狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

ビーチパーリィ

2007-04-22 07:26:15 | 食文化

我が家の愛読紙(何時もボロクソに言っているが)琉球新報朝刊一面の下段のコラム欄の下辺りに書籍の広告が良く載る。

1コマ当たりのスペースが縦長なので書籍のタイトルも縦に表示してある。

昨日の広告にあった、「ビーチパーリィ」(勿論縦表示)という本のタイトルを見ておや?と思った人もいただろう。

一瞬「ビー・チパーリィ」と読んでしまったがサブタイトルの「やんばるのキャンプ・海水浴・潮干狩りの穴場」を見てレジャー案内書だと分った。(フィッシング沖縄社刊)

「ビーチパーリィ」は勿論「ビーチパーティー」の事。

沖縄が日本復帰する前、米人が教えた海岸のレジャーで発音もそのまま受け継いだ。 同じような例でアイスワラ(アイスウォーター)等がある。

ところでウチナンチュなら「ビーチパーティー」といえば鉄板と木炭を海岸に持ち込んでビーフ、野菜等を鉄板で焼く「バーベキューパーティ」を連想する。

テレビを見ていて、これはウチナンチュだけの思い込みで他県の人は「ビーチパーティー」と「バーベキューパーティー」とは必ずしも一致しないことを知らされた。

                   ◇

二年前,タモリの「笑っていいとも」に沖縄出身のお笑いコンビ「ガレージセール」が次のようなゲームをしていた。

ゲストが5人ほど並んで座り、ある言葉を出題される。

それに言葉をつなげて良くある言葉を作るという嗜好。 

お題は「ビーチ」で、これのつく言葉をゲスト次々言った。

コンビの1人(川田)が「ビーチ・パーティー」と言った時、居合わせたゲスト全員からブーイングが出た。

「エー? そんな言葉は無~い!」

彼らは皆揃って「ビーチ・パーティー」という言葉を知らなかった。

他のゲストの答えは確か、「ビーチサンダル」とか「ビーチパラソル」のような言葉だったと記憶する。

なるほどウチナンチュにとっては当たり前の「ビーチパーティー」も、ヤマトンチュにとっては、

「何でわざわざ、ビーチでパーティーするの?」

ということになる。

海浜でわざわざ宴会というイメージか。

ガレッジセールの二人が懸命にバーベキュー等を例に出して説明しても誰も「ビーチ・パーティ」のイメージは理解できないようだった。

ウチナーンチュのイメージでは砂浜でバーベキューをしながら飲んだり食ったりでどんちゃん騒ぎというイメージだろう。

バーベキューとは普通鉄串に刺したピーマン、玉ねぎ、ソーセージであり、間に牛肉が挟まっているもの。

このバーべキューパーティのイメージが湧かないらしい。

しかもこのパーティは必ずしもビーチとは結び付かない。

戦後、牛肉を自由に食べだしたのはそんなに昔のことではない。

国内畜産業を守る高関税の為、牛肉は贅沢品であり庶民には高値の華だった。

ステーキやハンバーグを食べる機会は年に数回もなかった。

復帰前の沖縄では輸入肉が安くで手に入った。

有名な「ジャッキー」を初めとする安い大衆ステーキハウスが当時の観光客の目玉だった。

冷凍にしたステーキ肉は知る人ぞ知る沖縄土産であった。

ウチナーンチュは気軽にゴムぞうりを引っ掛けたニーセー達が昼食にステーキを食べ,時にはAランチを奮発した。

当然のようにビーチに行く時はバーベキューが付き物だった。

バーベキューとは云っても鉄板焼きの分厚いビーフステーキだ。

ビーチパーティではそれを一人で何枚も食べた。

            ◇

東京の新橋はオジサン達の悲しい溜まり場である。

かつてステーキやすき焼きには手の出ないオジサン達が牛肉の香りを求めて新橋名物「牛丼」に群がった。

アメリカのステーキ肉から削り取った脂身と余分な部分の「端肉」を利用した牛ドンはオジサマ族の圧倒的支持を得た。

牛丼は廃物利用のシロモノである。

値段の安いのが売り物だ。

しかし日本人独特の凝り性で味にも工夫がされた。

玉ねぎと醤油、砂糖の独特のブレンドはやがて若者の嗜好を捕らえた。

やがて居酒屋と同じく牛ドン屋も若者達がオジサン族の憩いの場所を奪い取っていった。

復帰前、一時沖縄でも牛丼屋が数軒開業したことがある。

当時の価格ではステーキと牛丼の価格はほとんど変わらなかった。

1年も経たずに牛丼屋は全滅した。

ステーキハウスと端肉の牛丼屋の価格が同じでは勝負は最初から見えていた。

テレビ番組で「ビーチパーティー」がブーイングされるのを見て、

「ビーチパーティー」は、アメリカが残した沖縄独特の習慣だと悟った。

そう、「ビーチパーリィ」はウチナービケーン。

 

蛇足1:「ニーセー」 ⇒ 二歳⇒ 青二歳⇒ 青年

蛇足2:Aランチ⇒A、B、Cの各ランチセットの中で最上級のランチ(とんかつ、ハンバーグ、チキンフライにステーキまで付いている場合も有った)

蛇足3:ウチナービケーン⇒ 沖縄ばかり ⇒沖縄独特

蛇足4:ビーチパーティーを楽しむ http://www.tai-ga.co.jp/johositu/kanko/source/umi/beachjyoho1.html            

コメント

ソーミン・チャンプルーの極意

2007-01-25 07:15:12 | 食文化

納豆には何の罪もないのだが・・・。

テレビの誇大宣伝の為納豆業者は大迷惑だと聞く。

沖縄では最近でこそ納豆が日常の食卓に馴染むようになった。

その結果スーパーでは欠かせない食べ物になったが、米軍占領下の沖縄では納豆はなじみのない食品だった。

その一方最近では沖縄発の沖縄独特の食べ物が全国区になった例も多い。

ゴーヤーちゃんぷるーなどは今では説明なしでわかる人も多いだろう。

沖縄の居酒屋では沖縄料理、特にちゃんぷるー料理を欠かしてはやっていけない。

試しに先日新年会をした居酒屋のメニューの沖縄料理を覗いてみた。

豆富ちゃんぷる 580円 (豆腐)

ゴーヤーちゃんぷる 580円 
 
ソーメンちゃんぷる 450円 
 
フーちゃんぷる 580円 (麩)
 
チキナーちゃんぷる 580円 (からし菜)

堂々とちゃんぷる料理が4品覇を競っているがこの他にも「まーみなー(もやし)ちゃんぷる」をメニューに入れているところもある。

ただし「豆腐ちゃんぷる」と「まーみなちゃんぷる」では区別がつきにくいという人もいる。

両者とも豆腐ともやしの炒め物だが、その量の多さで「豆腐ちゃんぷる」になったり「まーみなちゃんぷる」になるとこが如何にも沖縄らしい。

沖縄で「ソーミン・ちゃんぷる」として親しまれているソーミンは勿論そうめん(素麺)の沖縄訛り。

沖縄の日本復帰以前は「ソーミン」は沖縄語で、それを大和口(標準語)で言うと「ひやむぎ」だと思う人が多かった。 

物の本によると、そうめん(素麺)は、小麦粉を原料とした乾麺のひとつで、日本農林規格(JAS規格)によれば、機械麺の場合、素麺の麺の太さは直径1.3mm未満とされている。

ちなみに直径1.3mm以上~1.7mm未満は冷や麦、1.7mm以上はうどんと分類される。

ひやむぎはそうめんと違い、西日本一帯では知名度が低いとも言われている。

今でも沖縄ではひやむぎという言葉は殆ど聞かない。

夏でも「ひやむぎ」ではなく「冷ぞうめん」が主流だ。

                    ◇

そうめん料理といえば夏場の冷ぞうめんも旨いが、一年を通してはなんといっても「ソーミン・ちゃんぷる」。

誰でも簡単に作れるが本当に美味しい「ソーミン・ちゃんぷる」となるとその奥義は深い。

たかが「ソーミン・ちゃんぷる」、されど「ソーミン・ちゃんぷる」。

友人の一人にその奥義を窮めた男がいた。

以下はプライベイト・サイトに発表した門外不出の秘伝の転載。

≪『Date:  2007年1月23日(火) 午後8時11分
Subject:  ソーミン・チャンプルー調理の極意

前に酒を飲みながらソーミン・チャンプルーを造るのは難しいという話をしたことがある。

麺が団子状になりとてもソーミン・チャンプルーとは言えない代物ができる。

たまたま合奏団の新年会で、団員の旦那がソーミン・チャンプルーを造って出してくれた。美味しかったので造り方を伝授してもらった。

彼の秘伝は、茹でたソーメンをざるにあけすぐ塩を振り、油を掛けて箸で解すというものであった。

この方法だと確かに美味しいソーメン・チャンプルーが出来る。

だが、ざるに空けてから油をまぶすと大匙3杯分ぐらいの油が必要であり、食べたときに脂っこさがどうしても気になる。

次に油をまぶした麺を具に絡めるのであるが弱火にかけた具の入った鍋に麺を移し弱火のまま麺に具を絡めるというものである。

麺を改めて具といためるわけではなく、麺に具を絡めたら火からおろして出来上がりである。

色々試した結果、この方法には幾つか問題があるというのが分かった。その問題とは、

1.麺をざるに空けた瞬間にざるのそこの麺は、塊になってくっついてしまう。油を塗しても固まりは解けない。

2.麺を解す油が大量に必要。約大匙3杯分の量が必要である。それでも十分解すことは困難である。

3.弱火にかけた具入り鍋に麺を移すとすぐなべ底に麺がくっついてしまう。

そこで幾つか改善を試みてみた。うまくいったので其の方法を皆さんに伝授する。試してみるかどうかは皆さんに任せる。

具の材料:適当な野菜;ナス、根菜以外であれば好みで使用できる。今日は、ニラ、ブロッコリー、キャベツを使った。

     トウーナー缶小

調味料:醤油、塩、味の素

主材料:ソーメン、サラダオイル

調理法;1.具を油でいためる、味付けをしておく。

    2.麺を茹でる。

ここからが肝心である。沸騰した湯に面を入れ、箸でくっつかないように解す。

麺を入れると湯の温度がおちるが、20~30秒ぐらいで麺が湧き上がってくるので直ぐ箸で麺を摘まみ茹で具合を確かめる。少々芯が残っているのがよい。

麺が浮き上がってきたら、油を小匙1杯分沸騰している湯に注ぐ。

沸騰している湯の中で麺は上下に回転しているので、30秒もすれば油が麺の表面に行き渡る。

ざるに空け、水気を切る。適当な大きさのボールに麺を移し、適当に塩を振る。沸騰水に麺を入れてからボールに麺を移すまで約2分。ボールに移したら箸で麺の解れ具合を確かめる。

麺の表面に薄い油膜が十分に行き渡っているので、麺が1本ずついとも簡単にほぐれるはずである。念のため箸で麺をよく解しておく。

    3.火から下ろした具の鍋に麺を移し具を絡める。これで出来上がり。具を絡めるときに鍋を暖めない。

注意:1.と2.の仕上がりを同時に仕上がるように手順を決めておくとうまくいく。

余談であるが、例年中元や歳暮としてソーメンが5,6箱仏壇に供えられる。今まで処分に困っていたが、これで何とか供えてくれた人に対して不義理をしないでも済みそうである。≫

この門外不出の秘伝で作る「ソーミン・チャンプルー」はきっと絶品だろう。                                             

だが、・・・よせばいいのにY君の「ソーミン・チャンプルー調理の極意」に疑問を呈し質問をしてしまった。

それが同君の「ソーミン・ウンチク」に火をつける結果となった。

因みにY君、大学時代は化学を専攻し、現役時代は外資系石油会社の試験室長を務めていた。

正に火に油を注ぐとはこのことだった。

               *

≪Y君

「ソーミン・チャンプルーの極意」ありがたく拝読しました。

機会があれば試してみようと思うのだが,・・・

一つ質問が、

茹で上げたソーミンがくっついてしまう前に、前以って油でいためてある具にそのまま混ぜてしまえば、ヒト手間省けて麺に油をまぶせられるのでは?(これはあくまで料理をしない男の机上の空論?だが)

つまり茹で上げてざるに入れ油をまぶす間に団子状態になるわけだから直接具の鍋に入れるということ。

質問ついでに、

★「ソーミン・プットゥルー」は「ソーミン・チャンプルー」の失敗作の別称なのか、

それともそれ自体立派な料理なのか。

「ソーミン・イリチャー」という料理はあるのか。

うーん、いや、ソーミン料理は奥深い!

