以下は前章の続きである。
■ コミュニケーション・コントロールによる洗脳
WGIPのコミュニケーション・コントロール策は極秘裏に推進されたので、日本人は自分たちが洗脳されつつあることに全く気付かなかった。
GHQは、先ず全国の新聞に日本軍の残虐行為を強調した『太平洋戦争史』を連載せしめた。
協力する新聞社には、新聞紙用パルプの特配が割り当てられた。
また『真相はかうだ』(後に『真相箱』)というラジオ放送も始まった。
そして、日本人の伝統的価値観である“忠義”や“復讐”をテーマとした映画は全て上映禁止になった。
こうして日本国民は、驚きと怒りの内にすっかりこれらを事実と思いこんでしまい、「一億総懺悔」をするに至った。
■「言論・表現の自由」を禁止
WGIP訓3は、「日本出版法」として法制化され、先ずプレスコードとして実施された。
同様にラジオコード、映画コードも実施された。
「日本出版法」の冒頭には、「連合軍最高司令官ハ“日本ニ言論ノ自由ヲ確立センガ為ニ”茲ニ日本出版法ヲ発布ス。本出版法ハ言論ヲ拘束スルモノニ非ズ。寧ロ日本ノ諸刊行物ニ対シ言論ノ自由ニ関シ其ソ責任ト意義トヲ育成セントスルヲ目的トス。」という文言がある。
まるでブラックジョークだ。
検閲指針は三十項4に及ぶがWGIPの意図が読み取れる示唆に富む項目ばかりだ。
こうした制限により、戦後に頻発した占領軍将兵による婦女暴行事件などは全く報道されなかった。
また、戦前・戦中の欧米の植民地支配についての研究書など、実に7769冊もの書物が官公庁、図書館、書店などから没収されて廃棄された。
現代版“焚書”以外の何物でもない。
もちろん、これも報道されることはなかった。
これらの制限は、公式には昭和27年(1952)のサンフランシスコ講和条約の発効によって失効したのであるが、日本人自身の間で拡大再生産されて現在に至っている。
3:連合軍最高司令官の訓令第33号(SCAPIN.)
4:検閲対象の30項目:一切の批判が禁止された対象は、連合国最高司令官又は総司令部、極東軍事裁判、GHQが日本国憲法を起草したこと、
ソ連/英国/朝鮮人/中国/その他の連合国及び連合国一般/アメリカ合衆国、満州における日本人取り扱い、連合国の戦前の政策、占領軍軍隊についてだ。
言及することさえもが禁止された対象は、この検閲制度、第三次世界大戦、冷戦、GHQまたは地方軍政部に対する不適切な言及だ。
次に宣伝行為が禁止された対象は、戦争擁護、神国日本、軍国主義、ナショナリズム、大東亜共栄圏、その他についてだ。
更に論評することが禁止された項目は、戦争犯罪人の正当化および擁護、占領軍兵士と日本女性との交渉、闇市の状況、飢餓の誇張、暴力と不穏の行動の煽動、虚偽の報道、解禁されていない報道の公表だ。
この稿続く。