6月25日午前4時、北朝鮮軍が「暴風」(ポップン)の暗号と同時に38度線を越境、南半部への侵攻を開始した。
このことをまったく予測していなかった韓国とアメリカは大きなショックを受けた。
朝鮮半島の北緯38度線にて北朝鮮軍の砲撃が開始された。
が、30分後には約10万の兵力が38度線を突破した。
韓国では前日に陸軍庁舎落成式の宴席があり、軍幹部の登庁が遅れ指揮系統が混乱していた。
大統領への報告は、奇襲後6時間たってからであった。
しかも、T-34戦車を中核にした攻撃により、協定によって対戦車装備を持たない韓国軍は総崩れとなっていた。
・・・・・・と言ってもこれは今から56年前の今日、1950年6月25日早朝の「朝鮮戦争」勃発の状況である。
あれから半世紀以上時は流れ南北対話や太陽政策が話題になり、朝鮮戦争は既に終結した過去のものと思われがちだがこれは大きな過ちである。
国際法上は北朝鮮と米韓は依然として戦争中である。
従って国際法上では未だに「休戦」つまり戦争は継続中であり、一時戦闘を中止しているだけと言う事だ。
朝鮮戦争は依然として継続中である。
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嵐が吹けば雨戸を閉め、雨が降れば傘をさす。 これはごく自然な人間の防御行動。
ところが、「雨戸を閉めるから、嵐が吹くのだ」、「傘をさすから雨が降るのだ」と本末転倒の理屈を述べる人々がいる。
嵐や雨は自然の力だから人間はひたすら防御を考えるが、悪意ある人間が故意に嵐を引き起こし迷惑を撒き散らすとしたら先ず雨戸を閉めて、その迷惑な人に「止めなさい」と言うのが正常な判断だろう。
今回のテポドン騒動については日本のメディアもほぼ正常に判断して「やめなさい」と意見を述べた。
沖縄の地元ニ紙を除いて。
沖縄では「閉された言論空間」が今でも生きている。(「閉された言語空間ー占領軍と戦後日本」江藤淳著 文芸春秋社http://www.amazon.co.jp/gp/product/4167366088/249-9080934-4878720?v=glance&n=465392)
◆「テポドン騒動」は一方的に北朝鮮が仕掛けて来たものであり、北朝鮮のどんな言い訳も通用しない。
これだけ世界の世論が非難する中、仮にテポドン発射を強硬すればどのような対抗手段をとられても文句は無いはずだ。
日本のメディアが「北朝鮮はテポドン発射をやめよ(日経社説 6/19)」、とか「テポドン2号 挑発行為をただちにやめよ(毎日社説 6/20)」と北朝鮮に厳しいのも当然だ。
非は一方的に北朝鮮にあるのだ。
北の無謀な行為を止めるように言うのが当然であろう。
が、沖縄のメディアに関してはこの常識が通用しない。
辛うじて琉球新報が6月23日の社説で「テポドン発射準備・力任せで関係改善はない」と初めてこの問題に触れた。
社説の前段から中段にかけては流石に北朝鮮の方を持つわけにはいかず極めて常識的な意見を述べているが、文末の結論になってくるとどうしても「地」がでてしまう。
≪しかし、六カ国協議が機能不全に陥っている中で、これを真に受けると北朝鮮は考えているのだろうか。打ち上げに使われるミサイル自体を、日米は脅威としてとらえているのだ。イランの核問題と同様、やはり説得力を欠いていると言わざるを得ない。≫
ここまでは未だまともだが、最後がいけない。
≪米政権は、制裁措置を駆使しながら金正日体制を封じ込める強硬路線を敷くとみられる。だが、対話の道筋を放棄するのが賢明な策とは思えない。六カ国協議の枠組みが完全に空中分解する事態だけは避けねばなるまい。
国際関係の打開を力だけに頼ることの無意味さは、イラク情勢を見れば明らかだ。日米韓に中国などを加えた関係国は、冷静な対応を求められていることを再確認してほしい。≫
最後は、一方的に愚かな行為を行おうとする北朝鮮を批判せず、「愚挙は止めろ」と説得する日米韓に「力に頼るのは無意味。冷静な対応を求める」と本末転倒なご意見を披露している。
「力に頼るのは無意味。冷静な対応を求める」と声高に叫ぶ相手が違うのではないか。
それでも琉球新報は未だいいほうだ。
沖縄タイムスとなると、この新聞は既に北の工作員に乗っ取られているのでは無いかという疑念さえ持ってしまう。
沖縄タイムスは「テポドン騒動」には全く無視を決め込んでいたが、テポドンに対する迎撃ミサイル「パトリオリット」の沖縄配備のニュースが入ると同時に反対の論陣を張った。(6月23日社説)
