何でロシアが国家ぐるみでドーピングに精を出すか、と言えば「国家ぐるみで五輪メダルを奪いたいから」だ。ロシア政府首脳は国際競技会でロシア人選手が上位に君臨し続けることを渇望している。五輪は「その頂上戦」なのだから、ますます強欲に、手段さえ選ばなくなってる。検査さえすり抜ければ、巧妙なドーピング術を磨くことさえ「スポーツマンシップ」の要件だと思ってる。戦争の前には、殺人すら必要悪と割り切る……それと同じ極端な発想してくるから、性質(たち)が悪い💧
世界の常識/基準/ルールより、ロシアの常識/基準/ルールが優先。つか、やつらのアタマじゃロシアこそが唯一「世界」で、ロシア領以外の地球は「世界の外側」なのだな。
その"外界との戦争"を統括指揮してるのが、露スポーツ庁。この政府機関の庁是にして使命は「五輪のメダルを獲得し、国威を発揚させること」に尽きる。ウソだと思ったら、このスポーツ庁のホームページ↓ を見るがいい。※下掲ロゴをタップ/クリックで当該サイトTOPへリンク。
国としては選手団を送ってないのに、モロに「チームロシア応援サイト」と化してる💧
こんなにも五輪のみに偏重した運営(施策、予算配分)の歪みを呈すスポーツ担当の国家機関は、露スポーツ庁をおいて他に無い。そんなことより、シベリアの小学校の運動場でも地道に整備してろ、っつのww その意味じゃ、日本のスポーツ庁は 滅法まともだ^^;
もうひとつ、ロシアの「異常な光景」を見ていただこう。下↓ の表彰式スナップ。どこかヘンだと思わないか。
国内スポンサー企業のロゴが背後に並ぶ、国内プレス向けの表彰セレモニーブース。表彰台の前にズラリ並ぶ、民族衣装姿のアテンドたち。それぞれが黒盆に「各賞」の記念品を捧げ持っている…。
が、それらを順々に授与されるべく表彰台に上(のぼ)ったのは、銅メダリストのロシア選手ただひとり。
実は、このシーン。競技会場での"本表彰"を撮ったものじゃない。国際大会から凱旋帰国したロシア人メダリストを、あらためて国内でも「国威発揚に貢献した栄誉を讃え」表彰し直してる光景を捉えたものだ。国際競技会で勝つことは、選手個人の殊勲に留まらず「ロシアの殊勲」と考えるのがロシア人。ソ連が崩壊したら共産制は消え去ったかと思いきや、「ロシア人個人のものはロシア国家のもの」という全体志向だけは今もって健在💧 らしーのだな。
そして何より、武功を上げれば武勲に与(あずか)る =「スポーツは戦争の延長にある闘争行為」って基本認識が揺るがない。
だからこそ、敵地でドーピング摘発されることは少しも恥ずかしいことじゃない。捕虜収容所からの脱走が「立派な兵士の権利」と見做(みな)されるのと同じで、敵地=国際舞台のルールや懲罰に服すことがロシアの正義とイコールであるハズがない💧んである。外界のルールに基づく監視者の眼は、いくらでもダマしていい。要は、メダルさえ奪えばいい。
ロシアの得だけが、「ロシアをして唯一の世界たらしめ、それ以外の国々を外界へと退けられる」。何度でも言うが、地球が世界じゃない。ロシア圏内だけが世界。アメリカも日本も彼らのアタマじゃ、宇宙の手前にある凖宇宙的な「向こう側」の一部に過ぎない。ウクライナはかろうじて世界の端っこにあったのだが、ウクライナ人の怠惰と無能さにより「向こう側」に崩れんばかりの危機にある。崩落は絶対に❕ 避けねばならない。「この世界」を危険にさらすウクライナ人には、いかなる流血の代償を課してでも。
…でだ。
上の国家表彰を挙げてる場所が、モスクワ郊外にある『スポーツの殿堂 モスクヴィチ』って施設群。
今朝と次回の2部構成の投稿で、この国家機関『モスクヴィチ』から窺えるロシアの五輪メダル妄執(もうしゅう)症について記事にしたい。
別名『スポーツの殿堂(スポルトパレス|Дворец спорта)』と銘打つだけあって、創設の歴史は60年代……ソ連時代にまで遡る。正式な機関名称は『スポーツ技術実験特別校』。つまり、体育訓練に特化した国営の「学校」❔なのだな。まず先に、隣接する角地に厳めしい威容を誇る方形の「文化センター」が建てられた。
ここは教員やトレーナー、公務職員らの詰所だけでなく、何部屋もの教室、会議室、大小の発表会場や劇場が備わり、モスクワ市民にとっての生涯学習プラザとなってゆく。ちょうど当時、モスクワ中心地から地下鉄が延伸されて、新設された地下鉄駅と連結するカタチで設計された。この施設群が「モスクワっ子(モスクヴィチ)」と総称されるのは「今後は、この場所がモスクワ次世代の文化発信地となる💪」との強い意気込みからだろう。
