
完璧はかなし祭の縄燃やす 石田よし宏
祭はいっときの狂気でもある
祭に酔いしれるときはみな忘我のなかの非日常を楽しむ
普段とは違う自分に陶酔もする
祭が終わる
祭の小道具だった縄を燃やしている
完全に燃えつきて炎は淋しヘナ灰色に
そして姿はもろくも崩れていく
作者の景と心象のおりなす縄からの煙が目に浮かぶ
(小林たけし)
【祭】 まつり
◇「夏祭」 ◇「祭礼」 ◇「宵祭」 ◇「宵宮」 ◇「夜宮」(よみや) ◇「御輿」(みこし) ◇「渡御」(とぎょ) ◇「山車」(だし) ◇「祭囃子」(まつりばやし) ◇「祭太鼓」 ◇「祭笛」 ◇「祭衣」(まつりごろも) ◇「祭提燈」 ◇「祭髪」
祭は春夏秋それぞれにあるが、単に「祭」といえば夏祭を指す(もともとは京都の賀茂祭(葵祭)を「祭」、その他の神社の祭を「夏祭」として区別していたが、今は夏祭一般を「祭」と呼ぶ)。日本人は天地・自然の中に多くの神々の存在を認め敬い、農事の安定と豊穣を願って神に祈り、感謝を奉げ、1年の無事を共に喜び、それを祭として表現してきた。夏祭はもともと夏に多く発生する自然の災難や疫病から守ることを願い、神に祈るものとして始まった。これに対し、春祭は五穀豊穣の祈願、秋祭は収穫の喜びを祝う意味合いがある。《葵祭:夏》
例句 作者
家を出て手を引かれたる祭かな 中村草田男
山の端のまつりや朴葉しきつめて 丹野禮子
山車太鼓町を違へてひびき合ふ 佐々木渓水
山車見んと大群衆の傾けり 平賀節代
帰る頃祭太鼓の近づきぬ 森野稔
広場に柱立てて祭がやって来る 三苫知夫
村まつり水路一本光らせて 髙尾日出夫
村も都会も等温線の夏祭り 金子徹
村祭り笛に古老の情滾る 駒井水雀
東京の祭の人垣しなうなり 桑原房子
樹の声や祭の果てし夜の空 石田よし宏
家を出て手を引かれたる祭かな 中村草田男
山の端のまつりや朴葉しきつめて 丹野禮子
山車太鼓町を違へてひびき合ふ 佐々木渓水
山車見んと大群衆の傾けり 平賀節代
帰る頃祭太鼓の近づきぬ 森野稔
広場に柱立てて祭がやって来る 三苫知夫
村まつり水路一本光らせて 髙尾日出夫
村も都会も等温線の夏祭り 金子徹
村祭り笛に古老の情滾る 駒井水雀
東京の祭の人垣しなうなり 桑原房子
樹の声や祭の果てし夜の空 石田よし宏