文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

ソニー再興の条件 会長が復活宣言 8億台の「接点」生かす …日経新聞9月23日11面より

2011年09月23日 22時55分25秒 | 日記
ソフト・ハードを融合

「大震災やハッカー攻撃など様々な困難があったが、もう終わった話だ」 独ベルリンで開かれた欧州最大の家電見本市 「IFA」。ストリンガー会長兼社長は8月31日の記者会見を“復活宣言”で切り出した。

約6000平方メートルと広大なブースの中心に置かれたのはこの日発表したタブレット。パソコン「VAIO」やスマートフォン「エクスペリア」、携帯型ゲーム機「プレイステーション・ヴィータ」などあらゆる新製品を並べ、映画や音楽などソニーが得意とするコンテンツの利用に便利な機能をアピールした。

「アップルに映画はないしサムスンにミュージシャンはいない。ソニーはすべてを持っている」(ストリンガー氏)。消費者が保有するソニー製品は世界で約8億台。映画や音楽、ゲームなどのソフトは年20億本が売れる。その「接点」を収益に変えることがソニー最大の課題と言っていい。

ストリンガー氏が業績不振に陥ったソニーの立て直しを託されて、会長兼CEOに就いたのは2005年6月。エレクトロニクス部門を中心とするハードの固定費削減に大なたを振るってきた。

海外のテレビ工場などを次々に売却し、製造拠点数は05年の65から直近では42まで削減。コストの安い海外企業への生産委託に切り替えた。短期的な損失発生はいとわず、6年間で5000億円近い構造改革費用をつぎ込んだ。

構造改革進む

部品や材料の調達先は1200社以下へと半減させ、1社あたりの購買規模を増やした。大型の 「ヒット商品」はなくても連結営業利益は11年3月期に1998億円まで回復。12年3月期は「大震災の影響がなければ3OO億~4000億円」 (ストリンガー氏)を見込めたという。

縦割り意識が強い部門間の壁を取り払うことにも腐心した。社内の改革に苦闘する間、市場は猛烈なスピードで変化した。スマートフォン 「iPhone」に続き 「iPad」もヒットさせた米アップルが勢いを加速。交流サイト「フェイスブック」が7億人もの会員を集めた。

「ソニータブレット」の発売で「モバイル機器の世界で欠けていたピースが埋まった」(ストリンガー氏)。だがアップルが多くの顧客を囲い込み、韓国サムスン電子からも1年近く遅れた製品を、どれだけの消費者が受け入れてくれるのか未知数だ。

スマートフォンとそれに続くタブレットの普及は、パソコンや携帯音楽プレーヤー、デジタルカメラといった個々の機能を包含し、従来の市場を取り込む形で成長を続けている。

多彩なデジタル製品をそろえるソニーの強みが、製品開発の効率といった面からみて弱みに転じる可能性もある。

11年3月期に金融は1188億円、映画は387億円、音楽は389億円の営業利益を稼いだ。一方、売上高で全体の7割を占めるエレクトロニクス部門は385億円どまり。主力のテレビ事業は7期連続の赤字だ。

来年2月で70歳を迎えるストリンガー氏は世代交代を強く意識している。

同氏が今年春、「後継者の筆頭」と公言した平井一夫副社長は、「『ソニーらしい製品が出てこない』というフレーズを覆し、『ソニーは変わった』と言ってもらえるような製品やサービスを提供していく」と強調する。
それができなければソニー再興は遠のく。


豊田自動織機 「空気エンジン車」開発 時速129キロ、ギネス申請へ…日経新聞9月23日11面より

2011年09月23日 22時53分38秒 | 日記
文中黒字化は芥川。

豊田自動織機はガソリンや電気を使わず、圧縮空気を動力源にした空気エンジン車「KU:RIN(クーリン)」=写真=を開発した。同社の主力製品で世界シェア首位のカーエアコン用コンプレッサーを使ったのが特徴。

小型・軽量で出力が高く、9月上旬のテスト走行では時速129・2キロメートルを達成した。今後、ギネス世界記録に申請する。

22日、報道陣に公開した。空気エンジン車は、ボンベ内の圧縮空気をコンプレッサーに送り、膨張させて動力源にする。技術力向上を目指す若手社員の「部活動」の一環で、同社として実用化は計画していない。