狼魔人≫


                 * 
 
≪Date:  2007年1月24日(水) 午後2時03分
Subject:  RE: [MACS] Re: ソーミン・チャンプルー調理の極意


早速の講読有難うございます。

 さてご指摘の件について試行錯誤の結果を報告します。

茹で上げた麺を直接具の入った鍋に移して具をいためた油を麺に絡ませ一手間省く方法であるが、これにも問題が有る。

 1.具をいためた油は、具に吸収されまたその殆んどは具の表面に付着し、自由な油は、殆んど残っていない。

2.茹で上がった麺を麺スクイですくい上げると、麺は本来非常に水切れがいいのでざるに空けたときと同様に麺スクイの底の部分の麺は、やはり団子になる。

 

 伝授を受けた方法では、1.の油不足を補うためにソーメンをざるに空け、水切りをし、ボールに移して油を掛けまぶすということになっている。

 茹で上がった麺を蕎麦同様に麺スクイですくい上げてもソーメンの場合は水切れが早いので団子になることを避けることは出来ない。

麺スクイまたはざるに空ける方法で底の部分が団子になるのは麺は水切れが蕎麦より早く上の麺の重量により団子になるのである。

麺をすくい上げて1~2秒で既に団子状になっている。30秒も置くと全体が団子になる。扱いにくい代物である。

 僕の極意の方法では、1.で足りない油を、ざるに空けた麺に大量の油を掛け絡めることを避けることと2.の団子になることを避けることを目的としている。

 ”麺を茹でているときに沸騰水に小匙1敗の油をたらす。”これには元油屋としての経験を基にした考察が加わっている。

 
 余談であるが、茹でるという調理方法はパスタ類に共通した調理法である。

パスタの代表として日常的に我々が接するのは、蕎麦、ソーメン、スパゲッティーである。  

  その形状と材質から水切れは、ソーメンが一番早く其の次が蕎麦かスパゲッティーかというところである。

ソーメンとスパゲッティーは、小麦粉、蕎麦はそば粉である。

ソーメンやスパゲッティーを茹でると表面のデンプンが変質しねばねばしたデンプンに変わる。冷麦ではこの粘粘を落とすために冷水ですばやく洗い、スパゲッティーではオリーブオイルを塗すという方法をとる。

 形状は蕎麦が矩形でスパゲティーが円形でその茹で上がりの太さは、この両者は大同小異である。

一方ソーメンは円形でその茹で上がりは、前両者より細い。

何が言いたいかというと、一人前のパスタの体積が同じである場合、表面積は径が細いほど大きいということである。 

 茹で上がった段階でスパゲッティーにも大量のオリーブオイルを掛けるが、それより細いソーメンには、スパゲッティーの2倍ぐらいの油が必要になる。これでは”★アンダクェーボージャーになること必定。

 如何にして少量の油で大きな面積を被覆するか。

そこでひらめいたのが過去の経験である。

2,3滴の油が海面に落ちたら1~2平方mに簡単に広がってしまう。油が海面に落ちたら公害といって騒がれたが、鍋の中ではこの物理現象が非常に有益である。

 油は、表面張力が小さいので水の上では大きく広がる性質があるが、乾いたソーメンの上では広がらない。

乾いたソーメンの上では広がらないので無理やり油を広げるために油が油の上を流れる状況を作ってやる必要がある。それで大量の油が必要になってくるのだ。

 乾いたソーメンの上で広がらないのであればソーメンの表面がぬれている間に油をまぶせばいいと考えたわけである。

幸いなことに、沸騰している鍋の中では、麺が上下に回転しているので麺は、必ず表面を通過し冷えてなべ底へと沈んでいく。

これが短時間に何回も繰り返されるので、水より親和性のあるソーメンの表面に油が簡単にいきわたることになる。以上、

 
 ★ソーメン・プットゥルーは、ソーメン・チャンプルーの出来損ないか、定かでない。定番料理として出てこないのでソーメン・チャンプルーの出来損ないを揶揄したものではないか。ソーメン・イリチーは、聞いたことが無い。これについては、いずれ又の機会にしたい。

  Y ≫

これで「ソーミン・チャンプルー」の実技と理論は飲み込めたと思う。

ソーミンはその性質上、他の麺類に比べて茹で易く逆にそれが仇となって表面の粘りと相まって一寸気を許すと団子状になってしまう。

ソーミン・チャンプルーの極意は麺の団子化との戦いであった。

その点「冷ソーミン」は水に漬かっているので団子化は避けられる。

突然話が変るが、サッカー初心者の子供たちの試合を見ていると敵も見方もボールを奪い合って団子状になるのが常。

指導者はいかに選手同志の距離をとりパスでつなぐか、つまり団子状化を避けるかが直面する問題である。

元石油関連技術者のY君、ソーミンの団子状化防止の極意を昔悩ませられた「石油公害」に見出した。

大海の石油一滴は公害になるが、鍋の油一滴は「ソーミン・チャンプル」の極意につながった。

うーん、やはり、「ソーミン・チャンプルー」の奥義は深い!

 

★狼魔人注:「アンダクェーボージャー」「油食い坊主」と書き、沖縄の伝説上の盗賊で油が好物だった。

★注:「ソーミン・プットゥルー」、プットゥルーとはポテーとした語感から団子状になったものを意味するとこから「ソーミン・チャンプルー」がくっついて団子状になったもの。

【追記】9:08

昔は体も髪も同じ石鹸で洗っていた。

シャンプーやリンスが一般化され始めたのはそんなに遠い昔の話ではない。

未だリンスが普及する前の話。

石鹸で髪を洗うと汚れと共に油分が 取れてしまい、髪が縺れて櫛が通りににくくなり、場合によっては団子状になってしまうことがあった。

そんな時、髪油を使えば良いのだが油がべとつく難点がある。

そこで簡易リンス(すすぎ剤)として洗面器の水に数滴の油をたらし、これで洗髪後の髪をすすげば薄い油膜が髪の表面を包み一種のリンス効果を得た。

昔の女性はこれによって髪の縺れや団子化を防止した。

結局Y君の「ソーミン・チャンプルーの極意」は「簡易リンス」と相共通するものがある。

 

コメント

納豆売り切れ今も?

2007-01-21 07:29:52 | 食文化
今朝の朝刊を見て何事が起きたかと一瞬ビックリした。

一面トップを五段抜きの大見出しで。

「実験データ捏造」の太い文字が躍っている。

「発掘あるある大辞典」の「納豆騒動」の記事だが、社会面もトップ五段抜き大見出しで、

納豆売り切れ今もとある。

この「納豆騒動」が三面はともかく、一面のトップで大騒ぎするほどのニュースかどうかは別として、このニュースはネット上では既に古くなりニュース価値のなくなったネタだ。

細々やっている当日記でさえも1週間前には既にエントリーしているくらいだ。

ここでも既存メディアがネット情報に一週間ほど置き去りにされていることがわかる。

因みに我が家の新聞は琉球新報だが、「納豆売り切れ今も」とは一体何処のスーパーを取材したのでしょうネ。(共同配信で3大阪その他の地域のスーパーの記事をそのまま転載している模様)

少なくとも沖縄では“今も”じゃなく「“今時”納豆の品切れ」なんて聞いた事ない。

伝聞で記事を書いてはいけませんよ。

 

◆参考エントリー:納豆で血液サラサラ」は嘘!(1月13日)

◆参考エントリー:フジ系列 『発掘!あるある大辞典II』、放映前に内容が大手に漏洩(1月14日)

 

コメント (2)

「発掘!あるある大事典II」架空データ謝罪  明日は放送休止!

2007-01-20 19:01:54 | 食文化

納豆ダイエット効果…実は架空だった「あるある大事典」
18:04  
 

 関西テレビ放送(大阪市)は20日、納豆のダイエット効果を取り上げたテレビ番組「発掘!あるある大事典II」で、架空の実験結果やデータを放送したと発表、社長らが謝罪した。

 関西テレビ放送のホームページによると、納豆を食べた場合の比較実験で、血中イソフラボンの測定は行わず、架空の比較結果を紹介。その他、やせたことを示す際に、比較写真として無関係の写真を使用するなど、事実と異なる放送をしたという。

 また、21日放送の「発掘!あるある大事典II」の放送を休止することを明らかにした。(iza)

 

発掘!あるある事典II WEBSITE 別ウィンドウで表示

 
◆参考エントリー:納豆で血液サラサラ」は嘘!

