以下は前章の続きである。
もし東京都が買っていれば…
8年前、日本は尖閣諸島の実効支配を確実にするチャンスがあった。
東京都が、一般人が所有し国が借り受けていた尖閣諸島を購入し、有効に活用していくことを提案したのだ。
2012年4月16日、東京都知事であった石原慎太郎氏は、米国にあるヘリテージ財団主催のシンポジウムで講演し、東京都が尖閣諸島を購入する計画であることを発表した。
既に土地の所有者と合意し、尖閣諸島に港湾施設を整備するなど、日本の実効支配をより明示することを目指していた。
東京都による尖閣諸島購入計画が伝わると、国内は騒然となった。
特に中国に過度な配慮を続けて来た民主党政権の動揺は測りえないものだった。
中国も過剰に反応した。
強い抗議を受けた丹羽宇一郎駐中国大使は、「購入が実行されれば日中関係に重大な危機をもたらすことになる」と発言している。
その後、丹羽大使は、中国寄りの発言が目立つようになる。
また、石原知事の持つ夕カ派のイメージに幻惑された一部のメディアと革新勢力は、東京都が買うと自衛隊の基地が作られるなどと吹聴し、国民に対し中国への配慮を求めようとした。
自衛隊配備など、東京都が決められることではないことぐらいわかりそうなものである。
東京都は、尖閣諸島購入が国民の意思であることを示すため、購入資金のための暮金を行い、約10万件、14億7千万円が寄せられた。
東京都は、寄付金を一般会計で受け入れていた。
そのため、募金で得た資金を使い、尖閣諸島を購入するには、都議会による予算利用の承認が必要だった。
当時の都議会は、民主党系会派が第一党であった。
そのため、都庁知事公室に作られた尖閣諸島問題担当部は、議会が納得するような公共利用を念頭に置いた尖閣諸島活用計画を作成していた。
具体的には、海洋環境の国際的な研究施設を作ることや、石垣市など地元と協力して、漁民が安心して出漁できるように島に通信設備を置き、海が荒れたときに漁民が利用できる船溜まりを島の周辺につくることなどが計画されていた。
国際的な理解や国民の生活を考えた平和的な利用計画だったのだ。
日本の土地所有制度を熟知している中国は、東京都による土地購入を是が非でも阻止すべく、日本政府に圧力をかけた。
そして、同年7月、国民の支持を受けた東京都の尖閣諸島購入計画の推進に焦った野田挂彦首相は、国が尖閣諸島を購入する意思を表明した。
近年は、国有地にするより東京都が買っていたほうが良かったという声をよく聞く。
東京都が所有する島となれば、中国が日本政府に圧力をかけても、東京都の利用計画を止めることはできない。
特に環境保護や海洋利用のための拠点となれば、世界の注目を集め日本の実効支配が認識されることになり、当時考えられる最善の策であったのだ。
この年の7月、五島列島福江島の玉之浦に、100隻を超える中国漁船が台風の緊急避難を名目に進入した。
中国船によって地先の海を占領された五島の人々は、怯えながら退去を待つしかなす術がなかった。
同年8月にさらに、2回、玉之浦は中国船により占領されている。
これも中国による圧力であったと考えられる。
また同年8月には、丹羽大使の公用車が北京市街を走行中に襲われ、日本国旗を抜き取られるという屈辱的な行為を受けた。
ついに中国に追いつめられた野田政権は、9月11日、国有化に踏み切った。
これに乗じた中国は官主導によるデモを組織し、反日で国内世論を統一することを目指した。
国有化直後、中国の青島で起きたデモや日系スーパーマーケットの焼き討ち事件は、当局の扇動であったとも疑われている。
その後も中国は、徐々に既成事実を重ねて有利な立場を得ようとする「サラミ戦術」を取り続けた。
2014年には、小笠原諸島の海域にサンゴの密漁船といわれる212隻もの漁船が押し寄せ、小笠原の海を荒らしまわった。
当然ながら、中国の遠洋漁船団は、当局の許可、あるいは指示なしに動くことは無い。
この時、海保が逮捕できた中国人船長は、わずか十人。
また、この時、中国漁船は海底を攪拌し、漁網を大量に投棄したため、漁場の再生には長い時間がかかると考えられている。
この稿続く。
以下は前章の続きである。
もし東京都が買っていれば…
8年前、日本は尖閣諸島の実効支配を確実にするチャンスがあった。
東京都が、一般人が所有し国が借り受けていた尖閣諸島を購入し、有効に活用していくことを提案したのだ。
2012年4月16日、東京都知事であった石原慎太郎氏は、米国にあるヘリテージ財団主催のシンポジウムで講演し、東京都が尖閣諸島を購入する計画であることを発表した。
既に土地の所有者と合意し、尖閣諸島に港湾施設を整備するなど、日本の実効支配をより明示することを目指していた。
東京都による尖閣諸島購入計画が伝わると、国内は騒然となった。
特に中国に過度な配慮を続けて来た民主党政権の動揺は測りえないものだった。
中国も過剰に反応した。
強い抗議を受けた丹羽宇一郎駐中国大使は、「購入が実行されれば日中関係に重大な危機をもたらすことになる」と発言している。
その後、丹羽大使は、中国寄りの発言が目立つようになる。
また、石原知事の持つ夕カ派のイメージに幻惑された一部のメディアと革新勢力は、東京都が買うと自衛隊の基地が作られるなどと吹聴し、国民に対し中国への配慮を求めようとした。
自衛隊配備など、東京都が決められることではないことぐらいわかりそうなものである。
東京都は、尖閣諸島購入が国民の意思であることを示すため、購入資金のための暮金を行い、約10万件、14億7千万円が寄せられた。
東京都は、寄付金を一般会計で受け入れていた。
そのため、募金で得た資金を使い、尖閣諸島を購入するには、都議会による予算利用の承認が必要だった。
当時の都議会は、民主党系会派が第一党であった。
そのため、都庁知事公室に作られた尖閣諸島問題担当部は、議会が納得するような公共利用を念頭に置いた尖閣諸島活用計画を作成していた。
具体的には、海洋環境の国際的な研究施設を作ることや、石垣市など地元と協力して、漁民が安心して出漁できるように島に通信設備を置き、海が荒れたときに漁民が利用できる船溜まりを島の周辺につくることなどが計画されていた。
国際的な理解や国民の生活を考えた平和的な利用計画だったのだ。
