと捉えてきた。いわば、無難な付き合いであり、アメリカ、中国、韓国、ロシアなど、どの国に対してもそうしてきた。さもそれが大人の振る舞いであるかのように、である。

第三は、政治家のあるべき姿勢を取り違えてしまったことだ。かつて、竹下登という首相経験者に、私は何度もこう言われた。「国民に好かれたいと願う人間は野党の政治家になれ。政権与党の政治家になるのならば、国民に嫌われる覚悟をすべきだ」

ところが、いまや民主党も自民党も、「国民に好かれたい」と願う政治家ばかりだ。だからこそ、国民に嫌われたくなくて、借金を1千兆円近くも作ってしまったのである。

民主党も国民に好かれたいと思い4年間で16・8兆円の財源を捻出する、米軍普天間基地は最低でも県外に移す、などとウソを重ねた。続く首相も、TPPに加入する、消費税を上げる、上げないなどと軽々しく発言し、支持率をどんどん下げた。

尖閣事件での政府の弱腰な姿勢、東日本大震災での遅きに失した対応などで、国民の多くが長年タブーだったりーダーシップの重要性に気づいた。外交交渉をもっと粘り強くやるべきだと考えるようになった。

国民に好かれたいと願い、世論迎合の政治ばかりやっている連中に任せておいたのでは、この国がどんどん衰退するということが、多くの国民にわかってきたのだろう。国民が政治家に求める資質が大きく変わり、見る目が厳しくなってきたのである。

となると、民主党の候補の中で、誰が代表、首相にふさわしいのか。あたりさわりのない無難なことを述べ、国民の期待を裏切れば、支持率は確実に大きく下がるだろう。