太陽光を大きく下回る(右下図)。
昨年、孫氏は「本業」である通信事業で、「光の道」構想に邁進していた。
その内容は「15年にブロードバンドを全世帯普及」というもので、当時の原口一陣総務大臣肝いりの国家戦略だ。政権交代前の民主党に、ソフトバンクが持ち込んだ「光の国ジパング構想」が下敷きだと言われている。
昨年4月20日、有識者を集めた同大臣のタスクフォースのヒアリングに呼ばれた孫氏は、「光の道」構想を全面的に支持。「NTTからアクセス回線を所有する新会社を分離すれば、税金ゼロでできると演説をぶった。
その根拠は「メタル回線の維持は3・9兆円。メタル回線を100%光ファイバーに置き換えるコストはたった2・5兆円だから、分離されたアクセス会社の経営は成り立つ」というもの。
しかし3・9兆円は10年問の維持費、2・5兆円は5年間の投資額だから基準が合っていない。
光ファイバーの維持費もカウントされていない。これでは理解を得られるはずもなかった。
タスクフォースのメンバーの一人として、孫氏の矛盾を指摘していたジャーナリストの町田徹氏はこう振り返る。
「バックデータや詳細な説明を求められたソフトバンクは、タスクフォースで8月、11月と2皮にわたり意見陳述を行った。メタル回線の繰り上げ一括償却による初年度の巨額特別損失計上や、アクセス会社に対する政府と通信3社による共同出資など、陳述のたびに説明を追加してきたが、肝心の債務超過リスクを否定できなかった。
国家の基幹インフラを維持管理する企業が債務超過に陥るかもしれないような構造分離を選択できるわけがない」
それでもなお、孫氏ははじめに掲げた「税金ゼロ」の拳を下ろさなかった。テレビCMや新聞広告まで駆使して、執拗に「A案? B案?」(上図参照)と国民に呼びかけ続けたのである。
「孫氏の杜撰な提案で、NTTの分離分割という本質論を議論できなくなった。その責任は大きい」(町田氏)。
8月5日夜、都内。孫氏と、クロービス代表・堀義人氏による公開討論が行われた。脱原発の孫氏と、原発容認の堀氏との間で起きたツイッターの応酬がきっかけだった。
孫氏は、先述の発電コストの図こそ持ち出さなかったが、「原発は、地方への賄賂とも言うべき交付金が令54基で13兆円。今回の事故に伴う賠償金は無制限で少なくとも数十兆円。原発が安価という神話は崩壊した」と強調。「自然エネルギーは高いといわれるが、全量買収で10年後に3500万kW導人しても家庭の電気料金は200円、つまりコーヒー一杯Lがるだけ。8000万kWなら460円だ」とした。
詳しくは次章に譲るが、この説明は「光の道」と同様、比較できない数字を並べている。
発電コストは単位発電量あたりの費用でみる。稼働率が高い原発は、数十兆円の費用増もlkWhあたりでみると数円程度。高く見積もっても原発の発電コストは十数円だ。
逆に、再生可能エネルギーは稼働宅が低く発電量が小さい。3500万kWの再生可能エネルギーの年間発電量は約400億kWh。
日本の総発電量の約4%に過ぎず、3割を担う原発の代替にはならない。
また、孫氏は8000万kW導入時の電気料金上昇を3500万kWから比例計算で求めているが、これは違う。
数千KWを超えて不安定な再生可能エネルギーを導入すると、送電網に数兆~数十兆円規模の投資が必要だからだ。
発電量が小さいためlkWhあたりでは、約5~20円程度の上昇となる。設備の価格下落を見込んでも、発電コストが20円近辺に張り付いてしまう。
原発との比較を恣意的に行って自然…以下続く。
昨年、孫氏は「本業」である通信事業で、「光の道」構想に邁進していた。
その内容は「15年にブロードバンドを全世帯普及」というもので、当時の原口一陣総務大臣肝いりの国家戦略だ。政権交代前の民主党に、ソフトバンクが持ち込んだ「光の国ジパング構想」が下敷きだと言われている。
昨年4月20日、有識者を集めた同大臣のタスクフォースのヒアリングに呼ばれた孫氏は、「光の道」構想を全面的に支持。「NTTからアクセス回線を所有する新会社を分離すれば、税金ゼロでできると演説をぶった。
その根拠は「メタル回線の維持は3・9兆円。メタル回線を100%光ファイバーに置き換えるコストはたった2・5兆円だから、分離されたアクセス会社の経営は成り立つ」というもの。
しかし3・9兆円は10年問の維持費、2・5兆円は5年間の投資額だから基準が合っていない。
光ファイバーの維持費もカウントされていない。これでは理解を得られるはずもなかった。
タスクフォースのメンバーの一人として、孫氏の矛盾を指摘していたジャーナリストの町田徹氏はこう振り返る。
「バックデータや詳細な説明を求められたソフトバンクは、タスクフォースで8月、11月と2皮にわたり意見陳述を行った。メタル回線の繰り上げ一括償却による初年度の巨額特別損失計上や、アクセス会社に対する政府と通信3社による共同出資など、陳述のたびに説明を追加してきたが、肝心の債務超過リスクを否定できなかった。
国家の基幹インフラを維持管理する企業が債務超過に陥るかもしれないような構造分離を選択できるわけがない」
それでもなお、孫氏ははじめに掲げた「税金ゼロ」の拳を下ろさなかった。テレビCMや新聞広告まで駆使して、執拗に「A案? B案?」(上図参照)と国民に呼びかけ続けたのである。
「孫氏の杜撰な提案で、NTTの分離分割という本質論を議論できなくなった。その責任は大きい」(町田氏)。
8月5日夜、都内。孫氏と、クロービス代表・堀義人氏による公開討論が行われた。脱原発の孫氏と、原発容認の堀氏との間で起きたツイッターの応酬がきっかけだった。
孫氏は、先述の発電コストの図こそ持ち出さなかったが、「原発は、地方への賄賂とも言うべき交付金が令54基で13兆円。今回の事故に伴う賠償金は無制限で少なくとも数十兆円。原発が安価という神話は崩壊した」と強調。「自然エネルギーは高いといわれるが、全量買収で10年後に3500万kW導人しても家庭の電気料金は200円、つまりコーヒー一杯Lがるだけ。8000万kWなら460円だ」とした。
詳しくは次章に譲るが、この説明は「光の道」と同様、比較できない数字を並べている。
発電コストは単位発電量あたりの費用でみる。稼働率が高い原発は、数十兆円の費用増もlkWhあたりでみると数円程度。高く見積もっても原発の発電コストは十数円だ。
逆に、再生可能エネルギーは稼働宅が低く発電量が小さい。3500万kWの再生可能エネルギーの年間発電量は約400億kWh。
日本の総発電量の約4%に過ぎず、3割を担う原発の代替にはならない。
また、孫氏は8000万kW導入時の電気料金上昇を3500万kWから比例計算で求めているが、これは違う。
数千KWを超えて不安定な再生可能エネルギーを導入すると、送電網に数兆~数十兆円規模の投資が必要だからだ。
発電量が小さいためlkWhあたりでは、約5~20円程度の上昇となる。設備の価格下落を見込んでも、発電コストが20円近辺に張り付いてしまう。
原発との比較を恣意的に行って自然…以下続く。