関心空域 ━━ す⊃ぽんはむの日記

元「関心空間」の日記(引っ越し後バージョン)です♪

鑑賞前の"裏"ガイド🎬 ─── 実は、新作『トムとジェリー』のココが❕ スゴかった🌞

2021年03月10日 | 日記

アメリカの長寿人気アニメ『トムとジェリー』が誕生80周年で「実写コラボ化」される❕ と話題を撒いたのが、昨年11月。コロナ禍の中ひと冬越して、日本でもいよいよ劇場公開が間近に迫った。

初報でYoutubeにトレイラー」が上がったとき、わたしは当ブログで「21世紀にもなって『ロジャーラビット』(88年)みたいな、平面アニメと実写を合成するようなレトロ手法をナンで蒸し返すのだろう❔」と、制作者の真意を訝った。

で実は今回、ひと足早く海外ストリーミング版を鑑賞してみたら……いや意外。少しばかり、考えが変わったのだ。

これ結構、冴えた実験ムービーなんではないか❔ そう思えてきた。なぜそう感じるか、順不同に説き連ねていこう。ストーリーのネタバレなし。メイキングのネタバレは満載】
 
 
 
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最初から記してしまうが、この作品は実写ロケと2次元アニメの合成ではない。そこが前世紀の類似企画とは大きく違う。実写ロケでない❔ どういうことか順に見てく。

まず最初に、本作はニューヨーク市内の老舗ホテルが舞台。なのだが基本、リアルNYではロケしてない。他で撮ったりCG製の「仮想NY」と俳優たちを(トムやジェリーと一緒くたに)合成してる。他で撮った、というのはズバリ、英国ロンドンである。

特に、ハリポタの撮影セットを一挙展示したテーマ館があることで(世界的に)知られる、あの ❕ ワーナーブラザース・スタジオで9割以上が撮影された。具体的な中身は記事後半で解説する。

実際のNYが写ってるのは(ときどき差し挟まれる)セントラルパーク上空からの空撮映像、それに、オープニングシーン。あとは序盤に、セントラルパーク内でキーボード・ライブ演ってたトムにジェリーが乱入して💧 例によってバトル&チェイスを繰り広げる数分間のシーンのみ。

ストーリーでは、公園を猛ダッシュして遊歩道に突っ込むジェリーの前に、共演❔ヒロインのクロエ・モレッツ嬢がバイク漕ぎ漕ぎ🚲やってくる───ここが、彼女の「初登場シーン」となってるワケだ。


当然、彼女のいる「そこ」はセントラルパークのハズ…なのだが、待て待て。

観客は「彼女も周囲も自転車が左側、歩行者が右側通行してる」ことに異変を感じてもらいたい。一瞬にして、切り替わった映像がアメリカ国内じゃなくなってる💧ことに

オドろきだがクロエちゃんは本作の撮影中、ずっとロンドンに缶詰めになってて、NYには一度も行ってないのだ。クロエちゃんの登場する「公園シーン」は全部、ロンドンで撮影されている。映像の背景に写った諸アイテムの特徴からGoogleストリートビューで「歩き回る」と、果たして撮影地点に間違いないと思われるスポットが同市バタシーパーク内で確認できた。

こっちが映画。
※ちなみに「三つコブの樹」と示したのは、老木の手前っかわの樹皮が(白マルでポイントした通り)3段に渡ってボコボコと瘤(コブ)のように隆起してることを指してる。


で、こっちがGoogleストリートビュー。


【補足】映画の映りは被写界深度が深いので「遠くのモノが引き寄せられ」てる。その意味で比べにくい💧のは勘弁のホドを。
 
 
 
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さて、その何時間かのち……クロエと「主役の」二匹は運命の糸に引かれるように、セントラルパーク沿いに建つ五つ星ホテル『ロイヤルゲート・ホテル』の住人になる。

このホテルというのが100%空想の産物💧 で、NY市内はおろか、世界のどこにも「モデルとしたホテル」が存在しない。全部ロンドンの前述スタジオに「仮設セットとして造られた室内(ロビー、スイーツ、結婚式ホール等)や玄関前の舗道、それにビル屋上」プラス、「CG(ホテルの外壁、天井やガラスの天蓋、さらには空や街路樹、遠景など)」の合成で出来てる。

バーチャルなのはホテルのみに留まらない。ホテルの所在地自体、現実にはあり得ないロケーションに建ってる💧


作品映像の中では、ホテルはセントラルパークの"ミニ観光スポット"でもある『ヴァンダービルト家の門』、その正面に突き当たるT字路の角に建ってる設定になっている【上↑ 画像参照】