◆参考エントリー:フジ系列 『発掘!あるある大辞典II』、放映前に内容が大手に漏洩

 

 

コメント

フジ系列 『発掘!あるある大辞典II』、放映前に内容が大手に漏洩(上)

2007-01-14 18:52:50 | 食文化

フジ系列 『発掘!あるある大辞典II』、放映前に内容が大手に漏洩(上)

フジ系列 『発掘!あるある大辞典II』、放映前に内容が大手に漏洩(上) 【PJ 2007年01月14日】- 年明け早々に、「納豆狂想曲」とでもいうほど、スーパーマーケットでは納豆が品切れ状態だと聞いた。東京都内の板橋区、練馬区の10店舗ほどのぞいてみた。中小スーパーや零細の食品店は見事に品切れだった。店長のお詫びのPOPだけが目立つ。ところが超大手スーパーマーケットの納豆売り場となると、品揃えが良かった。

 埼玉県内の、ある物流センターに勤務するパート従業員から話が聞けた。「3日前に、トラック3台が納豆を満載してきました。センターはいま納豆だらけです」と話す。あらためて都内の上場企業の上位スーパーをのぞいてみた。トップ銘柄の『おかめ納豆』『金の粒』などが潤沢に並んでいる。店長の『納豆の品切れ』お詫びPOPすらない。

 フジテレビ系列の『発掘!あるある大辞典II』は前まえから「放送内容が事前に流通サイドに流れている」という噂があった。大手スーパーがそれらTVの放映情報を元に、該当商品を大量に買い占めている、という内容だ。このため、零細商店は影響をこうむり数日間、ときには数カ月に渡って欠品状態が発生しているのだ。

 このたび、納豆製造元のある食品メーカー(長野県・飯田市)が流通側に出した文書を入手した。『「あるある大辞典II」納豆特集の放映の案内のご案内』という表題で、平成18年12月21日付だ。つまり、同番組の放映の二週間以上も前に、納豆メーカーから大手流通関係者に流れた情報提供の案内文だった。

 同文書の前置きでは、1月7日の同番組において40分間の納豆特集がある、と明記している。本文に当たる〈記〉からの全文を検証してみたい。同番組の倫理観を欠いた、放映内容の流失の一端が浮かび上がってくる。

■番組名      『発掘!あるある大辞典II』
■放送局/ネット  全国27局ネット
■平均視聴率    14.6%
■放送予定日    平成19年1月7日(日)  PM9:00~PM9:55
■放映時間     番組全体が納豆特集となります。


 上記は本文のリード文である。納豆業者が想像で書いたとは思えない。放送関係者からのリークがあったから、『番組全体が納豆特集』と、業者に番組作りの全容がわかったはずだ。それは次の文面からも裏付けられる。

■放映内容
・若返りホルモンとして認知の高いDHEAを増やす最適な食材として「納豆」が取り上げられます。
・全体のテーマとして、納豆がダイエットに効果的である、という内容で番組は進行します。
・DHEAを増やすためにはイソフラボンを含む大豆加工食品を毎日食べることが望ましいと紹介されます。また、納豆のイソフラボンは発酵により、吸収率が高まることがメカニズムとして紹介。


 3項目は台本を要約したような内容で、放送の進行状況がくわしく述べられている。同文書の本文はさらに続いている。

・1日2パック食べる、朝・晩食べる、よくかき混ぜ少々の時間放置する、ということがダイエットには適切ということが実験やメカニズムを通して伝えられます。
・納豆ガーリックトースト、納豆包み揚げ、納豆カナッペ、納豆豆腐ステーキのレシピが紹介され、被験者たちが実際にその料理で体重が減少したということが紹介されます。


 ダイエットのためには『1日2パック食べる、朝・晩食べる』。これが女性心理をつよく刺激し、急激な消費量の拡大になったのだ。大手スーパーのバイヤーには、放送前の事前文書により放送内容がわかり、『これまで以上に、納豆の買いだ』と判断できたから、契約量を大幅に増したのだろう。
 
 他方では、中小スーパーや商店、さらには地方都市では納豆が買えない状態に陥ってしまったのだ。【つづく】

■関連情報
フジテレビ、ご意見欄
『発掘!あるある大辞典II』

記者HP:穂高健一ワールド
PJニュース.net
PJ募集中!
コメント

納豆で血液サラサラ」は嘘!

2007-01-13 07:17:24 | 食文化

「マーガリンは植物油で出来ているから健康に優しい」という誤解が解けたと思ったら、

今度は納豆、お前もか!

今や健康に良い食品の代名詞にもなるくらいで、特に納豆に含まれるナットウキナーゼが血栓防御効果がある、と言う話は一般に何の疑いも無く信じられていた。

かく言う筆者もその一人。

この納豆血栓防御説に異を唱えて「納豆で血液サラサラ」は嘘と、 「あるある大事典」とNHKに喧嘩を売った医者がいた。

以下は「痛いニュース」さんからの転載。

 

                  ◇

 

「納豆で血液サラサラ」は嘘 「あるある大事典」とNHKのトリック 1 名前:靴下が納豆臭いです 投稿日:2007/01/11(木) 18:20:33 ID:k+1P/hv60 ?PLT
「あるある大事典」は納豆の血液効果、「ためしてガッテン」は納豆の血栓防御効果があるかのように視聴者に思い込ませてきた。NHK「生活ほっとモーニング」も納豆効果を9月に放映したので、私が医師の立場から疑問をぶつけたところ、「ナットウキナーゼ(納豆菌がつくる酵素)が血液中に吸収されないことは認識している。血栓を溶かしているとは言っていない」と放送内容とは矛盾することを言い出し、さらに「否定の論文がないから肯定した」とあきれる回答をしてきた。
納豆を食べると血液がサラサラになると思っている人が多いのではないだろうか。しかし、
残念ながら納豆を食べても血液は絶対にサラサラにはならない。

http://www.mynewsjapan.com/kobetsu.jsp?sn=563
関連:「あるある大事典」で紹介 納豆が品薄に
http://www.sankei.co.jp/shakai/wadai/070111/wdi070111005.htm
以下、2ちゃんねるの反応

【付記】9:31 「2ちゃんねるドメイン差し押さえ」騒動で、そんなに簡単に差し押さえが出来るものなのかと疑念をを持つし、仮に差し押さえたとしても、続いて「3チャンネル」でも出来たら所詮はもぐら叩きゲームで終わるのでは、・・・

と思っていたらこんなのが出来ていた⇒http://www.3ch.jp/

 

 

コメント

大いなる誤解 中国「医食同源」の恐怖 その2

2007-01-05 07:19:41 | 食文化

 よろしかったら人気blogランキングへ クリックお願いします

※(中国「医食同源の恐怖の続きです。)

大いなる誤解  中国「医食同源」の恐怖 その1」を先に読んでください。

 

 ◆中国の「医食同源」の恐ろしさ。

中国は同じ漢字の国だから、書けば自ずと意思は通じるといわれる。

だが、それが大きな誤解の源泉であることは下記エントリーで触れた。

・参考:異人さんに連れられて 同文同種の幻

医食同源とは、日頃からバランスの取れた美味しい食事をとることで病気を予防し、治療しようとする考え方と言われている。

 

「医食同源」についての誤解をメルマガ「国際派日本人養成講座」が見事に解き明かしてくれた。

Japan on the Globe 国際派日本人養成講座より転載

  無料購読申込 http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/

                      伊勢雅臣

林建良『日本よ、こんな中国とつきあえるか? 台湾人医師の直言』並木書房、H18http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4890632018/
japanontheg01-22%22

■1.日中でまったく異なる「医食同源」■

   台湾で中国医学を学んだ後、東大で医学博士号をとり、現在 は栃木県で地域医療に携わっている林建良医師は、「医食同源」の理解が、日本と中国ではまったく異なる、と指摘している。    [1,p16]

   日本人が考える「医食同源」とは、健康を保つためには、まず食事から正していかねばならない、というものだ。最近流行 語となった「メタボリック症候群」に関しても、甘いものや濃  い味付けの料理を食べ過ぎると内臓に脂肪がたまって、動脈硬化による心筋梗塞などの病気にかかりやすくなるので、野菜を しっかり食べよう、などと説かれる。

   しかし、林氏が台湾の医学部で学んだ漢方医学では、たとえ    ば「肝臓を食べると肝臓に効く」「脳を食べると脳にいい」「心臓を食べると心臓によい」と考える。

   中国市場で精力剤として売られているのは「狗鞭(ごうべん)」、    犬の鞭、すなわち犬の生殖器である。もっと効くとされているのが「虎鞭(フーベン)」虎のペニスである。犬よりも虎の方が強いからだ。

   林氏も高校時代によく頭痛に悩まされたので、台北の中国人    の医師にかかり、漢方薬とともに豚の脳を煎じて飲まされた。

   病んだ臓器に近い臓器ほど、そして人間に近い動物ほど、体    に良いとする。これが中国人の考える「医食同源」である。その究極は何か、と言えば、人体そのものということになる。

■2.人体も薬■

   中国医学で最も権威ある書物とされているのは、明時代の    1578年に執筆された『本草綱目』である。「本草」とは基本的に薬用になる植物をさすが、薬とされる範囲は、鉱物や動物に    も及ぶ。そして、最後に出てくるのはなんと「人部」、すなわち人体を薬剤として扱う章である。そこでは、髪の毛、尿、唾、汗、骨、生殖器、肝臓などの効用が細かく書かれ、たとえば    「瘧(おこり、マラリア)は、生の人の肝臓1個を陰干しにして、その青い部分が効く」などと説かれている。

   この「医食同源」の概念は、専門の医学書だけではなく、広 く一般庶民の生活にも浸透している。昔から子供向けの教科書として使われていた『二十四孝』は、24種類の親孝行の例を示したもので、その一つに「割股療親」がある。子供が自分の太ももをえぐって、病気の親に食べさせて、療養することを、親孝行として勧めているのである。

  「医食同源」の考えは近代になっても根強く残っていた。日露戦争中に日本に留学し、その後作家として活躍した魯迅の作品 『薬』の中には、女性革命家が公開処刑される際に、民衆が手に手に饅頭を持って集まる、というシーンが出てくる。処刑された瞬間に吹き出る血を、饅頭に染みこませて食べる。新鮮な血は体によいという「医食同源」の発想である。

   中国人は「四つ足で食べないのは机だけ」と揶揄されるど、何でも食べ物にしてしまう。そして「医食同源」だから、何でも薬と考える。自らの体のためには、人間を含む他の生命はすべて食べ物や薬として見なすのが、中国人の哲学なのである。

■3.『共産党の慈善事業』(Communist Charity)■

   人体を薬にするのが、内科的「医食同源」なら、外科的「医食同源」が臓器移植だろう。金儲けの天才である中国人は、死刑囚から臓器をとりだして売買するビジネスを発明した。

   アメリカに移住した中国人・呉宏達(ハリー・ウー)氏は、自分の家族に臓器移植を希望しているとの触れ込みで、数度、中国に潜入し、臓器売買の実態を調査して、レポートを出版 た。その題名がふるっていて『共産党の慈善事業』(Communist Charity)という。

   ウー氏は、1995年にアメリカのパスポートで中国に入国した際に、スパイ容疑で逮捕されたが、アメリカ政府の圧力で釈放 された。この事件をきっかけに、中国における臓器売買はアメリカの国会でも注目され、数度にわたる公聴会が開かれた。国会の提案により、江沢民主席が1997年に訪米した際に、クリントン大統領が問題提起している。同時期に、アメリカのABC テレビが『血なまぐさい金』(Bloody Money)という題名で、ゴールデン・アワーに全米に放送した。

   ウー氏の調査によると、臓器売買は次のようなシステムで行われている。まず死刑は祝日の前日に予定される。中国では80年代以前までは公開処刑が一般的で、国民がお祭り気分で見る娯楽の一種であったからだ。

   次に刑務所では、肝炎やエイズなどの事前チェックを行い、 病院側が注文した臓器に合った死刑囚を選ぶ。さらに臓器は新しいほどよいので、刑場には医者が待機していて、死刑執行 されるや臓器を取り出し、病院に運んで、移植手術を行う。

   死刑執行前に臓器を取り出してしまうケースもよくあるという。ウー氏のレポートでは、ハンブルグに脱出した中国人医師が実名と写真入りで、死刑執行の前日に何度も肝臓を取り出したと証言している。その犠牲者のひとりは、思想問題で死刑とされた19歳の女性で、死刑執行する前に、待機する車の中に彼女を強引に押し込み、麻酔無しで腎臓を取り出したという。

4.政府と軍のビッグ・ビジネス■

   国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの調査によれば、2004年の世界における死刑執行件数は約5500件で、そのうちの3400件、62パーセントが中国である。そのうちのかなりの件数で、臓器が取り出され、役人の収入源になっていると思われる

