田中雄二の「映画の王様」

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『底抜け大学教授』

2015-12-03 08:29:34 | All About おすすめ映画

『底抜け大学教授』(63)

変身前後のギャップが見どころ



 冴えない風貌の大学教授ケルプは、飲むと筋骨隆々の二枚目に変身する薬を発明。“バディ・ラブ”となって夜な夜な街へと繰り出します。

 監督・主演のジェリー・ルイスはディーン・マーティンとコンビを組んで売り出しました。日本ではこのコンビを「底抜け」と呼んだので、コンビ解散後もルイス主演の映画のタイトルには底抜け~が付きます。

 「ジキルとハイド」を基にしたこの映画の見どころは、もちろんルイスが演じる二役です。変身前後のギャップの大きさが笑えます。

 ルイスはチャップリン(体技)とウディ・アレン(話芸)の間にいたコメディアンなので体技と話芸の両方を繰り出します。

 彼の芸は後進にも大きな影響を与えました。エディ・マーフィはこの映画を『ナッティ・プロフェッサー クランプ教授の場合(96)としてリメイクしましたし、百面相や大げさな動きはジム・キャリーが踏襲していますね。日本ではザ・ぼんちのおさむちゃんがルイスの影響を強く受けています。

 ケルプが心を寄せる女子学生を演じているのがステラ・スティーブンス。彼の妄想の中で、60年代のおしゃれなファッションに身を包みながら、時にはかわいく、時にはセクシーに、何度も変身する彼女の姿も見ものです。

 コメディには妄想も大事な要素の一つなのです。日本語版の近石真介の吹き替えも絶品です。

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