KU:RINはすべて手作り。3輪の1人乗りで全長3・5メートル、幅O・8メートル。ボディーはカーボン製で、重さを1OOキログラムに抑えた。

開発チームは今後、水中走行ができるタイプの試作も検討しているという。

丸紅、シンガポールで 熱電併給設備を追加受注 総額400億円…日経新聞9月23日11面より

2011年09月23日 22時52分19秒 | 日記
【シンガポール=佐藤大和】丸紅はシンガポールの3大電力会社の一角であるトゥアス・パワーグループから石炭とバイオマス(生物資源)を燃料とするコージェネレーション(熱電併給)設備を追加受注した。受注額は約170億円。第1期と合わせて400億円の大型受注となる。

住友重機械工業や三菱重工業の技術を活用した環境配慮型の新型設備で、丸紅はシンガポールでの受注実績を足場に東南アジア全域での受注拡大につなげたい考え。

トゥアスは新設備が生み出す電気と蒸気を同国の主力産業である石油化学プラントに供給する。第1期の設備稼働は2012年だが、引き合いが好調なため追加の設備増強(14年稼働予定)を決め、丸紅に発注した。

ボイラーを住友重機械から、タービン発電機は三菱重工から調達する。
電力自由化を徹底しているシンガポールの3大電力会社はいずれも外資系で、トゥアスは中国の華能電力傘下。

丸紅は同社と競合する日系セノコ・エナジーの筆頭株主だが、多角的に同国の電力ビジネスに関与してノウハウを蓄積し、より電力需要の大きいアジア各国での収益機会の拡大につなげる狙いがある。

講談社 中国で電子書籍…日経新聞9月23日11面より

2011年09月23日 22時51分31秒 | 日記
来年後半メド合弁会社通じ

【台北=新居耕治】講談社は22日、来年後半をメドに中国で電子書籍事業を始めることを明らかにした。11月に台湾で設立する合弁会社で書籍やマンガを翻訳・電子化し、まず台湾で電子書籍の配信を開始。

合弁会社を通じて中国でも事業化する。国内の出版事業が頭打ちになるなか、中華圏で電子書籍事業を本格化することで収益体質を強化する。

設立する合弁会社「華雲数位」の資本金は5千万台湾ドル(約1億3千万円)で講談社が49%、台湾の出版最大手である城邦媒体集団(シテメディアホールディンググループ)が51%を出資する。

台湾ではシテのサイトを通じて、スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)や多機能携帯端末(タブレット)パソコンなどの端末向けに電子書籍を配信するほか、シテ以外のルートでの販売も検討する。

来年8月までにマンガや小説100タイトルを出版する計画。

三菱自、日産に電気自動車 OEM 車種拡大 国内販売積み増し…日経新聞9月23日11面より

2011年09月23日 22時50分29秒 | 日記
三菱自動車は22日、日産自動車に電気自動車(EV)をOEM(相手先ブランドによる生産)供給すると発表した。三菱自が年内に発売する軽商用EVを2012年度内に供給する。

両社は相互にOEM供給をしているが、協力関係をEV領域まで広げて販路と品ぞろえを充実、EVの販売拡大につなげる。

日産と三菱自はすでに商用車や軽自動車の計4車種を相互にOEM供給している。今回、国内市場向け商品で互いに欠けている分野を補完し、国内販売台数の積み増しを狙う。

三菱自が日産に供給するのは自社製EVの第2弾となる軽商用EV「MINICAB-MiEV(ミニキャブ・ミーブ)」。供給開始時期など詳細を詰めている。供給台数は明らかにしていないが、三菱自の同車種のH年度生産計画は4千台程度。日産への供給で販路を広げ、量産効果を高める。

日産と三菱自はそれぞれ他社に先駆けてEVを国内販売しているライバルだが、三菱自が軽自動車ベースのEVの商品化に注力しているのに対し、日産は軽ベース車の開発を手かけていない。

日産は現行のEV「リーフ」に加えて14年までに3車種のEVを発売する予定だが、対象は高級ブランド「インフィニティ」など。軽ベース車をOEM調達して自社EVの品ぞろえを拡充する。