   病院が処刑された死体に支払う値段は、300元(4500円)から600元(9000円)。そこから取り出された臓器は、12万元(180万円)から15万元(225万円)に跳ね上がる。外国人相手に売られるときは、その倍になるという。仮に200万円で3千件の臓器売買が行われたとすれば、総額60億円のビッグビジネスということになる。

   林医師は、糖尿病の治療を専門としているが、患者の中には腎不全から人工透析を余儀なくされている人も少なくない。そのうちの一人が「臓器移植を中国で受けたい。紹介してくれないか」と頼んできたことがあるという。なぜ中国なのかと訊くと、「すぐに移植できるし、若くて健康な腎臓だと聞いている」と答えた。このように、中国に渡って臓器移植手術を受ける日本人患者も少なくない、という。

  臓器移植をする病院は、ほとんどが人民解放軍や政府機関の    病院である。中国司法部(法務省に相当)は、1981年6月13日付で「死刑囚の臓器摘出に関する注意事項」という秘密文書を出し、その中で「医者が車を使う場合は、医療機関のマークを隠すこと」「摘出した死体は速やかに処理するため火葬に付すこと」などと指示している。臓器売買は、政府と軍が深く絡んだビジネスになっているのである。 

   ■5.「あんなものは、いくらでも手に入る」■

   林医師自身も、こんな体験をしている。20年ほど前、東大で研究していた時、中国の蘭州大学で血液学を教えていた教授が留学に来ていた。当時は、骨髄移植が始まって数年しか経っていない時期で、最先端の医療技術だったが、彼は「こんなことは、中国ではとっくにやっている」と言った。

  林医師がすぐには信じられずにいると、彼は「胎児の肝臓を    使うのだ。胎児の肝臓を取り出してすりつぶし、メッシュで濾過したものを点滴すれば、骨髄移植と同じような効果がある」と説明した。

  「では、どこから胎児の肝臓を手に入れるのか?」と訊くと、彼は笑いながら「あんなものは、いくらでも手に入る」と言い放った。

   そのときに私は、さすが中国は世界一人口の多い国だか ら、胎児を手に入れることはたやすいのかもしれないと思ったが、「あんなもの」として命を軽んじ、恐ろしいことを平気でやるのが中国人だということを改めて認識した。

   その教授が「いくらでも手に入る」と言ったときの乾いた笑い声は、いまだに耳から離れない。[1,p23]

■6.実験動物の慰霊祭を行う日本人■

   林医師は台湾の学校で、日本人が残酷で残忍であると教えら    れてきた。国民党政権下での反日教育の一環であった。ビデオ    ショップで借りたヤクザ映画を見て、指を詰めるシーンや喧嘩の場面が出てくると、日本人はやはり残忍なのだと自分なりに納得していた。

   その後、東大に留学すると、実験材料としてしばしばマウスやラットを使うことがあった。その最初の時に先生から教わったのは、いかに実験動物を苦しませず処置するかということだった。

   また日本では、年に1回、必ず実験動物の慰霊祭を営むが、台湾の大学ではやらないことだった。林医師は、日本人の命に対する畏敬の念がこのような実験動物までにも及んでいることを知って感銘を受けた。

  胎児を「あんなもの」と言い切る中国人と、実験動物の慰霊祭を行う日本人と、その生命観の違いは対照的である。

■7.「いかにしてきれいに死ぬのか」を考えている日本人■

   林医師が栃木県の片田舎で開業してから、改めて感じたのは、    日本人の生活では死に直面する機会が多いということだった。    病院の職員が近隣の葬式の手伝いに行くので休みをとる。台湾では、葬式で休むのは、家族が亡くなった時だけだ。

  地方の新聞では、有名人に限らず庶民に至るまで亡くなった    人が紹介されている。葬儀の日時、場所も書かれているので、故人と多少なりとも縁のあった人は誰でも参列できる。台湾では、葬儀に参列できるのは、遺族から招待された人だけだ。

  林医師は、日本の葬式は質素で整っており、美しいと感じた。    そして、最後のお別れということで、すべての参列者に顔を見せ、触らせもする。そして「ああ、いいお顔ですね」と言って慰める。これも台湾にはない習慣である。

  苦悶せず、従容として死んでいった様を確かに拝見しました、    と遺族に伝え、それが遺族にとっては最高の慰めになる。この事から、林医師は、日本人がきれいに死ぬことを大切にしているのだと感じた。武士の切腹はその延長にあるものだ。

     こうした経験から、林医師はこう考える。

  日本人は死を意識しながら生きている民族であり、日常的に経験する死の場面を文化にまで昇華させているように思われる。そのせいか、世界第2位の経済力を持ちながらも、日本人一人ひとりの現世に対する執着心はそれほど強くないように見受けられる。日本人は常に無常観を抱えて生きているようだ。・・・

   日本人は生きているうちに一生懸命に仕事をして世界最高レベルの技術を創出しつつ、一方では、自然の摂理に融け込みながら、死を生活の一部として淡々と取り入れ、自分が人生の最終局面に向かい合うときにはいかにしてきれいに死ぬのかを考えているようである。[1,p97]

■8.日本人と中国人の決定的な違いは死生観にある■

     林医師は、日本人と中国人の違いを次のように捉える。

  日本人と中国人の決定的な違いはどこにあるのかといえば、それは死生観にあるといってよい。死に対しての考え方や死に直面したときの態度は明らかに違う。日本人はきれいに死のうとし、中国人はいかにして死なないようにするか、という考え方に歴然と現れている。[1,p91]

   その昔、秦の始皇帝は3千人の男女を東の島「蓬莱」に派遣 して、不老不死の仙薬を求めたという伝説がある。その「蓬莱」とは日本の事だという説があるが、逆に日本人からしてみれば、それほどまでして不老不死に執着する気持ちは理解し難い。

  現世に執着する中国人は、自分の生命と金を最も大切なものと考える。自分の健康のためには他人の人体を薬にしたり、金儲けのために平気で死体から臓器を取り出す。こうした姿勢からは、他の生命への畏敬は生じない。

  中国人とは対照的に、日本人は絶えず死を見つめ、このはか    ない命をいかに美しく生きるか、と考える。財産や権力など死んでしまえば、何にもならない。それよりも世のため人のため    に多少なりとも尽くして満足して死に、葬式にはたくさんの人    に来て貰い、「ああ、いいお顔ですね」と言って貰うほうが、はるかに意味のある人生だと考える。

   また生命のはかなさを感ずる所から、他の人や動植物の生命    への思いやりが生ずる。さらには人の生命を守るために、自ら    の生命を捧げる、という自己犠牲の精神もそこから生まれる。 特攻隊員たちの自己犠牲は、その最も純粋な形であった。[a]

■9.樹を植える日本人、樹を伐る中国人■

  日本の台湾統治は明治28(1895)年に始まるが、明治39    (1906)年から造林事業を奨励し、毎年100万本余の苗木を無償で配布し、補償金まで交付した。日本統治前の清朝時代に、ほとんどの樹木が伐採されて、ちょっとした雨でも大水や山崩れが起こっていたためである。計画的に整備された都市の道路は、樹を植えられて美しい並木道となった。[b]

  しかし、戦後、蒋介石の軍隊が台湾に入った時、都市道路の並木はすべて切られてしまった。木の陰に誰が隠れているか分からないので危険だ、というのと、伐った並木は薪にできるから一石二鳥という理由だった。

  樹木の生命は人間より長い。植林したところで、自分が生きている間に利用できるとは限らない。それでも日本人は百年後、千年後のために黙々と樹を植える。ところが、中国人は樹齢何千年の巨木であろうと、美しい並木であろうと、自分が薪として使いたいとなれば平気で伐ってしまうのである。

  われわれ台湾人は、そのような日本人と運良く50年間を暮らし、そのような中国人と不幸にして60年間付き合わされ、併呑の危機にもさらされているのである。[1,p90]

  よろしかったら人気blogランキングへ クリックお願いします                                       

 

 

 

 

 

 

コメント

大いなる誤解  中国「医食同源」の恐怖 

2007-01-05 07:12:59 | 食文化

 よろしかったら人気blogランキングへ クリックお願いします

病んだ患部を強引に削除する外科手術。

体内病巣を毒で攻撃する薬物療法。

これらの獰猛な西洋医学に比して中国四千年の歴史を誇る漢方医学は人に優しい穏やかな医学と言われている。

「医食同源」という言葉には漢方医学より更に体に優しい東洋の知恵を感じる人は多いだろう。

だが、中国に起源を持つと言われる「医食同源」と言う優しい字面(じずら)に惑わされてはいけない。

本家中国の「医食同源」はゲテモノ食はともかく、「人の胎児食」に至る恐ろしい悪食医術であり、更には「臓器売買」につながる恐怖の医術であると言う。

                    *

◆宦官

日本は中国から漢字を筆頭に色んなことを学んで来た。

それは遣隋使、遣唐使のように日本から中国に留学生を派遣して学ばせるのが主流だったが、鑑真のように中国の高僧が自ら仏典、書経その他の書籍を持参して日本に渡来する例もあった。

日本はその頃から外国の進んだ知識は率先導入してそれを応用し自家薬籠の物に変え、無用、有害な知識は果断に排除していく術に長けていた。

中国王朝を支えてきた宦官制度や科挙制度は、その弊害をどのように見抜いたのか、日本の歴史からは見事に排除されている。

宦官とは、去勢が施された官吏であり、朝鮮やベトナム等の東アジアに広まったが、日本では広まらなかった。

中国では清が滅亡する前の1910年まで宦官が存在していたというから驚く。

それは明治維新後42年、日韓併合の年である。

 

◆科挙

科挙とは隋から清の時代まで行われた官僚登用試験である。

だが、試験の競争率は熾烈を極め約3000倍とも言われている。試験の内容は、主として儒教的な素養を問うものであった。

また、科挙は、官吏選抜試験という意味の他に、富・地位・名声・権力を手に入れる機会という意味にも解されていた。

結局一族に科挙の合格者が出ると一族は末代まで食っていけると言われる程、役人腐敗の源泉になったとも言われる。

徒然草を書いた吉田兼好はその頃既に日本の文化は本家中国に勝るものも充実し、もはや本家中国に学ぶ物はない、と豪語しているくらいだ。

吉田兼好は、鎌倉時代から南北朝時代の人(1950年没)なので、その頃には既に中国何するものぞ、の意気が高かったのだろう。

≪徒然草 第百二十段 

唐 の物は、薬の外は、みななくとも事欠くまじ。書どもは、この国に多く広まりぬれば、書きも写してん。唐土舟の、たやすからぬ道に、無用の物どものみ取り積みて、所狭く渡しもて来る、いと愚かなり。

遠き物を宝とせずとも、また、得難き貨を貴まずとも、文にも侍るとかや。≫ 

【蛇足】≪(訳)中国からの渡来品は、薬以外は無くても困らない。書物は広く行き渡っているから、書き写せば済む。中国の船が、危険な航路を承知で、無駄な贅沢品を満載して、無理に渡海しててくるのは、馬鹿げたことだ。

賢人は、遠くの物を宝物として欲しがらないとか入手困難な物をありがたがってはいけいと、書にも書いてある。≫ 

(続く)

