竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

嘘のやう影のやうなる黒揚羽蝶 岩淵喜代子

2020-07-27 | 今日の季語


嘘のやう影のやうなる黒揚羽蝶 岩淵喜代子

黒揚羽が影のようだ
との表意は簡易に思えるが
上5の「嘘のよう」との響きに新しさを感じる
りずむも良くて好句である
(小林たけし)


【夏の蝶】 なつのちょう(・・テフ)
◇「夏蝶」 ◇「梅雨の蝶」 ◇「揚羽蝶」 ◇「揚羽」 ◇「黒揚羽」
単に蝶というと春季になるので、春以外は夏・秋・冬を冠する。夏に見られる蝶は種類が多いが、揚羽蝶に代表格されるようにどこか雄大な印象を受ける。梅雨の晴れ間などに見かける蝶を「梅雨の蝶」と呼ぶ。《蝶:春》

例句 作者

さきぶれは黒揚羽蝶彼が来る 熊谷愛子
山の子に翅きしきしと夏の蝶 秋元不死男
日本海つひに夏蝶見失ふ 日美清史
縁側は家内か外か黒揚羽 宇多喜代子
ヴィーナスの臍深くして夏の蝶 福島壺春
夏蝶や途切れてはまた塩の道 塩野崎巻浪
御真影へ冥く曲がれる黒揚羽 須藤徹
黒揚羽亡き人の魂のせて来よ 中嶋秀子
黒揚羽水の匂ひの法隆寺 あざ蓉子
黒揚羽飛ぶ水滴に映るまで 桂信子