国立公園の開発規制緩和が必要
地熱発電は地中のマグマによる熱を蒸気の形で地上にくみ上げ、タービンを回転させて電力を得る発電方式である。他の再生可能エネルギーと異なり、天候に左右されず安定してエネルギーを供給できる。
自然エネルギーを利用した発電所では水力に続いて実用化の歴史が長く、1966年に運転を開始した松川地熱発電所(岩手県八幡平市)が最も古いものである。
日本は複数の火山帯があるため豊富な地熱資源を持っている。電力の潜在的な供給量は大きいものの、2000年以降に新設された地熱発電所はなく、合計53万キロワットの設備容量にとどまっている。また、地熱発電所は東北電力と九州電力の管内に偏在している。
計画から発電開始までに必要な期間が長く、維持管理に費用がかかることから現在の発電コストは1キロワット時当たり約20円である。ただし再生可能エネルギーのなかでは比較的安い。
資源エネルギー庁の研究会は2020年ごろには条件の良いところで1キロワット時当たり10円を実現することも可能と報告している。設備容量として20年に119万キロワット、30年に188万キロワット以上を期待できるとの調査結果もあり、利用の促進が期待される。
コスト以外に地熱発電の開発を制約しているのは、国立公園などの開発規制と温泉事業者からの反発である。日本では地熱発電所の立地候補の80%以上が国立・国定公園内にある。また、温泉事業者は地熱発電用の井戸を掘ることで温泉が枯渇するのではないかと強い不安を抱いている。
国立公園などの開発規制を緩和し、温泉事業者に対しては計画当初から十分に情報公開するなど理解を得るように努力することが必要である。
浅い地盤のなかに存在する低温の熱エネルギーは「地中熱」という。地下10~15メートルの深さでは、地中の温度は年間を通して一定でその地域の平均気温と等しくなる。外気温と地中温度の差を利用する冷暖一房や融雪のシステムが既に存在しており、その利用推進も期待されている。
(早稲田大学教授 松方正彦)
地熱発電は地中のマグマによる熱を蒸気の形で地上にくみ上げ、タービンを回転させて電力を得る発電方式である。他の再生可能エネルギーと異なり、天候に左右されず安定してエネルギーを供給できる。
自然エネルギーを利用した発電所では水力に続いて実用化の歴史が長く、1966年に運転を開始した松川地熱発電所(岩手県八幡平市)が最も古いものである。
日本は複数の火山帯があるため豊富な地熱資源を持っている。電力の潜在的な供給量は大きいものの、2000年以降に新設された地熱発電所はなく、合計53万キロワットの設備容量にとどまっている。また、地熱発電所は東北電力と九州電力の管内に偏在している。
計画から発電開始までに必要な期間が長く、維持管理に費用がかかることから現在の発電コストは1キロワット時当たり約20円である。ただし再生可能エネルギーのなかでは比較的安い。
資源エネルギー庁の研究会は2020年ごろには条件の良いところで1キロワット時当たり10円を実現することも可能と報告している。設備容量として20年に119万キロワット、30年に188万キロワット以上を期待できるとの調査結果もあり、利用の促進が期待される。
コスト以外に地熱発電の開発を制約しているのは、国立公園などの開発規制と温泉事業者からの反発である。日本では地熱発電所の立地候補の80%以上が国立・国定公園内にある。また、温泉事業者は地熱発電用の井戸を掘ることで温泉が枯渇するのではないかと強い不安を抱いている。
国立公園などの開発規制を緩和し、温泉事業者に対しては計画当初から十分に情報公開するなど理解を得るように努力することが必要である。
浅い地盤のなかに存在する低温の熱エネルギーは「地中熱」という。地下10~15メートルの深さでは、地中の温度は年間を通して一定でその地域の平均気温と等しくなる。外気温と地中温度の差を利用する冷暖一房や融雪のシステムが既に存在しており、その利用推進も期待されている。
(早稲田大学教授 松方正彦)