 よろしかったら人気blogランキングへ クリックお願いします

コメント (1)

小倉智昭「とくダネ!」で「マーガリンの恐怖」を警告

2006-12-11 11:53:06 | 食文化

やっと「判決が下った」。

といっても裁判の結果ではない。

今朝のフジテレビ小倉智昭の「とくダネ!」が「マーガリン・トランス脂肪酸の恐怖」を取り上げたのだ。

日本の女性向けニュース報道は「テレビ・ワイドショー」で取り上げられて初めてニュースとしての真偽に判決が下りる。 つまりニュースとして奥様方に認知されるのだ。

番組で「日本人のトランス脂肪酸の平均摂取量はアメリカ人の平均値の4分の1だから心配ない」という意見に対して、

国立健康・栄養研究所の江崎さんは「平均値の問題であり、日本人でも好きな人はアメリカ人の平均値以上に摂取している」といった警告を発していた。

この件で最も進んだデンマークでは「トランス脂肪酸は取総脂肪の2㌫以下」に規制されているという。

これで日本の奥様方にも晴れて「マーガリンの恐怖」が認知されるだろう。

 

「マーガリン・トランス脂肪酸の恐怖」については9ヶ月前からアメリカでの禁止の動きを取り上げて、友人の集まりでも話題にした。(マーガリンの恐怖

先日大手新聞がニュースとして取り上げ、再びこれを当日記で扱ったが、友人の中にはニュースを見て、その危険性を察知したものもおれば、「未だ決まったわけではない」とマーガリンの使用続行をプライベート・サイトで宣言する剛の者もいた。

「マーガリンの恐怖」その2  「ドーナツもポテトも全面禁止」

定めしこの「マーガリン大好き」のJ君にとって、テレビワイドショーで取り上げられて奥様方が大騒ぎするまでは「まだ決まったわけ」ではないのだろう。

因みにこの何にでもマーガリンを使い、自家製の梅ジャムも味の不調をマーガリンを塗り込んで味の調整をするというから並みの「マーガリン・マン」ではない。

勿論、大好物の「ゴーヤー・チャンプルー」や「豆腐チャンプルー」にもマーガリンをたっぷり入れると言う。

家の冷蔵庫に「ホリデー・マーガリン」は切らすことは無いという。

さー、本日の小倉智昭「めざましテレビ」で認知された「マーガリンの恐怖」に彼がどう対抗するか。

一方、マーガリンの存在自体を認めないアンチ・マーガリンのN君によると、元々チャンプルーにをマーガリンで炒めるのは邪道だという。

代表的沖縄料理の各種チャンプルー類は豚の油で炒めるのが本道であり、その香ばしい旨さはマーガリン炒め比ではないという。 その上健康を害するとなると最早マーガリンの存在自体に意味を認めないのだ。

同君が友人のプライベート・サイトに寄稿した一文を下記に転載する。

同君、一年ほど前アメリカ力をした後の土産話で「一番印象に残ったのはアメリカ人の異常な肥満だ!」といったことが記憶に新しい。

  

 

飽食の付け

マーガリンがあぶない、食用油が怖い。日本の食卓はいったいどうなっているんだ。

アメリカでは、ハンバーガーやフライドポテトは貧乏人の食事だといわれて久しい。肥満が多いのも、貧乏人である。<O

皆さんの食卓では、マーガリンを使った料理やてんぷら等揚げ物は週に何食食べているか。チャンプルーにマーガリンは欠かせないという準一君の説には同意できない。通常、チャンプルーにはマーガリンは使わない。恐らくこれはJK君の家だけのことか、もしくはJK君の好みだろう。昔は、家庭でもチャンプルーにラードを使っていた。ラードが健康に良くないということで、使わなくなったが、チャンプルーのおいしい店ではまだラードを使っている。

ほかにも、飽食の輩が、大騒ぎしている食材がある。

狂牛病だといえば、牛肉が食べられない。鳥インフルエンザで騒げば、フライドチキンが食卓から姿を消す。最近、アメリカの牛肉輸入が再開されたかと思うと、オーストラリアが干ばつの為、牧草が育たず、輸出牛肉が減ってきた。牛肉愛好家には、安い豪産の牛肉が手に入らなくなり、おっかなびっくりでアメリカ産に手を出さざるを得ない状況になっている。かとおもえば、本マグロ(南黒マグロや地中海黒マグロ)が日本人の飽食の結果、資源保護のため漁獲制限されることとなった。本マグロだけでなく、きはだマグロ、とんぼマグロまでとばっちりを受け、漁獲制限されることになっている。本マグロは、全世界の漁獲高の約50%を、日本で消費している。

さて、マーガリン、揚げ物、牛肉、チキン、マグロ等、気になる食品を週にどれだけ皆さんの家で食べているか、データを取って、管理する必要があるのではないか。本マグロを除けば、マーガリン等何処の家庭でもありふれた食材である。只、これらを週に一回ずつ食べているとなると、年に52回は食することになる。僕にとっては、マーガリンは年に130g,揚げ物、牛肉等は、年に多くて5回程度しか食べないので、あってもなくてもいい食材である。≫(N記)

 

 うーん、現代人の飽食を鋭く突き、食の乱れに警鐘を鳴らす味わい深い文だ。

トランス脂肪酸とは縁の無い本人の食生活をご披露して、健康的食生活はかくあるべきだという、健康に対する「警告の書」でもある。

だが、・・・折角の「警告の書」もヘビー・スモーカーの同君が紫煙をくゆらしながら書いている姿を想像すると、・・・

矛盾に満ちた人生の面白さに突き当たる。

嗚呼!人生、何事も理屈通りは上手く行かないものだ!

 

【追記】2006年2月12日 11:45

小倉智昭の「めざましテレビ」は「とくダネ!」の間違いだったので訂正。

ついでだが、当日のコメンテーターは諸星裕・桜美林大学大学院教授とおかまのピーコの二人だったが、「マーガリン(トランス脂肪酸)の恐怖」の話題に限って言えばピーコの方がまともで参考になるコメントを発していた。

一方アメリカ生活が長いといわれる諸星教授は、まるでピント外れのコメントで視聴者に誤解を与えかねない不勉強ぶりでピーコに冷やかされていたのが印象に残った。

肩書きで人は判断できない見本のような両者のコメント。

諸星教授よ、もっと勉強しろ!

         

コメント

「マーガリンの恐怖」その2  「ドーナツもポテトも全面禁止」

2006-12-06 18:39:42 | 食文化

「ハートブレイク・ホテル」の大ヒットで世界のヒーローになったエルヴィス・プレスリーはドーナッツを食べ過ぎて心臓病(heart attack)で死んだという。

そして「心臓発作レストラン(heart  attack grill)」と言う名のハンバーガー・ショップが話題になった。(“心臓発作"レストランの挑戦

アメリカでは心臓病で死ぬ人が多いといわれているが、日本も最近ではアメリカの後を追いつつある。

ブログを書き始めた頃の9ヶ月前、ファーストフーズのドーナッツやポテトなどについてのアメリカの警戒感について書いた。

そして、ポテトやドーナツに含まれるトランス脂肪酸酸、そしてそれを多く含むマーガリンの恐怖について訴えた。(マーガリンの恐怖

トランス脂肪酸は心臓病の原因だという。

が、友人達からは「たわ言」と一蹴された。

書く時期が読売新聞より九ヶ月は早かったようだ。

なお同エントリーにはマーガリン関係サイトからTBがあったようだ。

 

悪玉脂肪酸、NYで全面禁止…ドーナツもポテトも

 【ニューヨーク=大塚隆一】ニューヨーク市は5日、「トランス脂肪酸」と呼ばれる油脂成分について、市内のレストランやファストフード店での使用を原則的に禁止することを決めた。全米で初めての措置となる。

 トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニング、一部の調理油などの加工油脂に含まれ、菓子やドーナツ、フライドポテトなど多くの食品で使われている。

 大量に摂取すると動脈硬化などによる心臓疾患のリスクが高まるとされ、米国では、悪玉の油脂成分として使用の規制を求める声が強まっている。米食品医薬品局(FDA)は今年1月から食品中の含有量を表示するよう義務付けた。

 ニューヨーク市の決定は最も厳しい措置で、外食店は2008年7月までに人工のトランス脂肪酸を含む食品の提供をやめなければならない。大手外食産業は代替油への切り替えを急いでいるが、完全な駆逐は難しいとみられ、混乱も予想される。
(読売新聞) - 12月6日14時33分更新

ブログの普及によりニュース報道もブログの後追いをするか、全く報道しない傾向があるが、(最近の「週刊金曜日」主催の「皇室侮辱集会」)このエデト脂肪酸のアメリカでの対処の報道は当ブログが9ヶ月も先行していたことになる。(自慢? はい、そうです。)
 

ブログの普及により大手メディアの報道がブログより大幅に遅れたり、全く報道しない例が最近目立つ。(最近では有名文化人による「皇室侮辱記事」等)

このエデト脂肪酸の恐怖とファーストフーヅに対するアメリカの対処については当ブログが大手メディアに9ヶ月も先行していたことになる。(自慢?・・・ はい、そうです)

 

【再録】3月3日マーガリンの恐怖」(早すぎたエントリー)

 沖縄がアメリカ占領時代から引き継いだアメリカ風食文化沢山ある。

豚肉文化に牛肉が加わり「ステーキ」や「ハンバーガ―」にも親しむようになった。

その他にも「(某アメリカ製)マヨネーズ」、「(某アメリカ製)マーガリン」、それに「ランチョンミート」がある。

米国製マヨネーズはキューピーさんに駆逐されつつあるがランチョンミートは「ポーク玉子」としてすっかり沖縄の名物料理に変身してしまっている。

一方のマーガリンは本来のパンに塗って食べるという消費以外にファーストフードの揚げ油等に使われている。

そのマーガリンが今危険な食品だとしてアメリカで騒動が起きているという。

はて、日本ではあまり聞かない話だが・・・・・・。

         ◇         ◇         ◇

沖縄の大衆食堂やコーヒーシャープでは、つい4、5年前までカウンターの上に、山盛りのバターを詰めたタッパ―容器を、サービス用に置いてある店があった。

そこではホカホカのご飯に、たっぷりのバターを塗(まぶ)して美味しそうに食べる、太鼓腹の青年(二才・ニーセー)達をよく見かけた。

昆布の消費量が減ったとの新聞報道がある一方、アメリカ製「バター」が復帰前から今でも食堂や家庭ででも大量に消費されている。

そのせいなのか沖縄の男性は肥満が多く平均寿命も下がっていると言う。

沖縄では特別の場合を除いてバターとはマーガリンの事をさす。

沖縄ではアメリカ製のマーガリンがバターの代名詞のようにして今でも愛用されている。

≪バターは動物油脂が原料なので健康に悪いが、マーガリンは植物油で出来ているので健康によい。≫

長年このように知らされていた。

その健康的な筈のマーガリンが心臓に良くないという。

知らぬが仏とはよく言ったものだ。


          ◇         ◇          ◇


マーガリンは、戦争で物資が不足したときに代用食品として開発され普及した短い歴史しかない。

人造バターとも呼ばれることからもわかるように、化学的に植物油脂を固めて味付けしたもので、バターのように有史以来の人体実験で安全性や危険性が検証されたりしている食品ではない。