日本の土地所有制度を熟知している中国は、東京都による土地購入を是が非でも阻止すべく、日本政府に圧力をかけた。
そして、同年7月、国民の支持を受けた東京都の尖閣諸島購入計画の推進に焦った野田挂彦首相は、国が尖閣諸島を購入する意思を表明した。
近年は、国有地にするより東京都が買っていたほうが良かったという声をよく聞く。
東京都が所有する島となれば、中国が日本政府に圧力をかけても、東京都の利用計画を止めることはできない。
特に環境保護や海洋利用のための拠点となれば、世界の注目を集め日本の実効支配が認識されることになり、当時考えられる最善の策であったのだ。
この年の7月、五島列島福江島の玉之浦に、100隻を超える中国漁船が台風の緊急避難を名目に進入した。
中国船によって地先の海を占領された五島の人々は、怯えながら退去を待つしかなす術がなかった。
同年8月にさらに、2回、玉之浦は中国船により占領されている。
これも中国による圧力であったと考えられる。
また同年8月には、丹羽大使の公用車が北京市街を走行中に襲われ、日本国旗を抜き取られるという屈辱的な行為を受けた。
ついに中国に追いつめられた野田政権は、9月11日、国有化に踏み切った。
これに乗じた中国は官主導によるデモを組織し、反日で国内世論を統一することを目指した。
国有化直後、中国の青島で起きたデモや日系スーパーマーケットの焼き討ち事件は、当局の扇動であったとも疑われている。
その後も中国は、徐々に既成事実を重ねて有利な立場を得ようとする「サラミ戦術」を取り続けた。
2014年には、小笠原諸島の海域にサンゴの密漁船といわれる212隻もの漁船が押し寄せ、小笠原の海を荒らしまわった。
当然ながら、中国の遠洋漁船団は、当局の許可、あるいは指示なしに動くことは無い。
この時、海保が逮捕できた中国人船長は、わずか十人。
また、この時、中国漁船は海底を攪拌し、漁網を大量に投棄したため、漁場の再生には長い時間がかかると考えられている。
この稿続く。
以下は前章の続きである。
もし東京都が買っていれば…
8年前、日本は尖閣諸島の実効支配を確実にするチャンスがあった。
東京都が、一般人が所有し国が借り受けていた尖閣諸島を購入し、有効に活用していくことを提案したのだ。
2012年4月16日、東京都知事であった石原慎太郎氏は、米国にあるヘリテージ財団主催のシンポジウムで講演し、東京都が尖閣諸島を購入する計画であることを発表した。
既に土地の所有者と合意し、尖閣諸島に港湾施設を整備するなど、日本の実効支配をより明示することを目指していた。
東京都による尖閣諸島購入計画が伝わると、国内は騒然となった。
特に中国に過度な配慮を続けて来た民主党政権の動揺は測りえないものだった。
中国も過剰に反応した。
強い抗議を受けた丹羽宇一郎駐中国大使は、「購入が実行されれば日中関係に重大な危機をもたらすことになる」と発言している。
その後、丹羽大使は、中国寄りの発言が目立つようになる。
また、石原知事の持つ夕カ派のイメージに幻惑された一部のメディアと革新勢力は、東京都が買うと自衛隊の基地が作られるなどと吹聴し、国民に対し中国への配慮を求めようとした。
自衛隊配備など、東京都が決められることではないことぐらいわかりそうなものである。
東京都は、尖閣諸島購入が国民の意思であることを示すため、購入資金のための暮金を行い、約10万件、14億7千万円が寄せられた。
東京都は、寄付金を一般会計で受け入れていた。
そのため、募金で得た資金を使い、尖閣諸島を購入するには、都議会による予算利用の承認が必要だった。
当時の都議会は、民主党系会派が第一党であった。
そのため、都庁知事公室に作られた尖閣諸島問題担当部は、議会が納得するような公共利用を念頭に置いた尖閣諸島活用計画を作成していた。
具体的には、海洋環境の国際的な研究施設を作ることや、石垣市など地元と協力して、漁民が安心して出漁できるように島に通信設備を置き、海が荒れたときに漁民が利用できる船溜まりを島の周辺につくることなどが計画されていた。
国際的な理解や国民の生活を考えた平和的な利用計画だったのだ。
日本の土地所有制度を熟知している中国は、東京都による土地購入を是が非でも阻止すべく、日本政府に圧力をかけた。
そして、同年7月、国民の支持を受けた東京都の尖閣諸島購入計画の推進に焦った野田挂彦首相は、国が尖閣諸島を購入する意思を表明した。
近年は、国有地にするより東京都が買っていたほうが良かったという声をよく聞く。
東京都が所有する島となれば、中国が日本政府に圧力をかけても、東京都の利用計画を止めることはできない。
特に環境保護や海洋利用のための拠点となれば、世界の注目を集め日本の実効支配が認識されることになり、当時考えられる最善の策であったのだ。
この年の7月、五島列島福江島の玉之浦に、100隻を超える中国漁船が台風の緊急避難を名目に進入した。
中国船によって地先の海を占領された五島の人々は、怯えながら退去を待つしかなす術がなかった。
同年8月にさらに、2回、玉之浦は中国船により占領されている。
これも中国による圧力であったと考えられる。
また同年8月には、丹羽大使の公用車が北京市街を走行中に襲われ、日本国旗を抜き取られるという屈辱的な行為を受けた。
ついに中国に追いつめられた野田政権は、9月11日、国有化に踏み切った。
これに乗じた中国は官主導によるデモを組織し、反日で国内世論を統一することを目指した。
国有化直後、中国の青島で起きたデモや日系スーパーマーケットの焼き討ち事件は、当局の扇動であったとも疑われている。
その後も中国は、徐々に既成事実を重ねて有利な立場を得ようとする「サラミ戦術」を取り続けた。
2014年には、小笠原諸島の海域にサンゴの密漁船といわれる212隻もの漁船が押し寄せ、小笠原の海を荒らしまわった。
当然ながら、中国の遠洋漁船団は、当局の許可、あるいは指示なしに動くことは無い。
この時、海保が逮捕できた中国人船長は、わずか十人。
また、この時、中国漁船は海底を攪拌し、漁網を大量に投棄したため、漁場の再生には長い時間がかかると考えられている。
この稿続く。
以下は前章の続きである。
もし東京都が買っていれば…
8年前、日本は尖閣諸島の実効支配を確実にするチャンスがあった。
東京都が、一般人が所有し国が借り受けていた尖閣諸島を購入し、有効に活用していくことを提案したのだ。