また、三菱自は12年から日産の上級セダン「フーガ」の供給を受ける。フーガは日産のセダンの旗艦車種で10年度は約7800台を国内で販売した。三菱自は経営危機に陥った04年以降、上級セダンの国内販売を終了している。

フーガの調達で7年ぶりに上級セダンを発売する。日産と三菱自は今年10月からは新たに日産が商用車「NV200」を三菱自に供給することも決めている。

2社は今年6月に軽自動車の共同開発会社「NMKV」も設立するなど協業拡大を進めている。

日台で投資協定 企業連携し中国進出…日経新聞9月23日6面より

2011年09月23日 22時49分47秒 | 日記
【台北=新居耕治】日本と台湾の交流窓口機関は22日、台北市内のホテルで投資協定に調印した。日台間の投資で「内国民待遇」や「最恵国待遇」に相当する無差別待遇を明文化することで、投資環境を向上させるのが狙い。

台湾は中国とも貿易などの自由化を進めており、協定締結で日本企業が台湾企業と組んで中国進出する例も増えそうだ。

日台間には外交関係がないため、日本側の交流協会と台湾側の亜東関係協会が「日台民間投資取決め」を締結した。日本はこれまで中国を含む15力国・地域との間で投資協定を結んでおり、台湾との協定は16番目。

2008年に発足した台湾の馬英九政権は敵対してきた中国との関係改善を進めており、中台が自由貿易圏の確立を目指す経済協力枠組み協定(ECFA)も締結済み。

馬総統は「日本企業が台湾を起点に中国市場の開拓に動けば、ECFAを活用できる」として投資を呼びかけており、投資協定締結は日台企業の連携を後押ししそうだ。

日本は台湾との経済交流の枠組みを格上げしつつある。日台間で通商問題を協議する日台貿易経済会議は09年から局長級に格上げになっており、今年8月には観光庁長官の訪台も実現した。投資協定の締結もこの流れの一環だ。

ウォン、1年ぶり安値圏 …日経新聞9月23日6面より

2011年09月23日 22時48分51秒 | 日記
■韓国 22日のソウル外為市場ではウォン相場の下落が加速し、前日比約2・6%のウォン安ドル高となる1ドル=1179・8ウォンとなった。

今週に入ってからの下落率は約6%に達し、ほぼ1年ぶりの安値圏。欧州債務問題や米景気の先行き不安から投資家がリスク回避でウォン資産を売却している。 (ソウル支局)

証券最大手が上場へ…日経新聞9月23日6面より

■中国 証券最大手、中信証券は21日、10月6日に香港取引所に株式を上場すると発表した。上場に伴い、市場から最大151億2800万香港ドル(約1500億円)を調達する見通し。

クウェート投資庁やシンガポールのテマセク・ホールディングスなど海外の有力投資家も出資を決めた。香港上場で、事業と経営の国際化を進めたい考えだ。

公募価格の範囲は12・84~15・20香港ドル。仮に上限で決まれば、市場からの資金調達額は香港市場で今年3番目の大型上場となる見通しだ。   (香港支局)

お好み焼き・たこ焼き・串カツ… 大阪の元気の源 東北届けまっせ…朝日新聞9月23日33面より

2011年09月23日 22時48分06秒 | 日記
有名店炊き出し

大阪の五つの有名飲食店が23日、東日本大震災の被災地、宮城県石巻市の日和山公園で支援イベントを開き、自慢の食べ物を無料で振る舞う。各社は大阪でも被災地の特産品を使った新たなメニューをつくり、末永く応援していく。

お好み焼き「千房」(本店・大阪市中央区)、たこ焼き「くくる」(同)、うどん「道頓堀今井」(同)、串カツ「だるま」(浪速区)、日本料理「神田川」(北区)の5社。

それぞれ500食を提供する。歌手のさだまさしさん、「通天閣の歌姫」こと叶麗子さんらのステージもある。
仕掛けたのは、大阪青年会議所副理事長の草刈健太郎さん(37)。

3月の震災直後、被災した仙台市の友人に誘われ、石巻市の避難所で支援物資を運ぶボランティアをした。津波でヘドロが流れ着いた学校には多くの人たちが身を寄せ合っていた。「何とか励ましたい」と思った。

