今月10日の深夜(正確には、明けて11日午前)イリノイ州エドワーズヴィルに在ったAmazon Distribution Centerを約4分間、強大な竜巻が襲った。屋根の2/3ほどが引きちぎられるように崩落、6名の夜勤従業員が死亡した。
この広大な物流センター、どんな場所だったのか。多くの日本のニュースでは「倉庫」と言ってるが、もちろん単なる倉庫なワケはなく、受注から仕分け出荷までの機能を併せ持つ「俗に言う、配送センター」である。どんな状況の場所なのか、備忘録代わりに画像でまとめてみた。
1.被災した夜の現場
2.現場の翌朝、空撮
3.被災する前の様子
↑ 最終の梱包工程だけは人間が行うが、ピッキングしてるのは縦横に走行するAIドローンたちだ。
4.センター周辺の地域
ニュース映像だけ観た日本人の多くは、あんな大きな配送センターが被災してアメリカ中部諸州のAmazonユーザーは大変だ、と思うかもしれない。が、Amazon本家の「規模」を舐めてはイケない。
現場は日本で言う「インターに近い田んぼの中の倉庫街」で、これがアメリカではスケールが違い「巨大配送センター街」❕❔になってる。
エドワーズヴィルの「配送センター地帯」にはAmazonだけで4棟の物流ハブ拠点を構えており、今回はこのうちの1棟が被災したにすぎないのだ。
なので信じられないかもしれないが、6名の従業員が死に物流センターの1棟が瓦解したくらいでは、本家AmazonサイトのTOPページには何の「被災による一部お届けの遅延」ウンヌンの案内は掲載されない。米国Amazonは何食わぬ顔でクリスマス商戦モードだ。
もっと言えば、さらなる被災者を捜索してる11日朝から、センター内の(屋根が飛ぶ)被害を免れたフロアの部署は通常営業で💧当番の従業員たちは(いつも通り)出社して所定の労働に課されてたのだった。かつて豪勢を誇った1950~60年代のバラ色のアメリカン正社員ライフの常識は、今や完膚(かんぷ)なきまでに消失。アメリカと言えど「社畜ピープルの容赦なき隷従されよう」は、日本のわれらニート族の日常と大差無いのだ。
5.最後に余談…
航空写真を眺めてたら、被災現場の近くに「奇妙な地形」を見つけた。
移動民族アメリカ人に独特の「住宅街」で、その昔の70年代などはトレイラーハウス族が行き交っては「駐車&臨住」したモバイルホーム・パークの、その古い敷地のひとつだ。こうした「公園」では、いつしかトレイラーハウスより、安手の建売プレハブが増えた。定住希望者が最低の予算で「マイホームを買う」には、地面を買わなくて済む窮余の策なんだろう。
今では新規入居者も少なく、事実上の「低所得者の人生が最終的に流れ着く“廃屋”街」になってしまってる所も多い。この写真の住宅街も(Googleストリートビューで見ると)まさに、そういう生活苦を抱えた住人たちが「ささやかに食いつないでいる」的な空気感に包まれてた。
まさに こういう場所に、Amazonの最新設備を備えた物流センターが並び立ってる……というのも、現代アメリカ社会の縮図を見てるようだ。
=了=
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