2012年4月16日、東京都知事であった石原慎太郎氏は、米国にあるヘリテージ財団主催のシンポジウムで講演し、東京都が尖閣諸島を購入する計画であることを発表した。
既に土地の所有者と合意し、尖閣諸島に港湾施設を整備するなど、日本の実効支配をより明示することを目指していた。
東京都による尖閣諸島購入計画が伝わると、国内は騒然となった。
特に中国に過度な配慮を続けて来た民主党政権の動揺は測りえないものだった。
中国も過剰に反応した。
強い抗議を受けた丹羽宇一郎駐中国大使は、「購入が実行されれば日中関係に重大な危機をもたらすことになる」と発言している。
その後、丹羽大使は、中国寄りの発言が目立つようになる。
また、石原知事の持つ夕カ派のイメージに幻惑された一部のメディアと革新勢力は、東京都が買うと自衛隊の基地が作られるなどと吹聴し、国民に対し中国への配慮を求めようとした。
自衛隊配備など、東京都が決められることではないことぐらいわかりそうなものである。
東京都は、尖閣諸島購入が国民の意思であることを示すため、購入資金のための暮金を行い、約10万件、14億7千万円が寄せられた。
東京都は、寄付金を一般会計で受け入れていた。
そのため、募金で得た資金を使い、尖閣諸島を購入するには、都議会による予算利用の承認が必要だった。
当時の都議会は、民主党系会派が第一党であった。
そのため、都庁知事公室に作られた尖閣諸島問題担当部は、議会が納得するような公共利用を念頭に置いた尖閣諸島活用計画を作成していた。
具体的には、海洋環境の国際的な研究施設を作ることや、石垣市など地元と協力して、漁民が安心して出漁できるように島に通信設備を置き、海が荒れたときに漁民が利用できる船溜まりを島の周辺につくることなどが計画されていた。
国際的な理解や国民の生活を考えた平和的な利用計画だったのだ。
日本の土地所有制度を熟知している中国は、東京都による土地購入を是が非でも阻止すべく、日本政府に圧力をかけた。
そして、同年7月、国民の支持を受けた東京都の尖閣諸島購入計画の推進に焦った野田挂彦首相は、国が尖閣諸島を購入する意思を表明した。
近年は、国有地にするより東京都が買っていたほうが良かったという声をよく聞く。
東京都が所有する島となれば、中国が日本政府に圧力をかけても、東京都の利用計画を止めることはできない。
特に環境保護や海洋利用のための拠点となれば、世界の注目を集め日本の実効支配が認識されることになり、当時考えられる最善の策であったのだ。
この年の7月、五島列島福江島の玉之浦に、100隻を超える中国漁船が台風の緊急避難を名目に進入した。
中国船によって地先の海を占領された五島の人々は、怯えながら退去を待つしかなす術がなかった。
同年8月にさらに、2回、玉之浦は中国船により占領されている。
これも中国による圧力であったと考えられる。
また同年8月には、丹羽大使の公用車が北京市街を走行中に襲われ、日本国旗を抜き取られるという屈辱的な行為を受けた。
ついに中国に追いつめられた野田政権は、9月11日、国有化に踏み切った。
これに乗じた中国は官主導によるデモを組織し、反日で国内世論を統一することを目指した。
国有化直後、中国の青島で起きたデモや日系スーパーマーケットの焼き討ち事件は、当局の扇動であったとも疑われている。
その後も中国は、徐々に既成事実を重ねて有利な立場を得ようとする「サラミ戦術」を取り続けた。
2014年には、小笠原諸島の海域にサンゴの密漁船といわれる212隻もの漁船が押し寄せ、小笠原の海を荒らしまわった。
当然ながら、中国の遠洋漁船団は、当局の許可、あるいは指示なしに動くことは無い。
この時、海保が逮捕できた中国人船長は、わずか十人。
また、この時、中国漁船は海底を攪拌し、漁網を大量に投棄したため、漁場の再生には長い時間がかかると考えられている。
この稿続く。
以下は前章の続きである。
もし東京都が買っていれば…
8年前、日本は尖閣諸島の実効支配を確実にするチャンスがあった。
東京都が、一般人が所有し国が借り受けていた尖閣諸島を購入し、有効に活用していくことを提案したのだ。
2012年4月16日、東京都知事であった石原慎太郎氏は、米国にあるヘリテージ財団主催のシンポジウムで講演し、東京都が尖閣諸島を購入する計画であることを発表した。
既に土地の所有者と合意し、尖閣諸島に港湾施設を整備するなど、日本の実効支配をより明示することを目指していた。
東京都による尖閣諸島購入計画が伝わると、国内は騒然となった。
特に中国に過度な配慮を続けて来た民主党政権の動揺は測りえないものだった。
中国も過剰に反応した。
強い抗議を受けた丹羽宇一郎駐中国大使は、「購入が実行されれば日中関係に重大な危機をもたらすことになる」と発言している。
その後、丹羽大使は、中国寄りの発言が目立つようになる。
また、石原知事の持つ夕カ派のイメージに幻惑された一部のメディアと革新勢力は、東京都が買うと自衛隊の基地が作られるなどと吹聴し、国民に対し中国への配慮を求めようとした。
自衛隊配備など、東京都が決められることではないことぐらいわかりそうなものである。
東京都は、尖閣諸島購入が国民の意思であることを示すため、購入資金のための暮金を行い、約10万件、14億7千万円が寄せられた。
東京都は、寄付金を一般会計で受け入れていた。
そのため、募金で得た資金を使い、尖閣諸島を購入するには、都議会による予算利用の承認が必要だった。
当時の都議会は、民主党系会派が第一党であった。
そのため、都庁知事公室に作られた尖閣諸島問題担当部は、議会が納得するような公共利用を念頭に置いた尖閣諸島活用計画を作成していた。
具体的には、海洋環境の国際的な研究施設を作ることや、石垣市など地元と協力して、漁民が安心して出漁できるように島に通信設備を置き、海が荒れたときに漁民が利用できる船溜まりを島の周辺につくることなどが計画されていた。
国際的な理解や国民の生活を考えた平和的な利用計画だったのだ。
日本の土地所有制度を熟知している中国は、束京都による土地購入を是が非でも阻止すべく、日本政府に圧力をかけた。
そして、同年7月、国民の支持を受けた束京都の尖閣諸島購入計画の推進に焦った野田挂彦首相は、国が尖閣諸島を購入する意思を表明した。