知人の「夜回り先生」こと元定時制高校教諭の水谷修さん(55)に相談し、「大阪の名物で炊きだしをしよう」となった。付き合いのある外食各社に声をかけたところ、いずれも快諾。

「名店が集まってくれた」と水谷さんは喜ぶ。実行委員長に就いた千房の中井政嗣社長(66)は「大阪のほんまもんで元気を出してほしい」と話している。(千葉雄高)

国産PC再び脚光 富士通「出雲モデル」発表…朝日新聞9月23日9面より

2011年09月23日 22時46分27秒 | 日記
納期や品質で差別化

海外メ-カーとの価格競争や円高で生産の海外シフトが進むなか、パソコン (PC)各社が国内生産の強みに目を向け始めている。地の利を生かした納期の短縮や国産ならではの高機能化を進め、海外生産との差別化を目指している。

島根県斐川町。中国山地を望む水田地帯に、富士通のノートパソコンを生産する完全子会社の島根富士通がある。富士通は22日、報道陣に工場を公開し、生産したパソコンを「出雲モデル」と名付けて国内生産の高い品質や信頼性をアピールすると発表した。

島根富士通は年約200万台のノートパソコンを生産している。基板に部品を取り付ける工程はほぽ自動化。約35メートルある組み立てラインでは15人の従業員が、ベルトの上を進むパーツを組み上げていく。

中国と競争可能に

「数年前は100メートルあった」と島根富士通の宇佐美隆一社長。機械化を進め、工程数を減らした。同じ作業を中国で行えば約120人の人員が必要だという。富士通の斎藤邦彰執行役員は「中国の人件費も上がっており、競争力は高まっている」と話す。

高品質な製品を、より安く迅速に投入することが可能になっているという。
価格競争の激化に伴い、PC各社は海外メーカーへの生産委託を拡大してきたが、主要な生産地の中国で人件費が高騰するなど競争条件が改善。逆に、国内生産の強みを見直す動きが加速している。

ソニーやNECも 

ソニーは昨春、長野県安曇野市にあるPC工場に設計や商品開発の人員を集約。設計から生産までを一貫して手がけることで、量産が難しかった新機能を盛り込んだ上位機種の生産に着手。

「8月から売り出した高性能で薄型の新シリーズはその成果」(同社広報)という。NECパーソナルコンピュータは、個人向けは台湾などの海外メーカーに生産を委託する一方、企業向けは山形県米沢市の工場で生産。

企業ごとの注文に応じたPCを組み立てられる体制を整え、「受注から納品まで最短3日間」という短納期を売りに受注拡大を図る。

米PC大手のヒューレットーパッカードの日本法人も今年、日本向けのPC生産を中国から東京都内に移管することを決めた。(木村和規、福間大介)

限界示した米金融緩和策 動かぬ政治、打つ手縛る…日経新聞9月23日1面より

2011年09月23日 16時42分36秒 | 日記
文中黒字化は芥川。

米連邦準備理事会(FRB)は21日、長期金利の押し下げを狙った金融緩和強化策を決めた。低迷する住宅市場をテコ入れし、景気浮揚につなげる狙い。

ただ物価上昇懸念から米経済に供給するお金の量を増やす量的緩和の第3弾(QE3)は打ち出せず、金融政策の手詰まり感は強い。政治の指導力抜きに米経済の安定は望めなくなっている。

崩れた「神話」

常に市場参加者の期待以上の緩和策を打ち出してきたバーナンキ議長。その手法は株安に備えたデリバティブ(金融派生商品)になぞらえて「バーナンキ・プット」と呼ばれ、相場を支えてきた。

ところが21日はダウエ業株30種平均が283ドルの大幅安。市場を裏切らない「バーナンキ神話」が崩れた瞬間だった。

市場が失望したのは、。金融政策の限界を見て取ったからにほかならない。今回の強化策は期間の長い米国債を購入し、長期金利低下を促す市場操作(オペ)。お金の供給量が増えないよう期間の短い国債を同時に売るので「ツイスト(ねじれ)オペ」と呼ばれる。長期金利低下で住宅ローンなどを借りやすくする狙いだ。

