グーブロのメンテナンスで、1日空いてしまいました。
今日でとりあえず今出せるものの中では最後の作品になります。
この作品は、へちま亭文章塾がお休みになり、復活した最初の回に投稿したものです。第8回目になります。
お題は「苦肉の策」から思い付く文章表現なんでも。
それでは2006年6月15日投稿締切り、題名は、『せかいでいちばんおいしいでしょう?』!
『せかいでいちばんおいしいでしょう?』
「アキちゃんにはまだ無理だって!」
娘のアキコが料理をしたいと言い出した。まだ4歳だ。
大好きなヨウタ先生にお弁当を作ってあげたいのだという。
「何を作りたいの?」
「すてぇき!」
「まあステーキ」
「カンタンカンタン」
「まあ」
アキコの背はコンロに置いたフライパンの取っ手にようやく手の届く高さだ。
包丁持たせるなんてとんでもない!
アキコには諦めさせることにした。
「ゼッタイお料理作るもん」
「アキちゃん、ほら、これ」
おままごとセットを勧めようとする。
「イヤ!」
餌には釣られない。先生への愛だろうか。たんなる意地?
「もう寝るからぁ。入ってこないで!」
部屋のドアをばたむと閉めた。しかし閉まり切らないで少し開いている。
娘は何をやらかすつもりだろうか。
今は見守るしかない、か。
危ない事にならないように気を配ろう。最低限の親の務め。本当に。
翌朝。
「これアキちゃんのお弁当ね。ほんとに先生に作ったお菓子持って行かなくていいの?」
「ウン。いらない!」
娘は元気だ。
今日も幼稚園へと出発。
***
お昼の時間になった。
持ってきたお弁当を普通に頬張るアキちゃん。
そして、お昼寝の時間が終わって、帰りの時間が近づいた。
アキコがヨウタ先生にてけてけてけと近付く。
「せんせいお腹すいた?」
「そうだなぁ…少し」
大好きなヨウタ先生の笑顔。これでアキコも上機嫌。
「これっ!」
アキコは先生に何やら差し出す。
「?」
どうやらスケッチブックのようだ。
何か描いてある。
「これはなに?アンパンマン?」
アキコのほっぺがプウと脹れる。
「はんばぁぐ!」
「あぁ、ハンバーグかぁ」
「だよ。せんせい食べて」
先生は食べるふり。
「ん。モグモグモグ…おいしかった!」
「なくなってなぁいぃ!」
「え?じゃあ…」
先生はハンバーグの描いてある所だけ切り取ろうとする。
「モグモ…」
「やぶっちゃだめぇっ!」
「えっ」
ヨウタ先生はアキコにジッと期待を込めた熱い眼差しで見詰められているのだった。
今日でとりあえず今出せるものの中では最後の作品になります。
この作品は、へちま亭文章塾がお休みになり、復活した最初の回に投稿したものです。第8回目になります。
お題は「苦肉の策」から思い付く文章表現なんでも。
それでは2006年6月15日投稿締切り、題名は、『せかいでいちばんおいしいでしょう?』!
『せかいでいちばんおいしいでしょう?』
「アキちゃんにはまだ無理だって!」
娘のアキコが料理をしたいと言い出した。まだ4歳だ。
大好きなヨウタ先生にお弁当を作ってあげたいのだという。
「何を作りたいの?」
「すてぇき!」
「まあステーキ」
「カンタンカンタン」
「まあ」
アキコの背はコンロに置いたフライパンの取っ手にようやく手の届く高さだ。
包丁持たせるなんてとんでもない!
アキコには諦めさせることにした。
「ゼッタイお料理作るもん」
「アキちゃん、ほら、これ」
おままごとセットを勧めようとする。
「イヤ!」
餌には釣られない。先生への愛だろうか。たんなる意地?
「もう寝るからぁ。入ってこないで!」
部屋のドアをばたむと閉めた。しかし閉まり切らないで少し開いている。
娘は何をやらかすつもりだろうか。
今は見守るしかない、か。
危ない事にならないように気を配ろう。最低限の親の務め。本当に。
翌朝。
「これアキちゃんのお弁当ね。ほんとに先生に作ったお菓子持って行かなくていいの?」
「ウン。いらない!」
娘は元気だ。
今日も幼稚園へと出発。
***
お昼の時間になった。
持ってきたお弁当を普通に頬張るアキちゃん。
そして、お昼寝の時間が終わって、帰りの時間が近づいた。
アキコがヨウタ先生にてけてけてけと近付く。
「せんせいお腹すいた?」
「そうだなぁ…少し」
大好きなヨウタ先生の笑顔。これでアキコも上機嫌。
「これっ!」
アキコは先生に何やら差し出す。
「?」
どうやらスケッチブックのようだ。
何か描いてある。
「これはなに?アンパンマン?」
アキコのほっぺがプウと脹れる。
「はんばぁぐ!」
「あぁ、ハンバーグかぁ」
「だよ。せんせい食べて」
先生は食べるふり。
「ん。モグモグモグ…おいしかった!」
「なくなってなぁいぃ!」
「え?じゃあ…」
先生はハンバーグの描いてある所だけ切り取ろうとする。
「モグモ…」
「やぶっちゃだめぇっ!」
「えっ」
ヨウタ先生はアキコにジッと期待を込めた熱い眼差しで見詰められているのだった。