なのでgooさんに移っても、この慣習は変えません。 今夜の"お題"はNETFLIX限定配信の『ARQ: 時の牢獄』。 テーマ的には(よくある)タイムループ脱出サスペンスです。 ・・・などという表現をとれば、さしもの『恋はデジャ・ブ』は 「タイムループ脱出コメディ」!?ってコトになりますか。
さて、この作品。 理屈的にオカしなところがいくつか、散見されます。 いわゆる「ツッコミどころ満載」というやつです。 なかでも一番ゲセない、「おいおい、それはないだろ??」と思った点を書いてみようと思います。 作品のつくりやカメラワークは(こうした低予算作品のなかでは)及第レベルにあり、批判的な感想を吐く意図ではありませんので、誤解なきよう。
【💥警告💥】 ↓以下、完全にネタばれ。 先入観ゼロで本編を(これから)鑑賞しようと思ってるかたは読まないでください。
問題の発覚は、終盤のシーン。 永久機関『ARQ』の及ぼすタイムループ現象が、直径数十メートルの空間でのみ起こっている、と説かれます。 それより外では、時間は正常に流れ続けている。 と、いうコトで、これを〈前提1〉とします。
そして最後のクライマックス。 『ARQ』圏内での時間の反復は「これまでに数千回は繰り返されていた」という衝撃の?事実が・・・。 これを〈前提2〉とします。
何千回目かの最後に、敵となる企業の傭兵が戦闘ロボを(作品の舞台、主人公の)住宅内に突撃させるよう、司令部に要請。 ほどなく、ZMPと呼ばれる歩兵ロボが急襲してくる・・・あの印象的で To Be Continue 的?なラストへと。
そこで、もう1点。 ストーリー前段で、"強盗団"が3Dテレビを観ています。 リアルタイムな放映なハズですが、「トーラス(前述の産軍複合体企業)がLA区を制圧、戦勝の報が世界に…」などとニュース映像が流れますね。 まずここで〈前提1〉との関係で、疑問が生れます。 実際には、舞台の外側の世界ではフツーに時間が流れているハズです。 当然、TV局の時間もです。 フツーに考えたら、ここで受信されるニュースの中身は(登場人物の感じてる時間に対し)1ループするごとに1日、未来へズレていかないとイケない。 何十回とかループした日にゃ、いくらナンでも 〈ナンで 何か月も未来の光景が映ってるんだァ!?〉という話になり^^; ブロック(=当初は強盗団に思えた「抵抗民兵組織」) の一味は「起きている異変」に気づかされたでしょう。 ループ前の記憶があるとか、ないとか以前に!です。
まあ1000歩譲って、このARQ圏のなかだけはループ以前の時空と繋がって?て、TVニュースの電波も、歩兵ロボも、「その過去時点の世界からARQ圏内に やってくる」という説明を受け容れたとしましょう。
でも、解せなさは残る!のです。
それは終盤、主人公と元恋人ハンナが住宅の外へ脱出、例の「ARQ圏との境界」に気づくシーン。 ここで〈前提2〉を思い出してください。 彼らは(つか、彼らだけは)もう数千回のループを経て、たとえば3600回目だとすれば10年近くも「過去の時代」に幽閉されてる話になります。
辺りは一面、トーラス社が内戦に勝利して10年後、の世界です。 フツー、戦後復興が進み、トーラス社独裁の「秩序」が体を成しつつある光景が広がってなくてはなりません。 もちろん、「1万年は人類が住めない荒廃」との伏線らしき表現も見られますが、だったら人気(ひとけ)の皆無な、風の音だけが響くような荒れ野が広がってる…とかの(もっともらしい)描写がされて然るべきでしょう。
なのに、ですよ。
時間反復の「圏外」の光景として描写されるのは(画像↓下)、戦火の煙あがり、旅客機?墜落の痕跡も生々しい、モロ!内戦で疲弊したロサンゼルス郊外のそれ。 戦闘機らしき機影と爆音も遠方上空に映されます・・・これ、すなわち「トーラスの勝利どころか、"LA陥落"から10年経ってもドロ沼の戦闘状態」ってコトかい?? って話です。
さらに言や、仮に主人公らが(何万ループ目かの未来に)ARQを(数百年前の"過去"世界で)ブロックに引き渡せた?としても、です。 こんな小範囲のエリアしか時間を反復させられないんじゃ、兵器としての利用価値は薄いでしょう。 都市を飲みこむほどの「威力」にグレードUPするには、おそらく相当な建造年月をかけてビル1棟ほどもある巨大施設にしなくては。。。それを、トーラス社の完全優位にある(占領下の)LAで成し得る・・・としたら、それも非常に説得力に欠けるシナリオと言わざるを得ませんですからね~え。 はい。
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