米10年物国債利回りは2%を下回る歴史的な低水準にある。ここからさらに下げても、景気刺激効果は限定的との見方が多い。そもそも同オペはバーナンキ議長がFRB理事だった2004年、金利押し下げ効果に疑問を投げかけた「筋の悪い」政策だ。

市場では「バーナンキ議長は練り歯磨き(金融政策)のチューブを両手で絞っているが、もうあまり残っていない」 (JPモルガン・チェース)といった声が聞こえる。

それでも活用を決断した背景には「最低5~6年かかる」(米財務省幹部)とみられる米家計の債務調整の遅れがある。少しでも金利を下げ住宅価格を反転させないと、家計の債務返済も進まない。エンジン役の消費がふるわず、景気停滞が長びく「失われた10年」が現実になりかねない。

一番の近道は、公的資金投入で家計の債務調整を促進すること。米政府筋は、ホワイトハウスが返済負担軽減など包括的な住宅市場活性化策を検討中だと明かす。だが政府支出拡大を伴う政策は「大きな政府」を嫌う野党共和党の抵抗で実現が難しい。
  
物価上昇リスク 

市場ではFRBがいずれQE3に踏み切るとの期待もくすぶるが、物価上昇リスクが立ちはだかる。FRBが重視する物価指標の前年比上昇率は、10月にも警戒水準である2%を超える可能性がある。連邦公開市場委員会(FOMC)で今回の緩和強化策に3人が反対したのはこのためだ。

政治闘争の影もFRBの身を縛る。「さらなる金融緩和が雇用を生むという根拠は何もない」。FOMCの前日、ベイナー下院議長ら共和党の議会指導部はバーナンキ議長に対し、異例の書簡を送りつけた。

中銀の独立性軽視とも映る露骨なけん制。「大統領選前に景気を回復させるなと言いたいのか」。米政府関係者は衝撃を受けた。

欧州域内の債務不安が強まり、世界的な金融危機再燃の恐れもある。景気底割れを回避するには財政・金融の政策総動員しかない。
主要中銀がドル資金供給で連携するなど、金融政策は危機モードにあるが、米国では与野党対立が深刻。

欧州でもドイツが財政悪化国への支援で国内のとりまとめに手を焼くなど、政治の決定力に不安が残る。「世界レベルで強い政治的意思が必要だ」。

国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は訴える。強い政治のリーダーシップの下で各国政府・中銀が一体で動かなければ、世界危機が顕在化しかねない。そんな危うい瀬戸際に来ている。
(ワシントン=矢沢俊樹)

いすゞ 中国大手と開発 トラック、アジアに軸足…日経新聞9月23日1面より

2011年09月23日 16時41分42秒 | 日記
部品共通化、日本で採用

トラック各社がアジアを舞台に、海外大手と車両開発や部品調達で連携する。いすべ自動車は中国大手と大型トラックを共同開発し2015年をめどに日中で生産、販売を始める。

三菱ふそうトラック・バスは親会社の独ダイムラー、UDトラックスは同じく親会社のスウェーデン・ボルボと部品調達網を共同利用する。アジアのトラック需要は拡大が続く。国内市場の低迷に直面するトラック各社は開発や生産の軸足を日本からアジアへ移す。

三菱ふそう UDトラックス 域内調達を拡大

トラック各社はこれまで日本で販売実績がある車両をアジアで生産してきた。国内市場の存在感低下を背景に「日本発」の事業モデルを転換、最初からアジアでの事業展開を前提に戦略を組み立て直す。国内市場が縮む乗用車にも同様の動きが広がる可能性がある。

いすゞ自動車は中・小型トラックの合弁生産の相手先である中国の慶鈴汽車集団(重慶市)と大型トラックを共同開発する。いすゞが国内で販売する積載量10トン超の「ギガ」の次期型と中国で新規投入するモデルを統合して開発する。

中国の大型トラック市。場は年100万台を超え、年3万台程度の日本を大幅に上回る。部品の 一部を共通化し、中国市場の規模を有効活用することで生産コストを低減。中国製の安価な部品を日本で生産する車両にも採用し、円高抵抗力を引き上げる戦略だ。