続いて「文化センター」を取り巻くように、広大な『スポーツ技術実験特別校』のキャンパスが造営された。競技ごとに5~6棟の室内コートやプール、スケートリンク会場 等々が並び立つが、一番有名なのはガラス張りの「陸上競技センター」だ。筋トレ施設やリハビリ設備も備え、まさに「雪の夜にもスポーツの演者(プレイヤー)たちが招かれる、70年代モダンな王宮」の風格っ。
」
ちなみに、ここが高専でも大学でもなく「特別校」という意味は……フツーの一般ロシア人が課せられる義務教育制度の枠組みを越えて、ここの"生徒"だけは「五輪競技種目のプレイヤーで、将来的に代表出場枠の突破が見込まれるだけの実力」さえ認められれば、どんな学力だろと(中学生だろが高校生だろが)年齢不問で引っこ抜かれて💧 入学を優待されるシステムになってるからだ。
モスクワ周辺に住まない者なら、親元から離れ上京して暮らせるだけの(キャンパス敷地内の)宿舎や食事、あらゆる生活支援を国から与えられ、お小遣いすら支給されて日々、練習と鍛錬にのみ勤しむことができる。親がロシア選手権なりジュニア全国杯に出る子息の応援に(はるばるモスクワまで)駆けつけたければ、その往復の航空便の手筈(てはず)から滞在ホテルの用立てまで請け負ってくれる超エリート校なのだ。
事実たくさんのオリンピアンが、この養成校から輩出してソ連に五輪メダルをもたらした。おそらく70~80年代メダリストの何人かは、最先端のドーピング支援の「偉大なる」成果でもあったろう。名誉と引き換えに国家のモルモットにされてたことを、選手本人は最後まで知らなかったとしても。
プーチン大統領の治世となり(かつてほど文化振興に困窮しなくなると)、老朽化したキャンパス施設を解体して再建する動きが活発になった。前述の「陸上競技センター」が第一弾。正面エントランスに『Дворец спорта(スポーツの殿堂)』との看板を掲げる。アイススケート競技場も(汎用リンクでの兼用から)カーリング専用館が独立し、従来リンクでのフィギュア練習機会が大幅に拡充される。
そして昨2021年から始まったのが、野外陸上スタジアムの再建プロジェクト。観客席も競技グラウンドも老朽化が激しく、ついに取り壊して造り直すことになった。
※旧スタジアム↓ 。降雪地モスクワゆえ、陸上トラック等は(融雪させやすく凍結させにくい)特殊な石畳敷きになってるのが特徴だ。
初期の案では、敷地を変えて「より大型な」セミ・アリーナ仕様にする案も検討されたようだ……が、クリミア併合後の経済制裁で政府の懐具合が翳ったことから見送られた。
ひとまず従来のグラウンド再整備の線で行くとして、メインスタンドの改築を どうデザインするか。
最終的に採用されたのは、ナンと❕❔ここでも「五輪を強くイメージする」再建案だった。観客席を、5等分された円盤上の床面で構成するというのだ。しかも大屋根の天井を鏡面で覆い、競技する出場選手の側から見ても「五輪が上方に浮かび上がる💧」……という凝った施工も盛り込まれた。下が、その採用案の完成イメージ。
IOCの認可を踏んだ「オリンピック開催を控えた"公式"競技場」でもないのに、なぜに「あえて五輪」フォルム❔❔ 国際アイコンである五輪イメージの、(それのメダル獲得を自国アスリートに焚きつけたい🔥って私利私欲ムキ出しの)勝手な借用も極まれり💧である。
ともかくも、そんなワケで(ソ連時代の)観客スタンド取壊しが始まる。まず座席が除去され、半ばコンクリの廃墟化したスタジアムに、国家機関『特別校モスクヴィチ』修業生、OB選手、OB職員らの家族が招待された。
これ…何をやってるか?と言うと、何せ歴代のロシア人メダリストらが鍛え競い巣立った「栄光のスタジアム」である。もう取り壊しちゃうんで「それこそ朽ちた石畳の一部とか、記念に思えるもんなら割るなり砕くなり、好きなだけ持ち帰ってイイよ💗」という無料開放&放出バザーなのだなw 思い入れがなきゃ無価値なゴミ片だが、名残惜しい人には特別に都合してあげるのも、また昔っからのロシア流だ。
さて次回投稿では、本記事の続き。
この破天荒な「五輪スタジアム」着工から完成まで1年余の道のりを、現場スナップ画像で追ってみるよ。…それじゃ
=了=
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