武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

元素智恵子(高村光太郎・智恵子抄より)

2009-06-30 16:40:06 | Weblog

白い夾竹桃の花が積もった、外の仕事台。

元素智恵子(高村光太郎・智恵子抄より)

智恵子はすでに元素にかへった。
わたくしは心霊独存の理を信じない。
智恵子はしかも実存する。
智恵子はわたくしの肉に居る。
智恵子はわたくしに密着し、
わたくしの細胞に燐火をもやし、
わたくしと戯れ、
わたくしをたたき、

わたくしを老いぼれの餌食にさせない。
精神とは肉体の別の名だ。
わたくしの肉に居る智恵子は、
そのままわたくしの精神の極化。
智恵子はこよなき審判者であり、

うちに智恵子の眠る時わたくしは過ち、
耳に智恵子の声をきく時わたくしは正しい。
智恵子はただとしてとびはね、
わたくしの全存在をかけめくる。
元素智恵子は今でもなほ
わたくしの肉に居てわたくしに笑う。


心の中で、智恵子抄の中の詩の一節「智恵子は元素にかへった」という言葉が身に沁みる。ヒロク二さん共々、お世話になった女性が亡くなった。立場も人格もわたしとはずいぶん違う方で素敵な人だ。時々アイコンタクトを交わして交友した。そんな彼女は、元素にかへってしまったのだという思うと寂しい。うまく気持ちを表現できないので、高村光太郎の詩にたくして「鎮魂歌」として捧げたいと思いました。わたしは、仏教でいう輪廻転生や、死後の世界はあると思う派なので、光に包まれていらしゃると思っています。

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