北朝鮮と日米同盟は現在話し合いが途絶えている。
この事実上の戦争状態にある現実には故意に目を瞑り、北朝鮮の立場で日米両国を批判する。
話し合いの席に出てこないの北朝鮮の方だ。
≪日米が検討しているミサイル防衛システム(MD)はまず、敵国から発射されたミサイルをイージス艦に搭載されたスタンダード・ミサイルで大気圏外で打ち落とす仕組みだ。それに失敗した場合にPAC3を発射して大気圏内で迎撃することになる。≫
忠告を無視してミサイルを撃ってくるおそれのある相手は北朝鮮だろう。
だとすればこれを防御する手段を考えるのは国の責任だろう。
が、沖縄タイムスの求める平和は所謂「奴隷の平和」(田英夫の非武装防衛論)、のようだ。
(「テポドンで日本の安全保障を考える」http://blog.goo.ne.jp/taezaki160925/e/306bf574ff56a765d56e
7b49ab3426f8)
後段は沖縄タイムスの「非武装平和論」が炸裂する。
≪嘉手納基地への配備は、北朝鮮が発射準備している長距離弾道ミサイル「テポドン2号」や中国の弾道ミサイルの脅威への抑止が目的というが、要は同基地が標的になる恐れがあるからだろう。そうでなければ沖縄に配備する必然性はないはずだ。
政府は「なぜ嘉手納にか」という県民の疑問にきちんと答えてもらいたい。
沖縄市、北谷、嘉手納両町の三首長は「米軍再編に名を借りた基地強化だ」と怒りを表明している。≫
沖縄タイムスも抗議する相手を間違えているのか、それとも既に北の将軍様に玉を握られてしまって北に向かっては何も言えなくなってしまっているのか。
北朝鮮は「平和目的の人工衛星を打ち上げて何が悪い」と開き直るかもしれない。
だが、事前通告をせずミサイルの推進装置で打ち上げれば国際社会はミサイル発射とみる。
制止を無視すれば、北東アジアの平和と安定を大きく揺るがすのは確実だ。
それによってもたらされる事態の責任のすべてが北朝鮮にあることは言うまでもない。
挑発の最大の狙いは米国を揺さぶることにあるといわれている。
ブッシュは北朝鮮への金融制裁として、米国の銀行に北朝鮮が口座を持つマカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」との取引を禁じた。
これに北朝鮮が反発し、核開発をめぐる6カ国協議への出席を拒否している。
金融制裁によって北朝鮮通貨の対ドル交換レートの下落が加速するなど打撃を受けている。
制裁見直しを求めテポドンで揺さぶりをかけているというのがアメリカの見方だ。
だが、そもそも米国が金融制裁に踏み切ったのは、北朝鮮が偽ドル製造に絡むマネーロンダリング(資金洗浄)をBDAで行っていたとの疑惑があったからだ。
国際常識に反する行為は偽ドル製造だけでない。
覚せい剤の製造、密輸では日本が闇取引の舞台とされている。
北朝鮮の主要産業は偽ドル製造、密輸、麻薬それに人攫(さら)い。
まだある、テポドンによる恐喝、ゆすりたかりだ。
まず、態度を改めるべきは北朝鮮の方だと言うことは明々白々だ。
北に向かって何もいえない沖縄のメディアは北朝鮮と同じ孤立化への道を辿るだろう。
仮に、ミサイル発射に踏み切れば、日朝平壌宣言や米朝合意、さらには6カ国協議の共同声明の精神に背を向けることになる。
北朝鮮が国際社会の中で一層孤立するのは確実だ。
麻生太郎外相とシーファー駐日米大使の会談では、発射すれば「断固たる措置」をとることで一致した。
具体的には北朝鮮制裁のための国連安全保障理事会の開催を求めることになるはずだ。
日本は外国為替・外国貿易法に基づく送金、貿易の停止や特定船舶入港禁止法で「万景峰号」の入港拒否を検討することになる。
北朝鮮に融和政策をとる韓国の盧武鉉(ノムヒョン)政権は困惑しているに違いない。
盧大統領には独自のパイプで自制を強く働きかけてもらいたい。
中国も発射を封じる影響力を発揮してほしい。
日本海に海上自衛隊のイージス艦が出動した。
在日米軍の電子偵察機も朝鮮半島周辺であわただしく偵察飛行を繰り返している。
狂気の行動に走ろうとする隣国の暴挙に備えるのは国の義務だ。
沖縄タイムスも日本の新聞であるならテポドン騒動を契機に、国の安全保障ををじっくり考えて見たらどうだろう。
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◆沖縄タイムス 社説(2006年6月22日朝刊)
[PAC3配備]
負担軽減は掛け声だけか
