
ところてんいま一族の腹の中 小菅白藤
一族というのだから家族だけではなく
親戚などもご一緒の景だろうとの思いが浮かぶ
遠忌の集いなのかな
いつも離れている一族が一堂に会して
心太に向かっている
ほのぼのとした空気と心太が
微妙なハーモニーを醸し出している佳句である
(小林たけし)
【心太】 ところてん
◇「心天」(ところてん) ◇「こころぶと」 ◇「こころてん」
天草(てんぐさ)を日に曝し、水に浸して更に干した後、煮溶かして麻袋で漉し、型に入れ冷し固めたもの。四角い棒状に切り出し、心太突きで麺状にしたものに醤油・酢・蜜などをかけて食す。奈良時代から「こころぶと」として記載が見られるが、江戸時代以降には氷屋などで供されて、庶民に広く嗜好されている夏の食べ物。寒天からも作る。
例句 心太
おもざしの風にあふれてところてん 松澤昭
くみおきて水に木の香や心太 髙田正子
くらやみの喉をとほりぬところてん 神生彩史
ところてん煙のごとく沈みをり 日野草城
ところ天一気に押して父となる 吐田文夫
ひるすぎの町音にゐて心太 桂信子
みんな死ぬ暗黒映画ところてん 鈴木砂紅
ネガティブな六区界隈心太 倉持淑子
九分通り肩書はづす心太 田口佐江
おもざしの風にあふれてところてん 松澤昭
くみおきて水に木の香や心太 髙田正子
くらやみの喉をとほりぬところてん 神生彩史
ところてん煙のごとく沈みをり 日野草城
ところ天一気に押して父となる 吐田文夫
ひるすぎの町音にゐて心太 桂信子
みんな死ぬ暗黒映画ところてん 鈴木砂紅
ネガティブな六区界隈心太 倉持淑子
九分通り肩書はづす心太 田口佐江