つい昨日、第9回へちま亭文章塾の奨励賞・共感賞・かんとう賞が発表されました。
ついでに作者名も同時に発表です。
残念ながら今回、僕はどの賞にもひっかかりませんでした。(ToT)
各章の発表は↓のアドレスから。
http://bunshoujuku.asablo.jp/blog/
というわけでついに解禁!
第9回へちま亭文章塾、お題「「殺し文句」から思いつく文章表現」・「2005年7月1日のへちま亭 1330「受容」・7月3日のへちま亭 1332「続・受容」・7月4日のへちま亭 1333「続々・受容」を読んで思いつく文章表現」
ちなみに、
「受容」
http://hechima.asablo.jp/blog/2005/07/01/27340
「続・受容」
http://hechima.asablo.jp/blog/2005/07/03/27991
「続々・受容」
http://hechima.asablo.jp/blog/2005/07/04/28344
を、参照のこと。
もう一度最初から書きます。お題「殺し文句」・「受容」両方。題名は『手を繋いでみましょうか~もう一度~』です!
なお、今回ブログ掲載にあたり、文章塾投稿時のものから大分手を加えました。
参考にさせていただいたコメントを書いてくださった皆様に感謝!です。ではどうぞ。
『手を繋いでみましょうか~もう一度~』
男の妻と子は容疑者によって全員殺害された。
事件の犯人はすぐに逮捕された。しかし男の愛する家族は帰ってこない。
男の生活は荒んでいった。
掃除もしない。ゴミも出さない。仕事にはただ行くだけ。
こんなことではいけないと、思いもしない。
ただ、今の状況が受け容れられなかった。
そんな状態のまま6年の歳月が流れた。
男から全てを奪った者には、死刑の判決が下された。
その頃男は、慰みをパソコンの中の世界に求めていた。
「何もかもが空疎です。今すぐにでも死にたい」
チャットに何の脈絡もなくこんなコメントを書いた。
すると電話がかかってきた。
「どうなさいましたか?」
電話の向こうの優しい声に、いつしか男は全てを打ち明けていた。
この相手・浅野と、男は会うことになった。
当日、浅野は女性を連れて待ち合わせ場所にやってきた。
挨拶も早々に、浅野は女性を紹介した。
「こちら、小石川律子さん」
聞くと、この女性も家族全員を事故で亡くしたという。
「あの電話の後、小石川さんと知り合いましてね。あなたの話をしたら是非会いたいと」
男は律子の顔を見た。決して美人ではないが、何となく亡くなった妻に似ている気がした。
それから2人は、互いを襲った悲しい出来事を中心に話した。涙ぐみながら、話を聞きあった。
その日は別れ、男は律子とまた会うこととなった。
そして何度かデートを重ね、
今日は何時間この人と話をしたろう、男がふと思った時、律子が口を開いた。
「再婚する気はありませんか」
「えっ?」
突然の言葉に男は狼狽する。
「私、あなたのことが好きです。大丈夫、この二人が今より不幸になるなんてことはありませんから」
なるほど、と男は思った。
そしてその一言で、男は律子と一緒になることを決めた。
「指輪を買わないと」
「そんなもの要らないわ、ほら…」
男は思った。
「地に足が着き、我に帰る余裕を持った時、初めて人は自分の置かれている状況を受容することができるのだ」
ついでに作者名も同時に発表です。
残念ながら今回、僕はどの賞にもひっかかりませんでした。(ToT)
各章の発表は↓のアドレスから。
http://bunshoujuku.asablo.jp/blog/
というわけでついに解禁!
第9回へちま亭文章塾、お題「「殺し文句」から思いつく文章表現」・「2005年7月1日のへちま亭 1330「受容」・7月3日のへちま亭 1332「続・受容」・7月4日のへちま亭 1333「続々・受容」を読んで思いつく文章表現」
ちなみに、
「受容」
http://hechima.asablo.jp/blog/2005/07/01/27340
「続・受容」
http://hechima.asablo.jp/blog/2005/07/03/27991
「続々・受容」
http://hechima.asablo.jp/blog/2005/07/04/28344
を、参照のこと。
もう一度最初から書きます。お題「殺し文句」・「受容」両方。題名は『手を繋いでみましょうか~もう一度~』です!
なお、今回ブログ掲載にあたり、文章塾投稿時のものから大分手を加えました。
参考にさせていただいたコメントを書いてくださった皆様に感謝!です。ではどうぞ。
『手を繋いでみましょうか~もう一度~』
男の妻と子は容疑者によって全員殺害された。
事件の犯人はすぐに逮捕された。しかし男の愛する家族は帰ってこない。
男の生活は荒んでいった。
掃除もしない。ゴミも出さない。仕事にはただ行くだけ。
こんなことではいけないと、思いもしない。
ただ、今の状況が受け容れられなかった。
そんな状態のまま6年の歳月が流れた。
男から全てを奪った者には、死刑の判決が下された。
その頃男は、慰みをパソコンの中の世界に求めていた。
「何もかもが空疎です。今すぐにでも死にたい」
チャットに何の脈絡もなくこんなコメントを書いた。
すると電話がかかってきた。
「どうなさいましたか?」
電話の向こうの優しい声に、いつしか男は全てを打ち明けていた。
この相手・浅野と、男は会うことになった。
当日、浅野は女性を連れて待ち合わせ場所にやってきた。
挨拶も早々に、浅野は女性を紹介した。
「こちら、小石川律子さん」
聞くと、この女性も家族全員を事故で亡くしたという。
「あの電話の後、小石川さんと知り合いましてね。あなたの話をしたら是非会いたいと」
男は律子の顔を見た。決して美人ではないが、何となく亡くなった妻に似ている気がした。
それから2人は、互いを襲った悲しい出来事を中心に話した。涙ぐみながら、話を聞きあった。
その日は別れ、男は律子とまた会うこととなった。
そして何度かデートを重ね、
今日は何時間この人と話をしたろう、男がふと思った時、律子が口を開いた。
「再婚する気はありませんか」
「えっ?」
突然の言葉に男は狼狽する。
「私、あなたのことが好きです。大丈夫、この二人が今より不幸になるなんてことはありませんから」
なるほど、と男は思った。
そしてその一言で、男は律子と一緒になることを決めた。
「指輪を買わないと」
「そんなもの要らないわ、ほら…」
男は思った。
「地に足が着き、我に帰る余裕を持った時、初めて人は自分の置かれている状況を受容することができるのだ」