地元がどう反対しようが、「負担軽減の原則に反する」と怒りを示そうが意に介さないということか。
在日米軍再編に伴う日米の政府間協議で、米側が年内にも最新鋭の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の嘉手納基地配備を伝えたという。
嘉手納基地では自衛隊との共同訓練も最終報告で合意されている。加えてPAC3が配備されれば、周辺住民に新たな負担を強いるのは必至だ。
しかも常駐している電子偵察機RC135による情報収集機能と連動させる狙いがあるという。これでは政府が言う負担軽減に逆行し、基地機能を強化する動きにしか受け取れない。
嘉手納基地では夜間、早朝に戦闘機の離着陸音やエンジン調整で一〇〇デシベル以上(電車通過時の線路脇の騒音相当)の騒音が続くことが多い。
午後十時から翌朝六時までの騒音防止協定さえ守られず、周辺住民の平穏な暮らしは脅かされたままだ。
「現在ですら基地周辺住民は米軍の訓練に恐怖を抱いている。これ以上戦争に結び付く、住民の不安を増幅する兵器の配備は許されない」(田仲康榮嘉手納町議会議員)という切実な声を政府はどう考えているのか。
地域にとって我慢の限界は既に超えている。静かな暮らしを求める住民にこれ以上の負担を強いてはなるまい。
日米が検討しているミサイル防衛システム(MD)はまず、敵国から発射されたミサイルをイージス艦に搭載されたスタンダード・ミサイルで大気圏外で打ち落とす仕組みだ。それに失敗した場合にPAC3を発射して大気圏内で迎撃することになる。
嘉手納基地への配備は、北朝鮮が発射準備している長距離弾道ミサイル「テポドン2号」や中国の弾道ミサイルの脅威への抑止が目的というが、要は同基地が標的になる恐れがあるからだろう。そうでなければ沖縄に配備する必然性はないはずだ。
政府は「なぜ嘉手納にか」という県民の疑問にきちんと答えてもらいたい。
沖縄市、北谷、嘉手納両町の三首長は「米軍再編に名を借りた基地強化だ」と怒りを表明している。
府本禮司県基地防災統括監の「政府は日本の国防をどうするのかということを国民、県民にきっちりと説明した上で協議を進めるべきだ」との発言も的を射ている。
普天間飛行場の危険性除去を先送りした上に、きちんとした議論もないまま新たな負担を強いる政府に不信感は募るばかりだ。日米両政府は、県民との負担軽減の約束を掛け声倒れにしてはならない。
◆琉球新報 社説
テポドン発射準備・力任せで関係改善はない
北朝鮮をめぐる情勢がにわかに緊迫の度合いを強めている。
北朝鮮は、今年に入って人工衛星の発射に備えた動きを加速させていることが分かった。科学者を動員し、軌道の設定や計算作業に着手したと伝えられている。
通常だと人工衛星を打ち上げるだけならば、過剰に騒ぎだてる必要はない。しかし、相手が北朝鮮で、しかも人工衛星を装った長距離弾道ミサイル「テポドン2号」発射となると、緊張をもたらさずにおかない。
これまで北朝鮮は、日米などとの関係が行き詰まる局面では、核開発やミサイル問題を表面化させる戦略を得意としてきた。いわゆる瀬戸際外交だ。今回も局面展開を狙い、「核カード」を切ったいつもの戦術とみられている。
韓国メディアは、打ち上げに備えた北朝鮮情勢について相次いで報じた。聯合ニュースは、18日か19日にミサイルを発射する可能性が高いとの見方で日米韓当局が一致したと伝えた。
テポドン2号は、これまでにない新タイプの多段式ミサイルとされ、米アラスカ州の一部も射程に入るといわれるだけに、米政権が挑発的な行動の自制を強く求めたのは当然だ。打ち上げについて北朝鮮は「平和目的の人工衛星」と説明するだろうとの観測がある。
しかし、六カ国協議が機能不全に陥っている中で、これを真に受けると北朝鮮は考えているのだろうか。打ち上げに使われるミサイル自体を、日米は脅威としてとらえているのだ。イランの核問題と同様、やはり説得力を欠いていると言わざるを得ない。
米政権は、制裁措置を駆使しながら金正日体制を封じ込める強硬路線を敷くとみられる。だが、対話の道筋を放棄するのが賢明な策とは思えない。六カ国協議の枠組みが完全に空中分解する事態だけは避けねばなるまい。
国際関係の打開を力だけに頼ることの無意味さは、イラク情勢を見れば明らかだ。日米韓に中国などを加えた関係国は、冷静な対応を求められていることを再確認してほしい。
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