近年は、国有地にするより東京都が買っていたほうが良かったという声をよく聞く。
東京都が所有する島となれば、中国が日本政府に圧力をかけても、東京都の利用計画を止めることはできない。
特に環境保護や海洋利用のための拠点となれば、世界の注目を集め日本の実効支配が認識されることになり、当時考えられる最善の策であったのだ。
この年の7月、五島列島福江島の玉之浦に、100隻を超える中国漁船が台風の緊急避難を名目に進入した。
中国船によって地先の海を占領された五島の人々は、怯えながら退去を待つしかなす術がなかった。
同年8月にさらに、2回、玉之浦は中国船により占領されている。
これも中国による圧力であったと考えられる。
また同年8月には、丹羽大使の公用車が北京市街を走行中に襲われ、日本国旗を抜き取られるという屈辱的な行為を受けた。
ついに中国に追いつめられた野田政権は、9月11日、国有化に踏み切った。
これに乗じた中国は官主導によるデモを組織し、反日で国内世論を統一することを目指した。
国有化直後、中国の青島で起きたデモや日系スーパーマーケットの焼き討ち事件は、当局の扇動であったとも疑われている。
その後も中国は、徐々に既成事実を重ねて有利な立場を得ようとする「サラミ戦術」を取り続けた。
2014年には、小笠原諸島の海域にサンゴの密漁船といわれる212隻もの漁船が押し寄せ、小笠原の海を荒らしまわった。
当然ながら、中国の遠洋漁船団は、当局の許可、あるいは指示なしに動くことは無い。
この時、海保が逮捕できた中国人船長は、わずか十人。
また、この時、中国漁船は海底を攪拌し、漁網を大量に投棄したため、漁場の再生には長い時間がかかると考えられている。
この稿続く。
以下は前章の続きである。
もし東京都が買っていれば…
8年前、日本は尖閣諸島の実効支配を確実にするチャンスがあった。
東京都が、一般人が所有し国が借り受けていた尖閣諸島を購入し、有効に活用していくことを提案したのだ。
2012年4月16日、東京都知事であった石原慎太郎氏は、米国にあるヘリテージ財団主催のシンポジウムで講演し、東京都が尖閣諸島を購入する計画であることを発表した。
既に土地の所有者と合意し、尖閣諸島に港湾施設を整備するなど、日本の実効支配をより明示することを目指していた。
東京都による尖閣諸島購入計画が伝わると、国内は騒然となった。
特に中国に過度な配慮を続けて来た民主党政権の動揺は測りえないものだった。
中国も過剰に反応した。
強い抗議を受けた丹羽宇一郎駐中国大使は、「購入が実行されれば日中関係に重大な危機をもたらすことになる」と発言している。
その後、丹羽大使は、中国寄りの発言が目立つようになる。
また、石原知事の持つ夕カ派のイメージに幻惑された一部のメディアと革新勢力は、東京都が買うと自衛隊の基地が作られるなどと吹聴し、国民に対し中国への配慮を求めようとした。
自衛隊配備など、東京都が決められることではないことぐらいわかりそうなものである。
東京都は、尖閣諸島購入が国民の意思であることを示すため、購入資金のための暮金を行い、約10万件、14億7千万円が寄せられた。
東京都は、寄付金を一般会計で受け入れていた。
そのため、募金で得た資金を使い、尖閣諸島を購入するには、都議会による予算利用の承認が必要だった。
当時の都議会は、民主党系会派が第一党であった。
そのため、都庁知事公室に作られた尖閣諸島問題担当部は、議会が納得するような公共利用を念頭に置いた尖閣諸島活用計画を作成していた。
具体的には、海洋環境の国際的な研究施設を作ることや、石垣市など地元と協力して、漁民が安心して出漁できるように島に通信設備を置き、海が荒れたときに漁民が利用できる船溜まりを島の周辺につくることなどが計画されていた。
国際的な理解や国民の生活を考えた平和的な利用計画だったのだ。
日本の土地所有制度を熟知している中国は、束京都による土地購入を是が非でも阻止すべく、日本政府に圧力をかけた。
そして、同年7月、国民の支持を受けた束京都の尖閣諸島購入計画の推進に焦った野田挂彦首相は、国が尖閣諸島を購入する意思を表明した。
近年は、国有地にするより東京都が買っていたほうが良かったという声をよく聞く。
東京都が所有する島となれば、中国が日本政府に圧力をかけても、東京都の利用計画を止めることはできない。
特に環境保護や海洋利用のための拠点となれば、世界の注目を集め日本の実効支配が認識されることになり、当時考えられる最善の策であったのだ。
この年の7月、五島列島福江島の玉之浦に、100隻を超える中国漁船が台風の緊急避難を名目に進入した。
中国船によって地先の海を占領された五島の人々は、怯えながら退去を待つしかなす術がなかった。
同年8月にさらに、2回、玉之浦は中国船により占領されている。
これも中国による圧力であったと考えられる。
また同年8月には、丹羽大使の公用車が北京市街を走行中に襲われ、日本国旗を抜き取られるという屈辱的な行為を受けた。
ついに中国に追いつめられた野田政権は、9月11日、国有化に踏み切った。
これに乗じた中国は官主導によるデモを組織し、反日で国内世論を統一することを目指した。
国有化直後、中国の青島で起きたデモや日系スーパーマーケットの焼き討ち事件は、当局の扇動であったとも疑われている。
その後も中国は、徐々に既成事実を重ねて有利な立場を得ようとする「サラミ戦術」を取り続けた。
2014年には、小笠原諸島の海域にサンゴの密漁船といわれる212隻もの漁船が押し寄せ、小笠原の海を荒らしまわった。
当然ながら、中国の遠洋漁船団は、当局の許可、あるいは指示なしに動くことは無い。
この時、海保が逮捕できた中国人船長は、わずか十人。
また、この時、中国漁船は海底を攪拌し、漁網を大量に投棄したため、漁場の再生には長い時間がかかると考えられている。
この稿続く。
以下は前章の続きである。
もし東京都が買っていれば…
8年前、日本は尖閣諸島の実効支配を確実にするチャンスがあった。
東京都が、一般人が所有し国が借り受けていた尖閣諸島を購入し、有効に活用していくことを提案したのだ。
2012年4月16日、東京都知事であった石原慎太郎氏は、米国にあるヘリテージ財団主催のシンポジウムで講演し、東京都が尖閣諸島を購入する計画であることを発表した。
