この関川夏央が鶴見俊輔たいじんにインタビューした本は、実に、凄い本なのである。
先日、弊社専務がプレゼントしてくれたのだが、直ぐには読まずに…パラパラと読んで、積んで置いた。
昨日の東京行に、一番、相応しいのは、これという直感が有って持参した。行きの新幹線の中で、一気に読んだ。
今日は、今日で、病院での待ち時間の間に残りを一気に読んでいた時のことだった。
「残像を保ち続ける」
関川 もうひとつおもしろいのは、無着成恭がいた山形師範の一年下に藤沢周平がいたんです ね。二人は同い歳なんだけども。
鶴見 そうそう。ほとんど言葉を交わしていない。でも、状況は同じでしょう。
関川 『君たちはどう生きるか』とかけ離れた環境なんだけど、どこか考え方には呼応するところがある。卒業した藤沢さんは、無着さんと違って海に近い庄内地方の新制中学に赴任したんだけれども、二年くらい勤めたところで肺結核と診断され、やがて東京の清瀬の療養所に入る。だから『山びこ学校』的実践はしていないけれども、気持ちは同じだったんだと思いますね。
P184から抜粋。
鶴見
…前文略
弟子の名前は兵六というんだけど、兵六は、確かに粗忽者なんだけど、ちゃんと聞くんだ。
妻が最後の四分の一を伝える。兵六が刀を持ち庭に降りるのを見届けて、妻は家に帰るんだ。
兵六と二度と会うことはないという決意を秘めてね。それで終わり。なんともいえず、すごい作品でしょう。
関川 藤沢作品にはときどき恐るべき女性があらわれます。
P187から抜粋。
芥川は、ここで、突然、涙が溢れた…芥川は自慢じゃないが、藤沢作品は一度も読んだ事がないのだが、芥川の故郷の後輩にあたる人で、芥川が、とても敬愛しているだけではなく、芥川の、ビジネス人生に於いても、これ以上ない、出会いと機会を与えてくれた人が居るのである。
彼は、藤沢周平や、その他の、所謂、大衆時代小説家の、極めて優れた読み手なのである。
その彼の存在と、藤沢周平が、芥川の故郷の直ぐ隣、山形出身であったと言う、初めて知った事実、そういうものの全てが重なって、一瞬にして理解したのだろう。
芥川の、「文明のターンテーブル」、は、本当に、どえらい本なのだが、鶴見たいじんのこの本は、何であれ、知識人としての人生を送って来た人の本としては、空前絶後、と言って良い位の…そういう世界で人生を過ごした人の中で、ピカ一の本だと、芥川は思う。
そうでない世界で人を過ごした人の中で、芥川の、「文明のターンテーブル」、は、鶴見たいじんを…芥川の解答に依って凌駕すると言っても過言ではない、ピカ一の本なのである(呵々大笑)
先日、弊社専務がプレゼントしてくれたのだが、直ぐには読まずに…パラパラと読んで、積んで置いた。
昨日の東京行に、一番、相応しいのは、これという直感が有って持参した。行きの新幹線の中で、一気に読んだ。
今日は、今日で、病院での待ち時間の間に残りを一気に読んでいた時のことだった。
「残像を保ち続ける」
関川 もうひとつおもしろいのは、無着成恭がいた山形師範の一年下に藤沢周平がいたんです ね。二人は同い歳なんだけども。
鶴見 そうそう。ほとんど言葉を交わしていない。でも、状況は同じでしょう。
関川 『君たちはどう生きるか』とかけ離れた環境なんだけど、どこか考え方には呼応するところがある。卒業した藤沢さんは、無着さんと違って海に近い庄内地方の新制中学に赴任したんだけれども、二年くらい勤めたところで肺結核と診断され、やがて東京の清瀬の療養所に入る。だから『山びこ学校』的実践はしていないけれども、気持ちは同じだったんだと思いますね。
P184から抜粋。
鶴見
…前文略
弟子の名前は兵六というんだけど、兵六は、確かに粗忽者なんだけど、ちゃんと聞くんだ。
妻が最後の四分の一を伝える。兵六が刀を持ち庭に降りるのを見届けて、妻は家に帰るんだ。
兵六と二度と会うことはないという決意を秘めてね。それで終わり。なんともいえず、すごい作品でしょう。
関川 藤沢作品にはときどき恐るべき女性があらわれます。
P187から抜粋。
芥川は、ここで、突然、涙が溢れた…芥川は自慢じゃないが、藤沢作品は一度も読んだ事がないのだが、芥川の故郷の後輩にあたる人で、芥川が、とても敬愛しているだけではなく、芥川の、ビジネス人生に於いても、これ以上ない、出会いと機会を与えてくれた人が居るのである。
彼は、藤沢周平や、その他の、所謂、大衆時代小説家の、極めて優れた読み手なのである。
その彼の存在と、藤沢周平が、芥川の故郷の直ぐ隣、山形出身であったと言う、初めて知った事実、そういうものの全てが重なって、一瞬にして理解したのだろう。
芥川の、「文明のターンテーブル」、は、本当に、どえらい本なのだが、鶴見たいじんのこの本は、何であれ、知識人としての人生を送って来た人の本としては、空前絶後、と言って良い位の…そういう世界で人生を過ごした人の中で、ピカ一の本だと、芥川は思う。
そうでない世界で人を過ごした人の中で、芥川の、「文明のターンテーブル」、は、鶴見たいじんを…芥川の解答に依って凌駕すると言っても過言ではない、ピカ一の本なのである(呵々大笑)