ところが、常温では固まるバターに較べ、植物性の油は常温では液体である。

そこで、常温でも一定の硬さを保てるように、水素を加えて化学的な処理を行う。

その過程で出来るのがトランス酸という副産物なのだ。

これが動脈硬化のリスクを高める悪玉コレステロール(LDL)の値を高める一方で、善玉コレステロール(HDL)を低下させる、と報告されている。

日本では、代用バターという経済的理由ではなく、動物性のバターより植物性のマーガリンのほうが健康にいい、特に心臓に不安のある高齢者は、マーガリンのほうがいい、と信じられている。

その、健康に良いはずのマーガリンに、心臓病に悪い悪玉コレステロールを増加させる「トランス酸」が含まれていると言うのだ。

もう一度言おう。 知らぬが仏とは正にこのことだ。


アメリカでは同国心臓病協会推薦の「トランス脂肪酸を含まない」とうたった新しいマーガリンがスーパーの店頭に目立ち始めたようだ。(Transfat free)

が、残念ながら日本ではまだ発売されていない。

アメリカでは、今年1月1日から、食品に「トランス酸」の表示が義務付けられた。

では「トランス酸」とは何か。

自然界には存在しない成分で、普通のバターに較べマーガリンに多く含まれているという。

それが心臓病のリスクを高めるという研究成果が、アメリカで2003年発表されている。

研究は、アメリカの女性8万人を対象に行われた。

トランス酸を摂ったグループは、摂取量が最も少なかったグループに較べ心筋梗塞を起こすリスクが30パーセント高かったと報告されている。

では、どうすれば良いのか。

「米食品医薬品局」は、今年の1月1日からトランス酸の含有量を食品のラベルに明記し実施する事を決めた。ることを決めた。
 
EUでもマーガリンの使用規制が始まっている。

この問題をはじめて報じたのは、週刊朝日の昨年8月5日号だった。

この記事を厚生労働省が知らないはずはない。

「アメリカのホテルではすでにマーガリンが姿を消した」という記事もネットに見えるというのに、厚生労働省は拱手傍観を決め込んでいる。

遅ればせながら日本でも次のような警告の文章がやっと出たが、下記のような緩やかな表現にとどまっている。

【第6次改訂 日本人の栄養所要量】 (厚生省)

『「トランス脂肪酸」は、脂肪の水素添加時に生成し、また反芻胃の微生物により合成され吸収されることから、反芻動物の肉や乳脂肪中にも存在する。トランス酸の摂取量が増えると、血漿コレステロール濃度の上昇、HDL-コレステロール濃度の低下など、動脈硬化症の危険性が増加すると報告されている。』


お上がこのような態度では、自己の責任で自衛するしかない。

トランス酸はマーガリンだけでなく、クッキーに使われる「ショートニング」にも含まれている。

ショートニングは「サクサクさせる、ポロポロにする」という意味だが、植物油を固形油にする過程でトランス酸を抱え込む。

だからトランス酸から身を守るのは容易なことではない。

どこにでも売られているパン、ケーキ、クッキー、ドーナツ、スナック菓子、フライドポテト、------挙げればキリがない。これらにはトランス酸が潜んでいる。

このあたりを業界団体「日本マーガリン工業会」はホームページで次のように反論している。

「欧米に較べ日本人はマーガリンやこれを使った食品の摂取量が少ないので、心配ない」そうだ。

更に詳しくは同ホームページをご覧頂こう。

日本では年間100万人が病気で死んでいる。

死因の第1位は癌、ついで心臓病、脳疾患の順だが、アメリカでは死亡原因の第一位は、心臓疾患だ。

マーガリンやショートニングがこれに貢献している。

日本も、アメリカの通った道を確実にたどっている。

子供の頃からマクドナルドやケンタッキー、ミスタードーナッツで飼育されているようでは、日本でも心臓病が癌を追い抜く日は近い。

なおトランス酸を一番多く含んでいる食品はファーストフード店で御馴染の「ポテトフライ」でインスタント麺のフライもマーガリンの一種だそうだ。

狂牛病問題を含め、国民の生命や安全を本気で守ろうとい気力が、今の日本には感じられない。

風が吹けば桶屋が儲かる、とは落語のネタだがマーガリンを食べて棺桶屋が儲かると言う話には笑ってはおれない。

★蛇足: 沖縄では「コーヒーシャープ」はコーヒーショップの事。
アメリカ人の発音を真似て表記した「コーヒーシャープ」は軽食堂のことで、コーヒーは殆どの店のメニューには無かった。(注文があった場合はインスタントコーヒーで対応していた) 

日本マーガリン工業会http://www.j-margarine.com/


 

コメント

うなぎの価格がうなぎのぼり

2006-07-15 09:45:05 | 食文化

「土曜の牛の日にどうしてウナギを食うの」とは子どもの頃の素朴な疑問。

「土用の丑の日」を23日に控えて今朝の我が家の折込チラシにはウナギの蒲焼のが目立つ。

地元スーパー「りうぼう浦添店」のチラシ広告で見ると、

●中国産 炭火うなぎ蒲焼<養殖> 大きいサイズ一尾 580円

●鹿児島産 うなぎ蒲焼<養殖>  一尾         880円

●沖縄産  うなぎ蒲焼<養殖>  一尾         980円

やはり中国産が一番安いが、これでも高くなっているそうだ。

一時は中国産は390円前後だったのが昨年の抗菌剤問題以来、検査が厳しくなりその手間の為の値上げだとか。

沖縄県産のうなぎが一番高いとは・・・。

今では死語になりつつあるが、沖縄方言で「シマーグァー」と言う言葉がある。

「県産品」と言う意味だが多少解説が要る。

沖縄復帰の前に良く使われた言葉で、おらが県のお国自慢ではなく粗悪品として自嘲を含んだ言葉だった。

だから「島産品」は安かろう悪かろうの代名詞だった。

ん? そう、その頃は沖縄は県ではなかったので「沖縄県産品」と言う言葉はなく、「トーサンヒン」。 音声が倒産品に重なって「トーサンヒン」にはあまり好い印象がない。

その悪い印象を打ち破るべく「島産品愛用週間」なんて、懐かしい言葉もあったっけ。

「シマーグァー」を漢字で書くと「島小(グァー)」で小は接尾語。

(例;「童・わらばーぐぁー」は子ども。 「犬小・いんぐぁー」は犬。)

「しまーぐぁー」と言えば沖縄産品全てを表わすが、それだけで代表するものが泡盛。

復帰前は泡盛は「安かろう不味かろう」の代名詞で泡盛愛好家にさえ泡盛とは呼んでもらえず「しまーぐぁー」と蔑視されていた。

飲み屋さんでも、もし「泡盛下さい」なんて言おうものなら「この店はそんなモノはおいていません!」とマダム(当時はママさんではなかった)怒られたものだ。

金の無いヤツは「町屋小・まちやーぐぁー」(おばーが経営する雑貨店)で買った「2合瓶・にんぐーびん」(2合瓶入りしまーぐぁーの愛称)で酔いをまわして、それから飲み屋さんに繰り込んだ。

で、しまーぐぁーを置いてない飲み屋さんでは何を呑んだかって?

おっと、ウナギの話から脱線した。

今年の土用の丑の日は二回あって、

7月23日(日)と8月4日(金)だそう。

いずれも土曜日でなくて残念!

「土曜日の牛丼の日」って無いの?

                     *

うなぎ急騰 中国で検査強化 輸入減り品薄感 

「丑の日」控え業者悲鳴

写真
ウナギの香ばしい香に誘われ、うな重を購入する客 =3日、博多駅中央街のウナギ店

 夏バテ防止のスタミナ料理、うなぎのかば焼きやうな丼を値上げする小売店や料理店が相次いでいる。国内産より安い中国産の輸入量が減り、年々仕入れ値が上がっていたところに、昨年の中国産稚魚(シラスウナギ)の不漁が追い打ちをかけたという。豊富な栄養と食欲をそそる香ばしい味で夏場に人気が上がるウナギだが、書き入れ時である「土用の丑(うし)の日」を23日に控えた店主らからは「価格のうなぎ登りは勘弁して」との声が聞こえてくる。 (社会部・布谷真基)  (略)
 
 中国産などの輸入ウナギが販売量の70%を占める福岡市内のスーパーでは、仕入れ値が昨年より2割も高くなったため、うな重を100円値上げして480円にした。

 中国産の輸入量は、抗菌剤などの使用に対する検査基準が強化されたことなどから減少。財務省によると、2001年に約7万1300トンあった輸入量は、05年には約3万2400トンと半分以下になった。

 =2006/07/08付 西日本新聞夕刊=

 



土用の丑の日

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

土用の丑の日(どようのうしのひ)は、土用の間で日の十二支である日のこと。

夏の土用の丑の日は、暑い時期を乗り切る栄養をつける為に、を食べる習慣がある。 土用入りの日が申から丑の間の場合は、丑の日が2回あることになる。この2回目の丑の日を二の丑という。 一般には土用の丑の日といえば夏を指すが、土用の年4回あり、土用の丑の日は年に数回ある事になる。 近年、の人口当たり消費量上位に位置する長野県岡谷市を中心として寒の土用の丑の日にも鰻を食べようというキャンペーンが展開されつつあり、全国に広まりつつある。

鰻を食べる由来

鰻の蒲焼丼
拡大
鰻の蒲焼丼

鰻を食べる習慣についての由来には諸説あり、讃岐国出身の平賀源内が発案したという説が一般的であるが、万葉集には大伴家持が、夏痩せの友人に鰻を食べるように勧めている和歌が収められている。


江戸時代、商売がうまく行かない鰻屋が平賀源内の所に相談に行った。源内は、「丑の日に『う』の字が附く物を食べると夏負けしない」という民間伝承からヒントを得て、「本日丑の日」と書いて店先に貼ることを勧めた。すると、物知りとして有名な源内の言うことならということで、その鰻屋は大変繁盛した。その後、他の鰻屋もそれを真似るようになり、土用の丑の日に鰻を食べる風習が定着した。

この他に、土用に大量の蒲焼の注文を受けた鰻屋が、子の日、丑の日、寅の日の3日間で作って土甕に入れて保存しておいたところ、丑の日に作った物だけが悪くなっていなかったからという説もある。

ちなみに、土用の丑の日に食べるものは鰻でなく「う」の付くものでいいのだから、うどんでも、ごぼうでもいいのである。主に鰻を食べるのが主流なのは先ほどにも記述したように、ほとんど習慣に近いものになっているからである。

なお、最も脂が乗っている鰻の旬は冬である。土用の丑の日がある初夏あたりの鰻は脂がかなり落ちており、身も淡泊である。一説に、鰻屋が源内に相談を持ちかけたのは夏に売れない鰻を何とか売るためであったとも言われている。ただ、鰻にはビタミンB類が豊富に含まれているため、夏バテ、食欲減退防止には効果的であり、そういった面から鑑みると、夏の時期に鰻を食べるのは実に理に適った習慣であるともいえる。