既に土地の所有者と合意し、尖閣諸島に港湾施設を整備するなど、日本の実効支配をより明示することを目指していた。
東京都による尖閣諸島購入計画が伝わると、国内は騒然となった。
特に中国に過度な配慮を続けて来た民主党政権の動揺は測りえないものだった。
中国も過剰に反応した。
強い抗議を受けた丹羽宇一郎駐中国大使は、「購入が実行されれば日中関係に重大な危機をもたらすことになる」と発言している。
その後、丹羽大使は、中国寄りの発言が目立つようになる。
また、石原知事の持つ夕カ派のイメージに幻惑された一部のメディアと革新勢力は、東京都が買うと自衛隊の基地が作られるなどと吹聴し、国民に対し中国への配慮を求めようとした。
自衛隊配備など、東京都が決められることではないことぐらいわかりそうなものである。
東京都は、尖閣諸島購入が国民の意思であることを示すため、購入資金のための暮金を行い、約10万件、14億7千万円が寄せられた。
東京都は、寄付金を一般会計で受け入れていた。
そのため、募金で得た資金を使い、尖閣諸島を購入するには、都議会による予算利用の承認が必要だった。
当時の都議会は、民主党系会派が第一党であった。
そのため、都庁知事公室に作られた尖閣諸島問題担当部は、議会が納得するような公共利用を念頭に置いた尖閣諸島活用計画を作成していた。
具体的には、海洋環境の国際的な研究施設を作ることや、石垣市など地元と協力して、漁民が安心して出漁できるように島に通信設備を置き、海が荒れたときに漁民が利用できる船溜まりを島の周辺につくることなどが計画されていた。
国際的な理解や国民の生活を考えた平和的な利用計画だったのだ。
日本の土地所有制度を熟知している中国は、束京都による土地購入を是が非でも阻止すべく、日本政府に圧力をかけた。
そして、同年7月、国民の支持を受けた束京都の尖閣諸島購入計画の推進に焦った野田挂彦首相は、国が尖閣諸島を購入する意思を表明した。
近年は、国有地にするより東京都が買っていたほうが良かったという声をよく聞く。
東京都が所有する島となれば、中国が日本政府に圧力をかけても、東京都の利用計画を止めることはできない。
特に環境保護や海洋利用のための拠点となれば、世界の注目を集め日本の実効支配が認識されることになり、当時考えられる最善の策であったのだ。
この年の7月、五島列島福江島の玉之浦に、100隻を超える中国漁船が台風の緊急避難を名目に進入した。
中国船によって地先の海を占領された五島の人々は、怯えながら退去を待つしかなす術がなかった。
同年8月にさらに、2回、玉之浦は中国船により占領されている。
これも中国による圧力であったと考えられる。
また同年8月には、丹羽大使の公用車が北京市街を走行中に襲われ、日本国旗を抜き取られるという屈辱的な行為を受けた。
ついに中国に追いつめられた野田政権は、9月11日、国有化に踏み切った。
これに乗じた中国は官主導によるデモを組織し、反日で国内世論を統一することを目指した。
国有化直後、中国の青島で起きたデモや日系スーパーマーケットの焼き討ち事件は、当局の扇動であったとも疑われている。
その後も中国は、徐々に既成事実を重ねて有利な立場を得ようとする「サラミ戦術」を取り続けた。
2014年には、小笠原諸島の海域にサンゴの密漁船といわれる212隻もの漁船が押し寄せ、小笠原の海を荒らしまわった。
当然ながら、中国の遠洋漁船団は、当局の許可、あるいは指示なしに動くことは無い。
この時、海保が逮捕できた中国人船長は、わずか十人。
また、この時、中国漁船は海底を攪拌し、漁網を大量に投棄したため、漁場の再生には長い時間がかかると考えられている。
この稿続く。
以下は前章の続きである。
尖閣は、一帯一路の要衝
習近平国家主席は、就任以来「中華民族の偉大なる復興」を掲げ、ユーラシア大陸を横断するシルクロードを支配し、中国から北アフリカまでの航路を切り開いた15世紀のように、世界に君臨しようとしている。
その手法が、「一帯一路」である。
大陸国家として繁栄してきた中国は、「一帯」と呼ばれる陸路では絶大な影響力を誇るが、海路は海洋国家・日本や米国に後れを取ってきた。
そこで、支配海域の拡大を時間をかけ進めてきたのである。
一帯一路構想において、中国の港から世界を目指すためには、東シナ海を通過するのが主要なルートだ。
そのため、日本を抑え、東シナ海を手中に収めることを目指している。
尖閣諸島は、東シナ海の扇の要の位置にあり、一帯一路の要衝なのだ。
中国の尖閣諸島略奪計画は、粛々と進められてきた。
そして、その結果、尖閣諸島の周りには、常に中国海警局の警備船が航行し、あたかもそこが「中国の海」であるがごとく振る舞っている。
残念ながら、日本の海上保安庁は中国警備船の動きを阻止することはできていない。
そして、中国は、堂々と尖閣諸島は中国の領土であると公言するようになっている。
そこには、日中国交正常化の交渉の際に鄧小平氏が主張した「問題の棚上げ」などの概念はない。
中国は、尖閣諸島、ひいては東シナ海を完全に手中に入れるため、最終的段階に突入しているのだ。
台湾では、国民党の馬英九総統の時代、中国本土の活動家と連帯するグループがいた。
しかし、2013年、日本が台湾漁民による東シナ海での漁を々一部認める「日台民間漁業取り決め」を結んだことにより、台湾での活動をほぼ終息した。
李登輝元総統をはじめ、台湾では、尖閣諸島が日本の領土であることを認識している有識者が多いことから、日本と台湾が連携し尖閣諸島の活用を考えるのも一案である。
この稿続く。
日本国民の中には尖閣諸島が歴史的にも日本の領土である事をきちんと認識できていない人たちも少なからずいるのかもしれない。
筆者がこうして登場した2010年7月16日の後、9月7日に中国船の体当たり事件が起きた。
私が京大に入学して、あの大学を、両肩で背負って立て、と恩師から命じられていた人間だった事は記述の通り。
当時、私が東大ではなく京大を志した理由の一つを、私は以下の様に周囲に話した。
「東大はサル山の社会だが、京大は違う。右は会田雄次から左は井上清までが一堂に会して学際研究が出来る…」
ネットで尖閣諸島を検索していた私は、その井上清の、尖閣諸島が中国のものであるかのように言い募っている妙な論文を発見した。
