阪神大震災で、大きな行き詰まりに遭い、神戸を離れることにした。実家に事情を云いなんとか、団地に借り住まいさせてもらうことに。ヒロク二さんは、まともな机もなく、ダンボールの箱に本を入れ重しにし、板切れをのせて机にした。
使わない時は、板は壁に立てかけて場所を取らないように。
この机では、大きな作品は無理なので、数々の小品を描いた。文句はもちろんたらたら言うが、言いながらも、夕暮れシリーズの小品が次々出来上がった。わたしは、大学の下宿時代に、みかん箱にパネルをのせて机の代わりにしていたことがあったけれど、これは根性の問題なわけです。ヒロク二さんの友人が遊びに来た時、その友人の方が「やっぱりヒロク二センセイは、凄い!!」とこのアトリエ?を見て呟かれた。今思えば、背水の陣だったのね。と、懐かしく思えるから不思議!