共同開発する大型トラックを生産するため、中 国合弁の慶鈴汽車股扮に新ラインを設置する。販売が伸びる中・小型も増産する計画で、中国での生産能力は現在のほぼ2倍の年20万台規模に増強する。

合弁会社のいすゞの出資比率は20%程度だが、関係強化に向けて5~10%上積みする方向で調整に入った。開発費や設備投資、出資拡大を合わせ、中国事業の強化へ今後数年間で200億~300億円を投じる。

UDトラックスはボルボと連携して開発中の新興国専用トラック向けに、数年内をめどに中国・で部品を生産する。新興国モデルはUDの中国合弁会社やボルボのインド、タイの拠点で生産を検討している。

UDが中国で生産する足回り部品をアジアの各拠点に供給、価格競争力を高める。三菱ふそうはダイムラーの調達網を活用、昨年11月に全面刷新した小型トラック「キャンター」では従来車両でほぼゼロだった部品の海外調達比率が5割に達した。

12年にはダイムラーと組み、インドで低価格ブランドの中型トラックを発売する計画だ。
海外大手との開発、部品調達での連携は国内とアジアで市場規模の格差が大きいトラックが先行する。

中国など一国の市場だけを対象とせず、中国で生産した部品を別の生産拠点に供給するなどアジア全域をにらんだ開発や生産体制の整備を急ぐ。乗用車でも三菱自動車がマレーシアの国営自動車大手プロトンと小型車の部品共通化を検討している。

春秋…日経新聞9月23日1面より

2011年09月23日 16時41分00秒 | 日記
東北新幹線に新型車両「はやぶさ」がさっそうと登場したのは、今年の3月5日だった。15メートルの長い鼻にエメラルドグリーンの車体。東京と新青森の間を3時間10分で走り、特等席「グランクラス」を設けてのデビューに沿線は沸いた。

▼わずか6日後、華やぎは消える。新幹線も在来線も東北の鉄道は震災でズタズタになり、夜を日に継いで復旧工事が進められた。そのかいあって4月末に東北新幹線が全通、とはいえ、ずっと徐行運転を余儀なくされてきた日々だ。そんな臨時ダイヤがやっときょう解かれ、はやぶさも震災前の速さを取りもどす。

▼半年でここまでこぎ着けた、ニッポン鉄道人の技術力と心意気のなんという頼もしさか。もっとも、津波で線路も駅も流された沿岸部では復旧の見通しさえ立たぬ在来線の区間がいくつも残る。仙石線や石巻線、三陸の町を結ぶ気仙沼線、大船渡線、山田線……。そして常磐線の、原発をはさんだ南北110キロも。

▼もとどおりの軌道敷設をめざすべきか、新たなルートや交通システムに転換すべきか。復興の行方ともからんで答えを探しあぐねる被災地だ。地一図を眺めてみれば、ごつごつと折れ曲がった路線がドラゴンレールの異名をとる大船渡線は、その4割が失われている。はやぶさの復活と竜のあえぎを、ともども思う。

私の履歴書 バブル崩壊 元伊藤忠商事会長 室 伏  稔…日経新聞9月23日36面より

2011年09月23日 16時39分38秒 | 日記
損失処理に不眠の毎日
大胆な改善策もなお不完全


1990年6月に私か社長に就任してから日経平均株価は一方的に下がり続けていた。92年ごろから鮮明になつ
たバブル崩壊は日本経済を急激に失速させ始めた。

当然のことながら、この大きなうねりの中で、伊藤忠の経営も直接、間接に大きな影響を受けることになった。
 バブル期には金融の自由化も進み、自らの高い信用力を利用して低い金利で借りた資金を「特金(特定金銭信託)」や「ファントラ(ファンドトラスト)」と呼ばれる投資に回す企業が増えていた。

いわゆる“財テク”である。伊藤忠もこの種の金融商品を活用していたが、それが完全に行きづまってしまった。
さらに伊藤忠は、海外、国内で積極的に不動産投資を続けていた。

最初は海外不動産の下落が目立っていたが、追いかけるように国内不動産も下落を始め、積極的に展開を推進してきた土地、不動産の投資も変調をきたし始めていた。特金・ファントラや不動産がさらに下落し、損失が膨らむことは十分に予想できた。