京大が素晴らしいのは、この井上清の様な、如何にも馬鹿な左翼に相応しく、中国の御用学者の様な振る舞いを為す者もいれば、この大馬鹿者の論説を完璧に正し、関係する膨大な資料の全てを検証して尖閣諸島は歴史的にも日本の領土である事を完膚なきまでに明らかにした学者もいるところにあるのである。
以下の著者である、その学者、いしゐのぞむ、は、最澄が定義した「国宝」の中の「国宝」である。
以下は前章の続きである。
尖閣は、一帯一路の要衝
習近平国家主席は、就任以来「中華民族の偉大なる復興」を掲げ、ユーラシア大陸を横断するシルクロードを支配し、中国から北アフリカまでの航路を切り開いた15世紀のように、世界に君臨しようとしている。
その手法が、「一帯一路」である。
大陸国家として繁栄してきた中国は、「一帯」と呼ばれる陸路では絶大な影響力を誇るが、海路は海洋国家・日本や米国に後れを取ってきた。
そこで、支配海域の拡大を時間をかけ進めてきたのである。
一帯一路構想において、中国の港から世界を目指すためには、東シナ海を通過するのが主要なルートだ。
そのため、日本を抑え、東シナ海を手中に収めることを目指している。
尖閣諸島は、東シナ海の扇の要の位置にあり、一帯一路の要衝なのだ。
中国の尖閣諸島略奪計画は、粛々と進められてきた。
そして、その結果、尖閣諸島の周りには、常に中国海警局の警備船が航行し、あたかもそこが「中国の海」であるがごとく振る舞っている。
残念ながら、日本の海上保安庁は中国警備船の動きを阻止することはできていない。
そして、中国は、堂々と尖閣諸島は中国の領土であると公言するようになっている。
そこには、日中国交正常化の交渉の際に鄧小平氏が主張した「問題の棚上げ」などの概念はない。
中国は、尖閣諸島、ひいては東シナ海を完全に手中に入れるため、最終的段階に突入しているのだ。
台湾では、国民党の馬英九総統の時代、中国本土の活動家と連帯するグループがいた。
しかし、2013年、日本が台湾漁民による東シナ海での漁を々一部認める「日台民間漁業取り決め」を結んだことにより、台湾での活動をほぼ終息した。
李登輝元総統をはじめ、台湾では、尖閣諸島が日本の領土であることを認識している有識者が多いことから、日本と台湾が連携し尖閣諸島の活用を考えるのも一案である。
この稿続く。
以下は前章の続きである。
尖閣は、一帯一路の要衝
習近平国家主席は、就任以来「中華民族の偉大なる復興」を掲げ、ユーラシア大陸を横断するシルクロードを支配し、中国から北アフリカまでの航路を切り開いた15世紀のように、世界に君臨しようとしている。
その手法が、「一帯一路」である。
大陸国家として繁栄してきた中国は、「一帯」と呼ばれる陸路では絶大な影響力を誇るが、海路は海洋国家・日本や米国に後れを取ってきた。
そこで、支配海域の拡大を時間をかけ進めてきたのである。
一帯一路構想において、中国の港から世界を目指すためには、東シナ海を通過するのが主要なルートだ。
そのため、日本を抑え、東シナ海を手中に収めることを目指している。
尖閣諸島は、東シナ海の扇の要の位置にあり、一帯一路の要衝なのだ。
中国の尖閣諸島略奪計画は、粛々と進められてきた。
そして、その結果、尖閣諸島の周りには、常に中国海警局の警備船が航行し、あたかもそこが「中国の海」であるがごとく振る舞っている。
残念ながら、日本の海上保安庁は中国警備船の動きを阻止することはできていない。
そして、中国は、堂々と尖閣諸島は中国の領土であると公言するようになっている。
そこには、日中国交正常化の交渉の際に鄧小平氏が主張した「問題の棚上げ」などの概念はない。
中国は、尖閣諸島、ひいては東シナ海を完全に手中に入れるため、最終的段階に突入しているのだ。
台湾では、国民党の馬英九総統の時代、中国本土の活動家と連帯するグループがいた。
しかし、2013年、日本が台湾漁民による東シナ海での漁を々一部認める「日台民間漁業取り決め」を結んだことにより、台湾での活動をほぼ終息した。
李登輝元総統をはじめ、台湾では、尖閣諸島が日本の領土であることを認識している有識者が多いことから、日本と台湾が連携し尖閣諸島の活用を考えるのも一案である。
この稿続く。
以下は前章の続きである。
尖閣は、一帯一路の要衝
習近平国家主席は、就任以来「中華民族の偉大なる復興」を掲げ、ユーラシア大陸を横断するシルクロードを支配し、中国から北アフリカまでの航路を切り開いた15世紀のように、世界に君臨しようとしている。
その手法が、「一帯一路」である。
大陸国家として繁栄してきた中国は、「一帯」と呼ばれる陸路では絶大な影響力を誇るが、海路は海洋国家・日本や米国に後れを取ってきた。
そこで、支配海域の拡大を時間をかけ進めてきたのである。
一帯一路構想において、中国の港から世界を目指すためには、東シナ海を通過するのが主要なルートだ。
そのため、日本を抑え、東シナ海を手中に収めることを目指している。
尖閣諸島は、東シナ海の扇の要の位置にあり、一帯一路の要衝なのだ。
中国の尖閣諸島略奪計画は、粛々と進められてきた。
そして、その結果、尖閣諸島の周りには、常に中国海警局の警備船が航行し、あたかもそこが「中国の海」であるがごとく振る舞っている。
残念ながら、日本の海上保安庁は中国警備船の動きを阻止することはできていない。
そして、中国は、堂々と尖閣諸島は中国の領土であると公言するようになっている。
そこには、日中国交正常化の交渉の際に鄧小平氏が主張した「問題の棚上げ」などの概念はない。
中国は、尖閣諸島、ひいては東シナ海を完全に手中に入れるため、最終的段階に突入しているのだ。
台湾では、国民党の馬英九総統の時代、中国本土の活動家と連帯するグループがいた。
しかし、2013年、日本が台湾漁民による東シナ海での漁を々一部認める「日台民間漁業取り決め」を結んだことにより、台湾での活動をほぼ終息した。
李登輝元総統をはじめ、台湾では、尖閣諸島が日本の領土であることを認識している有識者が多いことから、日本と台湾が連携し尖閣諸島の活用を考えるのも一案である。
この稿続く。
以下は前章の続きである。
ぶれない中国の海洋戦略
現在の中国の海洋侵出の骨格は、1981年に鄧小平氏が中国共産党中央軍事委員会の主席に就任した時代に作られた。
