私の亡き両親は二人とも認知症だった、父は85歳のとき、母
は94歳ときだった、二人とも認知症のなかの「レビー小体型
認知症」で幻視といって、知らない人が部屋にいる、遠くにい
るはずの子供が帰ってきたと訴えたりする症状と妄想の症状、
誰かにお金を盗られた、家族が偽物、配偶者に恋人ができた等、
確かに二人とも共通した症状がでてたが、まさか両親とも同じ
症状の認知症になるとは思わなかった。
正直変わり果てた親の姿に子供としてショックだし動揺したこ
とは確かである、それでも振り返ってみて両親の気持ちを考え
ると複雑な思いだった、父が亡くなったあとに見つけたメモ用
紙にこんなことが書いてあった「何でこんな認知症なんかにな
ったんだろう、苦しい、つらい」
明日がどうなるかわからない苦しみ、老いて弱くなっていく情
けない自分と人生の荒波を乗り越えてきた誇り高い自分、そん
な揺れ動く思いのなかで必死に闘っていた両親のことを思い浮
かべると、時々胸が締めつけられる思いになることがある。