おっちーの鉛筆カミカミ

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The ReBirth of LoveWorld

2008年10月02日 01時18分06秒 | 文章塾
※この作品は、同日アップの文章塾作品『The Death of LoveWorld』の続編です。
 それでは、ごらんください。( ̄▽ ̄@


   *  *  *


   The ReBirth of LoveWorld


「ばぁば?」
 リリィの孫が初めて喋った。
「ねえ今!」
 娘のクィスが、リリィの肩を叩いて喜んでいる。
「この子は…」
 リリィが語り始めた。


 カルロスが死んでからしばらく経った。リリィはカルロスとの間にできた娘――クィスと2人で生きていた。
 仲間とも、闘いとも、縁を切った。

 カルロスとの別離があった直後は、リリィは死ぬことさえ考えた。その度に仲間に救われ、娘の言葉に助けられた。
「お母さん、そんなんじゃお父さんと神の国で再会なんてできない」
 クィスはその時、溢れそうな涙を必死に堪えて母に説いた。

 生きなきゃ。

 光が見えなくたって、生きている存在は、定め通り、生き続けなくてはならない。

「私は何に向かっていけばいいのだろう」
 リリィには判らなかった。
 しかしリリィはそれが、娘には見えているように感じられた。
『生命は自然の一部であり、その理に沿って在り続けることに、真実がある』
 クィスの中に根ざしていた考えはその事であり、それが、娘の心に光があり、母の心が闇の中にあり続けなければならない理由の1つだった。

 クィスが、結婚をした。
 クィスと同じ、ハーフエルフ――妖精エルフと人間の混血――の青年だ。
 彼が混血であったことからくる、一筋縄ではいかない苦労の連続は、彼の顔に色濃く刻まれていた。
 なんとなくカルロスを思わせる…
 リリィの第一印象だった。
 それでも娘を取られたようで、リリィは婿には無愛想であった。
 そして、クィスが息子を産んだ。

 生まれた孫を見たとき、ハッとした。リリィは魂で判った。この子はカルロスだ。私の孫は、私の亡き夫と同じ魂を持っている!
この子は、あの男性の、強き心を持っています。
けれども、愛に飢えていたあの魂。

「ばぁば?」
 それが彼の初めて口にした言葉。
「この子はカルロスです。私はこの子を、精一杯の愛情で包んでやろうと思う」

 それは、リリィのカルロスに対する愛の、新たな復活であった。
 リリィは今、光の指す方向を見つけた。


   *  *  *


 「第28回文章塾という踊り場」お題「「世界の始まり・世界の終り」」への投稿作品です。〆切は、2008年9月6日でした。
 塾生の皆さんから寄せられたコメントと、それに対する僕のレスはこちらから。

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2 コメント

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儚い預言者さまへ (おっちー)
2008-10-02 15:26:58
 文章塾でもコメントいただいてるのに、再度のコメントおそれいります。ありがとうございます。

 「生きる」の意味……継ぎ接ぎだらけですが、それでも生きるんですね。
 生きるための「幹」が欲しいところです。
 このリリィにも。 
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Unknown (儚い預言者)
2008-10-02 06:02:55
なるほど。「生きる」の意味。不可思議とは運命と魂の喜びに、合間見ること。流れることの憂愁と喜悦は、思い出との合従にひとつの夢を綴る。
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