翌82年には、鄧氏の指導下において、中国人民解放軍海軍司令官、劉華清上将によって中国人民解放軍近代化計画が立案され、体制作りが進められた。
現在もこの計画が脈々と踏襲されている。
この計画の中心となる軍事戦略として、第一列島線および第二列島線の概念が生み出された。
中国の最大の敵対国と目された米国との軍事境界ラインを想定したものだ。
中国は、この海域を海洋領土に組み入れることを目指したのだ。
大陸国家といわれる中国が、新たな権益の拡大のため「海」に乗り出し始めたのである。
まず、アジアの海域に多大な影響力を持つ日本の海洋戦略を封じることが優先課題となった。
第一列島線とは、日本の南西諸島から台湾、フィリピン、インドネシアから南シナ海を包み込むように結ばれたラインである。
東シナ海と南シナ海を自国の海にしようとする計画で、この第一列島線の完成目標は2010年だった。
南シナ海は、人工島を作りほぼ手中に収めたので、東シナ海侵出に本腰を入れ始めたのだ。
すでに小笠原諸島からグアム・サイパン、太平洋島嶼国へ伸びる第二列島線の侵出にも着手している。
中国の海洋侵出には、国際常識など通じない。
南シナ海では、フィリピンやベトナムが管轄権を主張する海域内において、一方的に「九段線」を設定して領有権を主張し、9ヵ所の岩礁や暗礁に人工島を建設。
国連海洋法条約では、人工島は領土としては認められないが、領土に組み入れてしまった。
海域を奪われたフィリピンは2013年、中国の不当な海域支配を阻止するためオランダ・ハーグにある常設仲裁裁判所に訴えた。
16年に同裁判所は中国の不当な海域支配を認め、フィリピンの勝訴となった。
しかし、中国政府は、この判決を「紙屑にしか過ぎない」と批判し、南シナ海への侵出を続行している。
すでに、スービ礁、ファイアリークロス礁、ミスチーフ礁の人工島に軍用機の離着陸可能な滑走路などの軍事拠点施設の建設がほぼ完了し、海洋支配を確固たるものとした。
ベトナム海域への侵出は、さらに過激である。
中国とベトナムの管轄権の主張が重複する海域に出漁したベトナム漁船は、中国海軍や海警により排除される。
従わない漁船は拿捕され、乗組員は拘束され、通信機器や機械設備などは没収される。
今年4月には、中国警備船に体当たりされたベトナム漁船が沈没する事件が起きている。
中国は、国連海洋法条約などの国際法より、自国の繁栄を優先する。
中国にとって、国際法は意味を持たず、さらに、国連安全保障理事会の常任理事国として拒否権を持つ中国は、国連安保理からの制裁を受けることもないのだ。
中国のアジア支配に歯止めをかけたい米国は、南シナ海において軍艦を航行させ警戒に当たる「航行の自由作戦」を展開し、海洋秩序の維持に努めてきた。
しかし、中国の実効支配は、徐々にその範囲を拡大し、すでに南シナ海を囲む九段線内をほぼ手中に収めた。
さらに、開発した人工島を三沙市の南沙区および西沙区の行政区に組み入れ、施政下にあることを示し、既成事実とした。
東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国は、中国に自重を求め、「南シナ海行動規範」の制定を目指し、話し合いを続けてきたが、今となっては、中国の譲歩を期待する余地もない。
南シナ海の支配は、香港における民主派の弾圧にも通じている。
イギリス統治時代には、シンガポールと世界1を競ったコンテナターミナルの機能は、中国本土の上海と寧波に移され、今や世界7位にまで後退している。
香港国家安全維持法は、香港の一国二制度を崩し、市民の自由な言論は封印されてしまった。
さらに、香港の港は外国勢力との関係が危険視され、中国政府の影響下に置かれることになる。
その結果、南シナ海の海上交通の主導権は中国が握り、米国の出る幕がなくなるのだ。
日本人は性善説で生きているが、中国は国際常識や国際法とは無縁の世界で行動していることを認識しなければならない。
中国が南シナ海で起こした侵略行為は、東シナ海においても同様の手口が用いられる。
備えを怠ってはいけない。
この稿続く。
以下は前章の続きである。
ぶれない中国の海洋戦略
現在の中国の海洋侵出の骨格は、1981年に鄧小平氏が中国共産党中央軍事委員会の主席に就任した時代に作られた。
翌82年には、鄧氏の指導下において、中国人民解放軍海軍司令官、劉華清上将によって中国人民解放軍近代化計画が立案され、体制作りが進められた。
現在もこの計画が脈々と踏襲されている。
この計画の中心となる軍事戦略として、第一列島線および第二列島線の概念が生み出された。
中国の最大の敵対国と目された米国との軍事境界ラインを想定したものだ。
中国は、この海域を海洋領土に組み入れることを目指したのだ。
大陸国家といわれる中国が、新たな権益の拡大のため「海」に乗り出し始めたのである。
まず、アジアの海域に多大な影響力を持つ日本の海洋戦略を封じることが優先課題となった。
第一列島線とは、日本の南西諸島から台湾、フィリピン、インドネシアから南シナ海を包み込むように結ばれたラインである。
東シナ海と南シナ海を自国の海にしようとする計画で、この第一列島線の完成目標は2010年だった。
南シナ海は、人工島を作りほぼ手中に収めたので、東シナ海侵出に本腰を入れ始めたのだ。
すでに小笠原諸島からグアム・サイパン、太平洋島嶼国へ伸びる第二列島線の侵出にも着手している。
中国の海洋侵出には、国際常識など通じない。
南シナ海では、フィリピンやベトナムが管轄権を主張する海域内において、一方的に「九段線」を設定して領有権を主張し、9ヵ所の岩礁や暗礁に人工島を建設。
国連海洋法条約では、人工島は領土としては認められないが、領土に組み入れてしまった。
海域を奪われたフィリピンは2013年、中国の不当な海域支配を阻止するためオランダ・ハーグにある常設仲裁裁判所に訴えた。
16年に同裁判所は中国の不当な海域支配を認め、フィリピンの勝訴となった。
しかし、中国政府は、この判決を「紙屑にしか過ぎない」と批判し、南シナ海への侵出を続行している。
すでに、スービ礁、ファイアリークロス礁、ミスチーフ礁の人工島に軍用機の離着陸可能な滑走路などの軍事拠点施設の建設がほぼ完了し、海洋支配を確固たるものとした。
ベトナム海域への侵出は、さらに過激である。
