竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

おとがひの上にくちびる夏帽子 石倉夏生

2020-07-06 | 今日の季語


おとがひの上にくちびる夏帽子 石倉夏生

おとがいは
1 下あご。あご。
2 減らず口。また、減らず口をたたくこと。また、そのさま。
「えらい―なわろぢゃ」〈滑・膝栗毛・七〉
とある

掲句は頤、くちびる、夏帽子と視線を転じる動きを詠んだもの
この視線の動きが巧みに詠まれ
夏帽子の主人公を読者に想像させる
そしてその主人公と作者のドラマまでもを・・・・
(小林たけし)

【夏帽子】 なつぼうし
◇「夏帽」 ◇「麦稈帽子」(むぎわらぼうし) ◇「パナマ帽」
夏用の帽子の総称。「麦藁帽」を代表として、日差しを防ぐ目的から鍔の広い物が多い。

例句 作者

かくれんぼ少し覗ける夏帽子 幸田清子
かぶるたびにとられる麦藁帽原爆の記憶 福富健男
しなやかに夏帽子ゆく杉の谿 櫻井博道
それぞれの空持ち寄りて夏帽子 藤田敦子
ただ波を見ているだけの夏帽子 保坂末子
やさしさのすり減つてゆく夏帽子 野木桃花
わが夏帽どこまで転べども故郷 寺山修司
わさび畑見学に来し夏帽子 井口公子
カシニョールの夏帽子来る浜通り 室生幸太郎
ヒロシマに消えに行くため夏帽子 室生幸太郎
ヒロシマの影がかぶさる夏帽子 室生幸太郎