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もう誰も来ない石段蟬しぐれ 金山桜子
待ち人来たらず
石段で待つことしばし
とっくに時間はすぎている
さきほどまで訝し気な視線を投げかけていた
参内の人影も消えた
もう誰も来ない
これから来ても会う気も失せた
せいせいとしたこの心地よい気分は何故だろう
来ないことを期待していた自分に気づいてしまった
蟬時雨がはやしたてている
(小林たけし)
【蝉】 せみ
◇「油蝉」 ◇「みんみん蝉」 ◇「みんみん」 ◇「熊蝉」 ◇「にいにい蝉」 ◇「蝉時雨」 ◇「唖蝉」(おしぜみ) ◇「初蝉」 ◇「朝蝉」 ◇「夕蝉」 ◇「蝉涼し」
セミ科の昆虫の総称。鳴くのは雄ばかりで、鳴かない雌蝉のことを「唖蝉」(おしせみ)という。梅雨が明ける頃からニイ、ニイと鳴き出すニイニイ蝉、盛夏にジージーと鳴く油蝉、ミーンミーンと高い声で鳴くミンミン蝉、やかましくシャーシャーと鳴く熊蝉、晩夏から初秋の夕暮れ時にカナ、カナと美しい声で鳴く蜩(ヒグラシ)など種類も数も多く、いずれも季節感を演出してくれる。一斉にまるで雨が降るように鳴く蝉の声を「蝉時雨」という。《蝉生まる:夏》《蜩:秋》《つくつく法師:秋》
例句 作者
うす墨で描く全景蟬しぐれ 鈴木夏子
ひたむきの哀しきことぞ蟬時雨 浜田博美
トーストの耳まで焦げて蟬しぐれ 大城戸晴美
今生の今日を狂いて蟬時雨 丹羽麓
原爆のドーム支える蟬時雨 越智愛水
古池や刺客集まる蟬しぐれ 澤田正男
古里の煮こぼれている蟬時雨 宮脇木脩
境内に残る土俵や蟬時雨 岡市順子
うす墨で描く全景蟬しぐれ 鈴木夏子
ひたむきの哀しきことぞ蟬時雨 浜田博美
トーストの耳まで焦げて蟬しぐれ 大城戸晴美
今生の今日を狂いて蟬時雨 丹羽麓
原爆のドーム支える蟬時雨 越智愛水
古池や刺客集まる蟬しぐれ 澤田正男
古里の煮こぼれている蟬時雨 宮脇木脩
境内に残る土俵や蟬時雨 岡市順子