中国とベトナムの管轄権の主張が重複する海域に出漁したベトナム漁船は、中国海軍や海警により排除される。
従わない漁船は拿捕され、乗組員は拘束され、通信機器や機械設備などは没収される。
今年4月には、中国警備船に体当たりされたベトナム漁船が沈没する事件が起きている。
中国は、国連海洋法条約などの国際法より、自国の繁栄を優先する。
中国にとって、国際法は意味を持たず、さらに、国連安全保障理事会の常任理事国として拒否権を持つ中国は、国連安保理からの制裁を受けることもないのだ。
中国のアジア支配に歯止めをかけたい米国は、南シナ海において軍艦を航行させ警戒に当たる「航行の自由作戦」を展開し、海洋秩序の維持に努めてきた。
しかし、中国の実効支配は、徐々にその範囲を拡大し、すでに南シナ海を囲む九段線内をほぼ手中に収めた。
さらに、開発した人工島を三沙市の南沙区および西沙区の行政区に組み入れ、施政下にあることを示し、既成事実とした。
東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国は、中国に自重を求め、「南シナ海行動規範」の制定を目指し、話し合いを続けてきたが、今となっては、中国の譲歩を期待する余地もない。
南シナ海の支配は、香港における民主派の弾圧にも通じている。
イギリス統治時代には、シンガポールと世界1を競ったコンテナターミナルの機能は、中国本土の上海と寧波に移され、今や世界7位にまで後退している。
香港国家安全維持法は、香港の一国二制度を崩し、市民の自由な言論は封印されてしまった。
さらに、香港の港は外国勢力との関係が危険視され、中国政府の影響下に置かれることになる。
その結果、南シナ海の海上交通の主導権は中国が握り、米国の出る幕がなくなるのだ。
日本人は性善説で生きているが、中国は国際常識や国際法とは無縁の世界で行動していることを認識しなければならない。
中国が南シナ海で起こした侵略行為は、東シナ海においても同様の手口が用いられる。
備えを怠ってはいけない。
この稿続く。
以下は前章の続きである。
ぶれない中国の海洋戦略
現在の中国の海洋侵出の骨格は、1981年に鄧小平氏が中国共産党中央軍事委員会の主席に就任した時代に作られた。
翌82年には、鄧氏の指導下において、中国人民解放軍海軍司令官、劉華清上将によって中国人民解放軍近代化計画が立案され、体制作りが進められた。
現在もこの計画が脈々と踏襲されている。
この計画の中心となる軍事戦略として、第一列島線および第二列島線の概念が生み出された。
中国の最大の敵対国と目された米国との軍事境界ラインを想定したものだ。
中国は、この海域を海洋領土に組み入れることを目指したのだ。
大陸国家といわれる中国が、新たな権益の拡大のため「海」に乗り出し始めたのである。
まず、アジアの海域に多大な影響力を持つ日本の海洋戦略を封じることが優先課題となった。
第一列島線とは、日本の南西諸島から台湾、フィリピン、インドネシアから南シナ海を包み込むように結ばれたラインである。
東シナ海と南シナ海を自国の海にしようとする計画で、この第一列島線の完成目標は2010年だった。
南シナ海は、人工島を作りほぼ手中に収めたので、東シナ海侵出に本腰を入れ始めたのだ。
すでに小笠原諸島からグアム・サイパン、太平洋島嶼国へ伸びる第二列島線の侵出にも着手している。
中国の海洋侵出には、国際常識など通じない。
南シナ海では、フィリピンやベトナムが管轄権を主張する海域内において、一方的に「九段線」を設定して領有権を主張し、9ヵ所の岩礁や暗礁に人工島を建設。
国連海洋法条約では、人工島は領土としては認められないが、領土に組み入れてしまった。
海域を奪われたフィリピンは2013年、中国の不当な海域支配を阻止するためオランダ・ハーグにある常設仲裁裁判所に訴えた。
16年に同裁判所は中国の不当な海域支配を認め、フィリピンの勝訴となった。
しかし、中国政府は、この判決を「紙屑にしか過ぎない」と批判し、南シナ海への侵出を続行している。
すでに、スービ礁、ファイアリークロス礁、ミスチーフ礁の人工島に軍用機の離着陸可能な滑走路などの軍事拠点施設の建設がほぼ完了し、海洋支配を確固たるものとした。
ベトナム海域への侵出は、さらに過激である。
中国とベトナムの管轄権の主張が重複する海域に出漁したベトナム漁船は、中国海軍や海警により排除される。
従わない漁船は拿捕され、乗組員は拘束され、通信機器や機械設備などは没収される。
今年4月には、中国警備船に体当たりされたベトナム漁船が沈没する事件が起きている。
中国は、国連海洋法条約などの国際法より、自国の繁栄を優先する。
中国にとって、国際法は意味を持たず、さらに、国連安全保障理事会の常任理事国として拒否権を持つ中国は、国連安保理からの制裁を受けることもないのだ。
中国のアジア支配に歯止めをかけたい米国は、南シナ海において軍艦を航行させ警戒に当たる「航行の自由作戦」を展開し、海洋秩序の維持に努めてきた。
しかし、中国の実効支配は、徐々にその範囲を拡大し、すでに南シナ海を囲む九段線内をほぼ手中に収めた。
さらに、開発した人工島を三沙市の南沙区および西沙区の行政区に組み入れ、施政下にあることを示し、既成事実とした。
東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国は、中国に自重を求め、「南シナ海行動規範」の制定を目指し、話し合いを続けてきたが、今となっては、中国の譲歩を期待する余地もない。
南シナ海の支配は、香港における民主派の弾圧にも通じている。
イギリス統治時代には、シンガポールと世界1を競ったコンテナターミナルの機能は、中国本土の上海と寧波に移され、今や世界7位にまで後退している。
香港国家安全維持法は、香港の一国二制度を崩し、市民の自由な言論は封印されてしまった。
さらに、香港の港は外国勢力との関係が危険視され、中国政府の影響下に置かれることになる。
その結果、南シナ海の海上交通の主導権は中国が握り、米国の出る幕がなくなるのだ。
日本人は性善説で生きているが、中国は国際常識や国際法とは無縁の世界で行動していることを認識しなければならない。
中国が南シナ海で起こした侵略行為は、東シナ海においても同様の手口が用いられる。
備えを怠ってはいけない。
この稿続く。