コメント

沖縄の食文化雑感

2006-04-08 09:01:57 | 食文化

 よろしかったら人気blogランキングへ クリックお願いします

ここ数年来の全国的な沖縄ブームには目を見張るものがある。
 
芸能界を中心に沖縄芸能、食べ物、そして沖縄大和口(沖縄訛り)に至るまで今では全国区に成りつつある。
 
青雲の志を抱いて初めて大和の地を踏んだ半世紀程前に比べると正に隔世の感がある。
 
沖縄大和口で意思の伝達に苦労もしたが、食文化の違いによる珍談、奇談も数々聞いた。
 
そば屋に入って「ソバ」を注文して驚いた人がいた。

ネズミ色のソバらしきものががドス黒い醤油汁に浸っている。

沖縄そばなら普通に入っているカマボコ、三枚肉も無い。

もしかして宮古そばでは、と丼の底を穿り返しても愛しき三枚肉の姿を見ることは出来なかった。

因みに沖縄そばは麺にそば粉を含まずに「そば」を呼称出来る唯一のそば。

従って沖縄そばは黄色で一見ラーメンとうどんが合体したもののように見える。

ダシは作る人によって秘伝があるようだが、主に豚骨とカツオダシが使われている。

味付けは塩だけで普通は醤油は使わない。 

蕎麦やうどんの汁とは違いが一目でわかる。

敢えて云えば塩ラーメンの汁に見た目は似ている。

麺の食感はうどんというより太目のラーメンといったほうが近い。

麺に添える具は沖縄カマボコと三枚肉が定番。

三枚肉は沖縄料理を代表する豚肉の甘辛煮で、間違っても三枚の牛肉のことではない。

     
         ◇         ◇         ◇

 
O君は何事にも探究心の強い男で、路地の店にぶら下がっている赤提灯が気になってしょうがなかった。

居酒屋には違いないが若いオノボリサンのO君には入るのには勇気が必要だった。

それに今とは違って居酒屋を若者が占拠するのが似合う時代ではなかった。

当時の居酒屋は仕事帰りの中年オジサンが昼間の生活の「憂さを捨てる場所」といった暗い雰囲気があった。

昨今のように若者集団がジョッキでイッキ、イッキといった陽気な場所では無かった。

アルコールはビールと言うより清酒、そして勿論2級酒が似合った。

その2級酒という言葉さえ今では死語になってしまった。
 
O君が気になっている店は居酒屋の中でも、より「大衆的」な店だったようだ。

時々出入りする客を見るとタオルを頭に巻いたオヤジさんや地下足袋のお兄さん達が主だった。
 
懐のあったかい或る日の夕暮れ、O君は一大決心の末、初めてその赤提灯の暖簾をくぐった。

≪ヤマトゥーになめられたらいかん≫

≪たかが、安酒場じゃないか≫

≪俺は泡盛で鍛えている、ヤマトゥーには負けんぞ≫
 
O君は気負いで肩に力が入ったままカウンターに陣取った。

「お飲み物は何にしますか。」

店主の声をぐっと飲み込んだ。

≪ここでビールなんか注文したら舐められる≫

「焼酎をくれ!」
 
店の壁には品書きがずらっと張り巡らしてある。
 
夕食前で腹が減っていた。 

何かツマミでも取らなければすきっ腹に焼酎では直ぐ酔ってしまう。

品書を見ても何を注文したらよいのか分からなかった。
 
隣の客はコップ酒を飲みながら★ナカミをどす黒く煮込んだようなモノを肴にしている。

意を決してその客が食べている肴は何かと店主に問うと、

「この店の自慢の、ニコミだよ。 安いよ!」と足元を見すかされるように「安いよ」に力が入ったように聞こえたのは僻(ひが)みのせいだったのか。

ナカミはやはり汁が透明に澄む程洗いこんだものでなければ食えたモンじゃない。

あんなどす黒いドロドロに煮詰まったナカミ―なんかごめんだ。
 
そうだ、先に食事をしよう。

こんな時はお茶漬が無難だ。

飲酒のシメにお茶漬けを好むヤマトゥーの食文化には無縁なO君。

壁に並んだ品書きを仰ぎ見た。

海苔茶漬け、梅茶漬け、・・・・・・・・・・!!

次の品書きを見てO君は全身が固まってしまった。

サ・サケ茶漬け、酒茶漬け!!
 
O君は焼酎をほとんど残したままその店を後にした。

≪やっぱり、ヤマトゥーには負ける。≫

≪いくら泡盛で鍛えてはいても、・・・・・・・・・・≫

≪酒で茶漬けは出来ない≫

 
その昔、アメリカ人にとって日本料理といえばスキヤキとテンプラに限られていた。

刺身や寿司を勧めると眉をひそめられた。

それが今では刺身と寿司を食するのはステータス・シンボルにさえなっている。
 
その頃ゴーヤ―やアシティビチ(豚足)を大和人に奨めたら同じように眉をひそめられたであろう。

それが今ではゴーヤ―はビタミン豊富で健康に良く、アシティビチはコラーゲン豊富で美容に良いと、これらを食するのは今では芸能人たちの「食通」のシンボルとさえなっている。
 
復帰直後初めて沖縄を訪れた客は先ず琉球料理の店を探した。

その頃琉球料理と言えば、料亭で代表される伝統料理が主だった。

ゴーヤーチャンプルーとかトーフチャンプルのような沖縄の庶民料理は「琉球料理」の範疇には入れてもらえなかった。
 
或る時腹を空かした沖縄初体験の客と食事をする事になった。

その男、全国各地を出張で廻るのが仕事で、その土地の郷土料理を食べるのが楽しみだといった。

当然のように琉球料理を所望した。

気を使って琉球料理は特殊なので、口に合わないのではないかと縷縷(るる)説明した。

が、件の男、好き嫌いは無く何でも食べるという。

それで某料亭に案内した。
 
結局、一人前5000円(当時の物価から言えば15000円~20000円)ほどの琉球料理をほとんど残したまま其処を出た。

男の好き嫌い無しも「琉球料理」には勝てなかったようだ。

そして、その男、平然と言ってくれた。

「サー、口直しに寿司でも食いに行きましょう」

念のために付け加えると、その時の勘定は全てその男の奢りだったのがせめてもの救いであった。


★蛇足:「ナカミ」→豚の臓物(中身)を使った料理。 「ナカミ汁」と「ナカミイリチ」がある。
「ナカミ汁」は水を何度も替えて下洗いしたナカミを椎茸等と一緒に澄まし汁にしたもの。
「ナカミイリチ」はナカミの油炒め。 強めに炒めると外側がカリカリして泡盛やビールのツマミに最適。

 よろしかったら人気blogランキングへ クリックお願いします

コメント

クミスクチンとロシアの大統領

2006-04-06 16:10:10 | 食文化

最初は耳慣れない言葉も聞きなれると自然に口から滑らかに出るようになる。

 一昔前、初めて「クミスクチンチャ」という言葉を聞いた時は何度か聞き返した。

 最近では某テレビ番組で紹介されたとかで健康食品愛好家の中では知られた名前になっているらしい。

クミスクチンとはマレーシア語で「ネコのひげ」という意味をもつ植物の名前。

各種ミネラルやカリウムが豊富に含まれているので利尿作用があり腎臓によいとの事。 「ウッチン」「グァバ」と共に沖縄の三大野草の一つだという。

                    *

その「クミスクチン茶」を初めて耳にしたのは、未だ沖縄の健康食品が昨今のように一般に定着する前の事だった。

ヤマト在住の知人から「クミスクチン茶」を送るように頼まれた。 健康食品に疎い私は本土系列の大手薬品スーパーにそれを求めた。

広い店内にはいかにも新入り風の若い店員が2,3人いた。

客の途絶えた夏の昼下がりだった。

 奇妙な商品名に初めから不吉な予感がしていた。

応対に出た若い青年の胸の「見習中」の札を見て不安は更に広がった。

 「クミスクチンチャありますか?」

「クミス・・・?」

 「ク・ミ・ス・ク・チン・チャ!」

 「エッ?・・ナニのチン・・ですか?」

 「クミスクのチンだよ。」

「はー?・・・一寸お待ちください」 件の見習青年、カウンターの中に入って同僚達と何かゴソゴソ相談している様子。

 この手の類の話は当人同士が真剣であればあるほど後で思い出して可笑しくなるもの。

勿論私もその時は大まじめであった。

 戻って来た青年の表情から、求める「・・チン」が何なのか、いや有るか無いか、それさえも分からない様子が読み取れた。

 彼が戻る前に既に私の心は決まっていた。

 ≪訪ねた店が悪かったのか。 いや、慣れない店員が悪かった。 それとも商品名が悪いのか≫

 ≪ 早々に退散しよう。表では車で女房が待っているし。≫

「すみません。 クミ・ス・ク・・」 相手が「チン」を言い終わらぬうちに、「サヨナラ」・・・と、こういう場合あまり適切で無い言葉を彼に残してその店を脱出した。

 店を出際に振り返ると、その哀れな青年「クミスク・・」と言いかけた口をポカンと開けたまま呆然と立ち尽くしていた。

 後で落ち着いて考えて見ると、私のせっかちな行動と不明瞭な発音が、真面目な見習店員の心深く「変なオヤジ」というトラウマを刻み込んだだろうか。

 しかし、こんな場合慣れた店員を置いてもらわなきゃ困る!

≪ロシアの大統領じゃあるまいし≫

 待っていた女房の車に乗り込む時呟いた私の独り言を女房が聞き返した。 

 「ロシアの大統領がどうかしたの?」

「いや、チンの話だよ」

「何のチンですか」

「ロシアの大統領はフリチン、・・・いや、エリチン、・・・でもなくて、プーチンだ!」

 「それがどうかしたの」

車に乗り込んで考えた。

あの見習新人に動揺をを与えたのはやっぱり私のせっかちな行動と不明瞭な発音のせいではない。

クミスクチンのせいだ

           ◇         ◇         ◇

 ★蛇足;「クミスクチン茶」 インドネシアに広く自生するシソ科の多年草で、雄しべが長く伸びたユニークな形から、インドネシア語で「クミスクチン(猫のひげ)」と呼ばれる。 葉から抽出できる薬効成分「オルソシオニン」は、腎炎・水腫・尿路結石などに大変効果的。 ミネラルのカリウムを多量に含んでいるのが特徴。カリウムは血液中の窒素やナトリウムを排出し、血管や筋肉を柔軟にするため、高血圧・美肌・痩身・便秘などにも効果的です。ドイツでは「ニーレンティー(腎臓茶)」、中国では「腎茶」などとも呼ばれ、副作用のない「健康茶」として親しまれ、血液内の脂肪を取り除く「美容健康茶」として愛飲されている。

