
嘘のやう影のやうなる黒揚羽蝶 岩淵喜代子
黒揚羽が影のようだ
との表意は簡易に思えるが
上5の「嘘のよう」との響きに新しさを感じる
りずむも良くて好句である
(小林たけし)
【夏の蝶】 なつのちょう(・・テフ)
◇「夏蝶」 ◇「梅雨の蝶」 ◇「揚羽蝶」 ◇「揚羽」 ◇「黒揚羽」
単に蝶というと春季になるので、春以外は夏・秋・冬を冠する。夏に見られる蝶は種類が多いが、揚羽蝶に代表格されるようにどこか雄大な印象を受ける。梅雨の晴れ間などに見かける蝶を「梅雨の蝶」と呼ぶ。《蝶:春》
例句 作者
さきぶれは黒揚羽蝶彼が来る 熊谷愛子
山の子に翅きしきしと夏の蝶 秋元不死男
日本海つひに夏蝶見失ふ 日美清史
縁側は家内か外か黒揚羽 宇多喜代子
ヴィーナスの臍深くして夏の蝶 福島壺春
夏蝶や途切れてはまた塩の道 塩野崎巻浪
御真影へ冥く曲がれる黒揚羽 須藤徹
黒揚羽亡き人の魂のせて来よ 中嶋秀子
黒揚羽水の匂ひの法隆寺 あざ蓉子
黒揚羽飛ぶ水滴に映るまで 桂信子
さきぶれは黒揚羽蝶彼が来る 熊谷愛子
山の子に翅きしきしと夏の蝶 秋元不死男
日本海つひに夏蝶見失ふ 日美清史
縁側は家内か外か黒揚羽 宇多喜代子
ヴィーナスの臍深くして夏の蝶 福島壺春
夏蝶や途切れてはまた塩の道 塩野崎巻浪
御真影へ冥く曲がれる黒揚羽 須藤徹
黒揚羽亡き人の魂のせて来よ 中嶋秀子
黒揚羽水の匂ひの法隆寺 あざ蓉子
黒揚羽飛ぶ水滴に映るまで 桂信子