しかし現実のニューヨークでは、『ヴァンダービルト家の門』はT字路に面してなど💧いない。

ストーリー上(都合が悪いので❔)場所をズラしたのだとしても、まだオカしなことがある。(1)門の前の歩道も幅が狭かったり、あるハズの石段も無かったりするし、(2)門の奥に広がる公園の光景も💧 丸っきり違う。ただ「鉄格子ゲートそれだけ」がCG複製されて、ありもしない空間に飛んできてるのだ。そもそも「実写」などとはホド遠い「CG世界」が舞台であること、ワカりかけてきたかな

上が本作で"創作された"門、下が現実に存在する門。


画像↑ 上───CG製の名物ゲートの向こうに連なってる広々した園道は、前出シーンでクロエ嬢がバイクを漕いでた「ロンドンのバタシーパーク」の並木道💧 NYから、その門くぐればロンドンへ。あたかも「ドラえもんの どこでもドア」もどき💧である。

同じような錯覚トリックは、ホテル自体にもテンコ盛りだ。

これが“実写”と言われてるホテル前の光景。



けど実写なのは、この下半分だけ。



残りの上半分、奥に映るセントラルパークの樹々や青空は全部CGだ。




例えば終盤、スケボーで大スタントを披露。ホテル前で華麗にジャンプするトム❕ …というこのシーン。


観た人の大半が、ああ実写を背景にして2次元アニメのトムがコラボ合成されてる、と思う。世間では そう宣伝しまくってるから。

ウソである。

このシーンに関しては「フツーに、ただのCGアニメ」。全部がCGで実写とはまったくコラボしてない。本作は、この錯覚トリックこそが冴えわたった傑作💗なのだ。

他の錯覚シーンを見ていこう。これはどうだろうか。


これもNY名所のひとつ、クイーンズボロ橋のたもと『サットンプレイス・パーク』……と思わせたいらしいが、実写ではなく(トムとジェリーを含み)全部がCGだ。何が現実のNYと違うか、その場所の実写フォト2枚↓ と比べよう。


ご覧のように、行き止まり警告標識の支柱根元に黄色い反射板が打ち付けてない…等々、「ムービー映えしない箇所」がトムジェリ版では消されてるのと、一番決定的💧 なのは「そもそも、そこは人の家の玄関先で(公園のエリアではなく)ベンチなど置かれてない」のだった

行ったことある人なら憶えてるかもしれんが、映画でトムたちが座ってた場所は「ここから左手にスロープを下れば公園ですよ」という表札の出てる場所。現実界では『サットンプレイス・パーク』じゃない。
 
 
 
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以上、本作がいかに「実写とアニメのコラボじゃない」作品か、見てきた。正しくは、「CGアニメに実写を合成した」映画。実写部分こそが「付け足されたコラボ相手」なんであり、ベース作品は ほぼほぼCGアニメなのだ。

わたしは「そこが意外性を突いたトリックでスゴい」と感心する反面、こうも考えた…。「だったら、実写がアニメ化されきってないミス編集部分を探すのもオモシろいんじゃないか❔❔」…と。

突けば(きっと他にも)いろいろ出てくるだろうが、ひとまずひとつだけ見つけたので、それを紹介しよう。これまた前出の、ホテル前のシーンだ。停めたSUV車の、黒いボディに映り込む「道路の向かい側の景色」が……なんだかオカしい。


この車道の向かい側……映画の中では こんなに密接して建つビル街💧 もちろん壁だって白くない。


まあそこまで綿密には(予算の関係上)編集し切れなかったんだろね。
 
 
 
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最後……ひとつタネ明かしすると、ここまで話題にしてきた「屋外の撮影セット」は、一部だけメイキング映像に顔を出してる。何度も言うが、“仮ホテル”の造られた場所はワーナーブラザース・スタジオ


で、これが「ホテル前」のセットと「CGアニメに合成後」との “ビフォーアフター"だ。


予告トレイラーにも出てきた(?)出し物のゾウが暴れ出して通りを爆走、ホテル正面口を破壊して逃げてくシーン。

たしかに、実際のセットはSUV車に映り込んでたような「白亜の1階半のハリボテ」に過ぎない💧 ことが見てとれる。表の“道路”の幅は(カメラの位置からだと)優に20mは開いてそうだね。
=了=

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