コメント

沖縄そばの風景

2006-03-09 09:36:35 | 食文化
◆仲間内で沖縄そば談義をしたことがある。

名護のそばが美味い、いや首里のさくらそばだ、と諸説が入り乱れて結局収拾が付かなくなってまった。

さもありなん。 蓼(たで)食う食う虫も好き好きだ。 所詮は嗜好、好みの問題。

私は断然「どらえもんそば」に勝るそばを知らないと主張した。

・・・が、「どらえもんそば」なんてフザケタ名前のそばしか知らないのでは沖縄そばを語る資格無し、と誰かに一蹴された。

沖縄そばの有名店には地名を付けたものが多い。

那覇そば、名護そば、我部そば、与根そば、宮古そばに、おっと忘れちゃいけない、与那原そば等々。

その意味では「どらえもん」とは随分フザケタネーミングだ。

「どらえもんそば」は宮古そばに分類される。

沖縄そばには、御馴染の三枚肉やカマボコが具として麺の上に乗っている。

宮古そばは一見、丼の上に具の姿がない。

が、心配には及ばない。

麺の下に三枚肉やカマボコが慎ましやかに身を潜めている。

それが宮古そば、・・そう、どらえもんそばなのだ。

どらえもんそばの名前の由来は知らない。  

が、ともかく、先ず麺が美味い。

昔の麺の感触を残している。 麺の下から具が顔を出すのはイナバウアー、・・・じゃなく、イナイイナイ・バー、それはこの際ドウでもよい。

汁が淡白で脂ぎっていない。 その割にダシが利いているのが上品だ。

一昔前、国道58の安謝橋から首里の儀保に向かう道沿いに「宮里そば」という瓦葺屋根の大きなそば屋があった。

そこのそばもあっさりタイプで一定のファンがいた。

が、「やっぱり沖縄そばは味クーターに限る」という客が多く「那覇そば」「我部そば」の「味クーター・タイプ」に押されて結局は閉店してしまった。

その当時は客は殆どウチナンチュだった。

観光客の沖縄そばファンが増えた昨今だったら繁盛していたかも知れない。

一寸時代が早すぎた感がする。

あっさりタイプで現在地元客にも観光客にも人気を呼んでいるそば屋がある。

安謝橋から海側、レクセンターへ行く道沿い左側にある「あじゃず」。

「あじゃず」は安謝洲とア・ジャズをかけた名前で店内には沖縄そば屋らしからぬジャズの調べがいつも流れている。 そのミスマッチも売り物のようだ。


◆我が家の近辺の商店街が消えていくと言う嘆き節を以前に書いた。

久し振りに近くのマックスバリュに行ってみた。

駐車場敷地内にあった回転寿司屋と和食屋が閉店していた。

寂しい限りだ。

和食屋の後に「あがり屋」と言う沖縄そば屋が新開店していた。

この近辺は沖縄そばの激戦地で50メートル先に我部そばがあり、200メートル先にはあの「どらえもん」がある。
 
さらに知る人ぞ知る「高江洲そば」があり「てだこそば」がある。

11時過ぎで昼飯には一寸早かったが新開店を祝して「あがり屋」に入って見た。

女房は普通の「沖縄そば 540円」、私はその店一押しの「あぶりソーキそば 690円」を注文した。

麺は独特の歯ごたえがあるストレート。

あっさりタイプの汁はアグー豚ダシでコクがあって上品な味であった。

「あぶりソーキ」はトロトロに煮込んだソーキ肉を火にあぶり香ばしくして、骨からほぐして、それを別皿に山葵(ワサビ)を添えて出す。 

これを通常どおり丼に入れてそばの具として食するのもよし。

口の中でとろける感触。

添付のワサビにつけて食うのも又変わった美味さであった。

豚のあばら肉を火にあぶり、香ばしく調理した技に店主の工夫が光った。

ワサビを付けて食うあぶりソーキ肉は泡盛の肴にしたら絶品だろうと思った。

メニューはそばの他に沖縄家庭料理が豊富にあった。

一事が万事。 他のメニューも美味そうに思える。

全国チェーン店だけでなく、地元の店が繁盛し長続きしてくれればいいが。


★蛇足1:「ウチナンチュ」:沖縄人のこと。 おきなわ(okinawa)の沖縄訛りは「うちなあ」(uchinaa)。母音の「お(O)」が「う(U)」に変化。子音の「K」が「CH」に変化する。「ちゅ」は人のこと。
因みに「沖縄そば」は方言では「ウチナースバ」と発音する。

★蛇足2:「ソーキ」: あばら。 ソーキ骨(ブニ)はアバラ骨。肋骨。「ソーキそば」は豚のアバラ骨付き肉が具のそば。
女性に現(うつつ)を抜かすことを、「ソーキ骨を抜かれる」と例えることから「ソーキ」とは「正気」からの訛りだという説もある。

★蛇足3:「味クーター」:味にこくがある。 味がこってりしている。

★蛇足4:「アグー」:沖縄土着の黒豚。米軍占領時代までは沖縄豚の主流であったが、日本復帰とともに白豚に取って代わられた。 鹿児島に黒豚の本家を奪われて、最近アグー復活運動が起きている。
因みに「薩摩芋」も本家は沖縄で、鹿児島では薩摩芋の事を琉球芋と呼んでいる。
コメント (2)

マーガリンの恐怖

2006-03-03 12:16:46 | 食文化
沖縄がアメリカ占領時代から引き継いだアメリカ風食文化沢山ある。

豚肉文化に牛肉が加わり「ステーキ」や「ハンバーガ―」にも親しむようになった。

その他にも「(某アメリカ製)マヨネーズ」、「(某アメリカ製)マーガリン」、それに「ランチョンミート」がある。

米国製マヨネーズはキューピーさんに駆逐されつつあるがランチョンミートは「ポーク玉子」としてすっかり沖縄の名物料理に変身してしまっている。

一方のマーガリンは本来のパンに塗って食べるという消費以外にファーストフードの揚げ油等に使われている。

そのマーガリンが今危険な食品だとしてアメリカで騒動が起きているという。

はて、日本ではあまり聞かない話だが・・・・・・。

         ◇         ◇         ◇

沖縄の大衆食堂やコーヒーシャープでは、つい4、5年前までカウンターの上に、山盛りのバターを詰めたタッパ―容器を、サービス用に置いてある店があった。

そこではホカホカのご飯に、たっぷりのバターを塗(まぶ)して美味しそうに食べる、太鼓腹の青年(二才・ニーセー)達をよく見かけた。

昆布の消費量が減ったとの新聞報道がある一方、アメリカ製「バター」が復帰前から今でも食堂や家庭ででも大量に消費されている。

そのせいなのか沖縄の男性は肥満が多く平均寿命も下がっていると言う。

沖縄では特別の場合を除いてバターとはマーガリンの事をさす。

沖縄ではアメリカ製のマーガリンがバターの代名詞のようにして今でも愛用されている。

≪バターは動物油脂が原料なので健康に悪いが、マーガリンは植物油で出来ているので健康によい。≫

長年このように知らされていた。

その健康的な筈のマーガリンが心臓に良くないという。

知らぬが仏とはよく言ったものだ。


          ◇         ◇          ◇


マーガリンは、戦争で物資が不足したときに代用食品として開発され普及した短い歴史しかない。

人造バターとも呼ばれることからもわかるように、化学的に植物油脂を固めて味付けしたもので、バターのように有史以来の人体実験で安全性や危険性が検証されたりしている食品ではない。

ところが、常温では固まるバターに較べ、植物性の油は常温では液体である。

そこで、常温でも一定の硬さを保てるように、水素を加えて化学的な処理を行う。

その過程で出来るのがトランス酸という副産物なのだ。

これが動脈硬化のリスクを高める悪玉コレステロール(LDL)の値を高める一方で、善玉コレステロール(HDL)を低下させる、と報告されている。

日本では、代用バターという経済的理由ではなく、動物性のバターより植物性のマーガリンのほうが健康にいい、特に心臓に不安のある高齢者は、マーガリンのほうがいい、と信じられている。

その、健康に良いはずのマーガリンに、心臓病に悪い悪玉コレステロールを増加させる「トランス酸」が含まれていると言うのだ。

もう一度言おう。 知らぬが仏とは正にこのことだ。


アメリカでは同国心臓病協会推薦の「トランス脂肪酸を含まない」とうたった新しいマーガリンがスーパーの店頭に目立ち始めたようだ。(Transfat free)

が、残念ながら日本ではまだ発売されていない。

アメリカでは、今年1月1日から、食品に「トランス酸」の表示が義務付けられた。

では「トランス酸」とは何か。

自然界には存在しない成分で、普通のバターに較べマーガリンに多く含まれているという。

それが心臓病のリスクを高めるという研究成果が、アメリカで2003年発表されている。

研究は、アメリカの女性8万人を対象に行われた。

トランス酸を摂ったグループは、摂取量が最も少なかったグループに較べ心筋梗塞を起こすリスクが30パーセント高かったと報告されている。

では、どうすれば良いのか。

「米食品医薬品局」は、今年の1月1日からトランス酸の含有量を食品のラベルに明記し実施する事を決めた。ることを決めた。
 
EUでもマーガリンの使用規制が始まっている。

この問題をはじめて報じたのは、週刊朝日の昨年8月5日号だった。

この記事を厚生労働省が知らないはずはない。

「アメリカのホテルではすでにマーガリンが姿を消した」という記事もネットに見えるというのに、厚生労働省は拱手傍観を決め込んでいる。

遅ればせながら日本でも次のような警告の文章がやっと出たが、下記のような緩やかな表現にとどまっている。

【第6次改訂 日本人の栄養所要量】 (厚生省)

『「トランス脂肪酸」は、脂肪の水素添加時に生成し、また反芻胃の微生物により合成され吸収されることから、反芻動物の肉や乳脂肪中にも存在する。トランス酸の摂取量が増えると、血漿コレステロール濃度の上昇、HDL-コレステロール濃度の低下など、動脈硬化症の危険性が増加すると報告されている。』


お上がこのような態度では、自己の責任で自衛するしかない。

トランス酸はマーガリンだけでなく、クッキーに使われる「ショートニング」にも含まれている。

ショートニングは「サクサクさせる、ポロポロにする」という意味だが、植物油を固形油にする過程でトランス酸を抱え込む。

だからトランス酸から身を守るのは容易なことではない。

どこにでも売られているパン、ケーキ、クッキー、ドーナツ、スナック菓子、フライドポテト、------挙げればキリがない。これらにはトランス酸が潜んでいる。

このあたりを業界団体「日本マーガリン工業会」はホームページで次のように反論している。

「欧米に較べ日本人はマーガリンやこれを使った食品の摂取量が少ないので、心配ない」そうだ。

更に詳しくは同ホームページをご覧頂こう。

日本では年間100万人が病気で死んでいる。

死因の第1位は癌、ついで心臓病、脳疾患の順だが、アメリカでは死亡原因の第一位は、心臓疾患だ。

マーガリンやショートニングがこれに貢献している。

日本も、アメリカの通った道を確実にたどっている。

子供の頃からマクドナルドやケンタッキー、ミスタードーナッツで飼育されているようでは、日本でも心臓病が癌を追い抜く日は近い。

なおトランス酸を一番多く含んでいる食品はファーストフード店で御馴染の「ポテトフライ」でインスタント麺のフライもマーガリンの一種だそうだ。

狂牛病問題を含め、国民の生命や安全を本気で守ろうとい気力が、今の日本には感じられない。

風が吹けば桶屋が儲かる、とは落語のネタだがマーガリンを食べて棺桶屋が儲かると言う話には笑ってはおれない。

★蛇足: 沖縄では「コーヒーシャープ」はコーヒーショップの事。
アメリカ人の発音を真似て表記した「コーヒーシャープ」は軽食堂のことで、コーヒーは殆どの店のメニューには無かった。(注文があった場合はインスタントコーヒーで対応していた) 

日本マーガリン工業会
http://www.j-margarine.com/newslist/index.html

コメント (1)