関心空域 ━━ す⊃ぽんはむの日記

元「関心空間」の日記(引っ越し後バージョン)です♪

🍁行楽の秋🍁── 河の大蛇行、大自然のスぺクタルを満喫する景勝地に……ならないニッポンの"お国事情"

2020年10月18日 | 日記

アメリカはアリゾナ州に、だいたいの日本人も写真で知ってるホースシュー・ベンドという観光名所がある。あの大河コロラド川が、そこだけ盲腸のように小っちゃく「ひ」の字型にうねって蛇行してる。

その270度ぐるりと曲がる、コロラドの雄大な流れ。その侵食でエグり出された孤島のような"岩礁"を、そのまた反対岸の絶壁から見下ろせる❕ ということで全世界の脚光を浴びた。

ところで今……あえて「小っちゃく蛇行」と記したのは、このスポットがけっして「壮大なスケールの光景ではない」ことを分かってもらうためだ。アメリカの山河の景色はすべてが大規模すぎる💧ゆえに、ここが一番の名所になったのは「曲がってる蛇行を一目で視界に入れられるほど小さいスケールに凝縮されてた」からに他ならない。

周辺の地図を見れば、『ホースシュー・ベンド』がいかに小さい、サイズ的には取るに足りない“みみっちい”蛇行箇所に過ぎないか、一目瞭然である。


一方、それとは対照的なのが中国。

お隣の大陸に拡がる中国にも、雲南省に長江第一湾という”川の蛇行ぶりを愛でる観光スポット”が在る。ここは長江水系の1本=金沙江の、文字通り「スケールの壮大な河の方向転換」を満喫できる、という触れ込みで世界に名を馳せた。

ここは金沙江(=長江の源流)が「ずっと南に向かって流れ、初めて大きく北へと向きを換える地点」として名高いんであって、蛇行そのものは「ゆるやかな曲がり」レベルである。実際には180度にも満たない、つまりUターンにも足りない方向転換でしかない。

しかも、大河がうねる場所にしては外側の周回岸の地形がエグられておらず、一部に小高い丘陵があるだけ。そこの展望台に上らないと(大蛇行のパノラマを)一望できない💧 のだ。その小山以外は一面、なだらかな平原に農地が拡がり、もはや川面は湖のようにしか実感できない。

しかもしかも。ここの場合は過去20年で近代化による開発の波が押し寄せ、川べりは2万人以上が暮らすちょっとした新興タウンと化しちまってる。これじゃあ例の、エジプトの「スフィンクスの目前に拡がってる日常の繁華街」と一緒。大自然の荘厳さに浸りたい旅行者には興醒め💧 だろう。


ま、世界東西の「名だたる蛇行スポット」と言っても、実態はこの程度のシロモノである。

火山の国、川の国ニッポンにも、あれらに負けぬ「蛇行スポット」くらい(探せばいくらでも)見つかるのではないか。なぜ景勝地として注目を浴びてこなかったのか。日本人の抱く「山河の美観」には、世界的な感性基準とはズレた何かでもある❔のだろうか。

たとえば信濃川水系 ───。

その源流のひとつ犀川(さいがわ)が、水系で一番の「周回半径」でもってグルリ270度うねる「蛇行の里」長野県生坂村"絶景"なんて どうだ❔❔ おおまかなスペックを、前述の二大観光地と比べて図解すると以下のごとし。生坂村は『長江第一湾』なんかと違い、蛇行河川の外岸は丘陵が囲んでるんで眺望も申し分ない。


ダメかねえ。日本じゃ「ありふれた景色」に埋没しちまうんだろか。

ひとつだけ決定的に足りないのは、蛇行する「川自体のスケール観」なんだよな。コロラド川や長江なんかと比べられちまった日にゃ、ニッポンの「一級河川」ごとき、チョロチョロ流れる小川(おがわ)に過ぎん。でも、そーゆう箱庭のような狭い国土の中で昔っから、松島や霧島連山を愛でてきた日本のこころも在った。躍動する河川が作り出した地形にも、同じような審美眼が培(つちか)われて良いような気がするんだが……。
=了=



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