本来なら一気に損失処理をしたいところだったが、財源が不足していた。今なら税効果会計を使うことができるが、当時はその制度もなく、利益のなかで毎期、毎期、少しずつ処理していくしかなかった。本当に眠れない夜が続くことがあった。

この危機を乗り越え、伊藤忠の将来を盤石なものとすべく、抜本的対策を講じる必要性を強く認識したうえで97年11月17日、「経営改善策」を発表した。小手先の処理ではなく、大胆に不良債権を処理してしまおうという重大な決意だった。

国内不動産1000億円、海外不動産250億円の処分、特金・ファントラの処理550億円など総額2300億円の処理で1400億円の損失を見込んだ。

人件費削減のため、「退職インセンティブ」を導入した。人が資産である商社において希望退職者を募ることに私は強い抵抗を覚えた。

しかし、当時の伊藤忠の稼ぐ力と比較して、経費の負担が重く、人件費削減にまで踏み込まざるをえない状況であった。伊藤忠は伝統的に従業員を大切にしてきた会社でもあり、非常に苦しい決断であった。この間の藤田純孝部長ひきいる業務部ほか担当部署の面々の損失処理に関わる尽力を大いに多としたい。

そのうえで、77年以来20年ぶりの赤字決算(単体)に踏み切った。社内からは不動産価格の回復を期待して処理に反対する声もあった。赤字決算で配当を続けるという判断にも異論が出た。だが、将来を切り開くため、株主の信頼を得るためには今、苦しい思いをすべきだと断行した。

「これから2年間は皆さんに相当の苦労や我慢をお願いすることになります」。その日、社内テレビを通じて、社員に呼びかけた。第1次と第2次の石油危機への対応など過去に厳しい時期があったが、社員一丸となって乗り越えてきた。

今度も乗り越えられると確信していた。「『MORE LIKE ITOCHU(もっと伊藤忠らしく)』の精神
で、それぞれの持ち場で頑張ってほしい」と結んだ。

ただ、97年の経営改善策はそれだけでは完全に負の遺産を消すことはできず、後任の丹羽宇一郎君に委ねることとなり、伊藤忠の再生につながっていった。(元伊藤忠商事会長)

大機小機 ユーロ危機解決はなぜ困難か…日経新聞9月23日17面より

2011年09月23日 16時13分07秒 | 日記
文中黒字化は芥川。

9月半ばのギリシヤ国債利回りは10年物で22%に達し、同じユーロ建てのドイツ国債を20%も上回る。ギリシヤ政府がこの金利で借り入れをすると、利払い負担だけで国内総生産(GDP)の3割を超える計算になる。

このため、欧州内の他国や国際通貨基金 (IMF)からの低利貸し出しが実行されなければ、同国のデフォルト(債務不履行)は避けられない状況にある。

以下、ギリシヤを発火点とするユーロ圏危機への対応が従来の通貨危機より格段に困難な理由を分析してみよう。
タイ、韓国、アルゼンチン、ロシアなど、過去に通貨危機に見舞われた国は多数あるが、IMFによる資金援助で解決を見てきた。

IMFは市場金利を大幅に下回る金利での貸し出しを実行する見返りに、対象国に緊縮財政と金融政策の引き締め、為替相場の切り下げ、経済構造改善などの政策を実施させてきた。

また、こうした政策を確実に実行させるために、パフォーマンスを監視しながら貸し出しを分割して実施してきた。
 ギリシヤの場合も、IMFとユーロ圏諸国が設立した欧州金融安定基金(EFSF)がギリシヤに対して財政赤字削減を条件に貸し出しを実行しようとしている。問題は、ギリシヤが懸命に増税と歳出削減をしても、財政赤字が減少しないことにある。

従来、通貨危機に陥った国々は独自の通貨と中央銀行を持っていたので、国際収支と財政収支を改善するため、為替相場の切り下げと独自の金利政策を取ることができた。

通貨切り下げは、国内産業の競争力を強めて輸出を増やし輸入を減らす。さらに財政支出を削減し金融を引き締めると、企業は運転資金獲得のため輸出を必死に増やす。緊縮財政による景気落ち込みは短期間で終わり、通貨危機の後のV字型回復が可能だった。

ところがギリシヤの場合は、通貨統合でユーロを導入した結果、独自の通貨と中央銀行を持っていないため、通貨切り下げによる景気刺激策が使えない。

ギリシヤ政府が必死になって財政支出を削減し税率を引き上げても、景気が悪化するため大幅なマイナス成長となり、財政赤字削減目標をなかなか達成できない。

ドイツなどユーロ圏中心国は長期間にわたってギリシヤに巨額の資金援助を続ける必要に迫られる。これはドイツ国内の世論をギリシヤ支援反対に回らせ、ユーロ危機を深刻化させている。
(山河)

職人文化を守れ 東北・被災地から 建築家 伊東 豊雄氏…9・22日経夕刊18面から。

2011年09月23日 13時54分57秒 | 日記
(いとう・とよお)1941年生まれ。東大卒。代表作に「TODg表参道ビル」 「多摩美術大学図書館」など。2011年に開設した伊東建築塾で建築教育に取り組み、岩手県釜石市の復興計画にもかかわる。7月、今治市伊東豊雄建築ミュージアムが開館。

「人が集まる」本来の建築を 世界に誇れる技術と魂で   文中黒字化は芥川。

■仙台市内、仮設住宅が並ぶ敷地の一角で建築家の伊東豊雄氏が設計した「みんなの家」の建設が進んでいる。
 
人々が飲んだり食べたりしながらひとときを過ごすスペースだ。私がコミッショナーを務める建築プロジェクト 「くまもとアートポリス」の初の県外事業として、熊本県や県内の建築関連団体が資材や資金を提供してくれることになり、東北の大工や左官を集めて設置する。来月下旬の完成時には、住民みんなで芋煮会でもやって祝ってくれるはず。楽しみにしている。
 
ある時、出来上がったばかりの仮設住宅に電化製品だけが並んでいるのを見て、何かが変だと感じた。「みんなの家」を設計する時に住民に要望を聞くと、「縁側で将棋を指したい」とか「軒下にまきが積んである風景はいいよね」といった声があがった。

東北の被災地で建物を設計したり、復興計画作りにかかわったりしていると、人が集まるという建築の原初の姿を考えさせられる。かつて建築は地元の職人がその場の材料を使ってつくり、建物を建てることはコミュニティーをあげて祝福するセレモニーだった。

■「みんなの家」の構想のきっかけは、全面ガラス張りの開放的な外観が世界的にも注目された「せんだいメディアテーク」(2001年)だった。震災で被災したが、市民の憩いの場として2ヵ月後に再開した。
 
図書館や市民ギャラリーを備えるメディアテークは開館10年で「町のリビング」のような場になった。だからこそ
一日も早い再開を目指した。
 
この建物は、東北の職人技なしには生まれなかった。揺れている木々のようなチューブの柱を強調するため、できるだけ薄い床をつくりたいという希望を実現してくれたのは宮城県気仙沼市の高橋工業。

江戸時代から続く造船技術を現代によみがえらせる高橋和志さんは、2枚の鉄板の間にリブを入れた段ボール紙のような構造を床にした。普通の鉄骨建築なら厚さ1メートルになるが、メディアテークの床はわずか41センチメートル。これを柱と溶接する難題を解決したのも船大工の職人の経験だった。


世界でも評価の高い日本の建築を支えるのは職人の高度な技術と職人魂だという。
 
船大工の技を現代建築に融合させた高橋さんのように、東北をはじめ日本の職人には頑固さと同時に柔軟さがある。

以前、米国の造船業者に薄い鉄板をつくってもらおうとしたことがあるが、ちょっとでも難しいことや、前例のない作業は一気にコストにはね返り、とてつもない対価を要求される。日本の職人ならば、面白いからやってみようとチャレンジしてくれる。
 
たとえば、安藤忠雄さんの建築の美しいコンクリート打ち放し。あれも、ぴしっと型枠をつくり、鉄筋を正確に配筋できる技術がなければできない。日本では1ミリの誤差で済むが、海外では1センチは覚悟しないといけない。

これほど高い技と志を持つ職人がいるありがたさを、この10年間、ずっと痛感している。

(聞き手は文化部 窪田直子)