『フラバー』(61)
ディズニーの専売特許の特撮映画
マッド・サイエンティストが、とんでもないものを発明して…という話は『フランケンシュタイン』(33)などをはじめとして、昔からよくあるパターンのものです。
この映画の主人公で大学教授のネッド(フレッド・マクマレー)は「フライング・ラバー=空飛ぶゴム」を発明してしまいます。名付けてフラバーです。このフラバーを巡る珍騒動が特撮を駆使して楽しく描かれます。
今のSFX映画のルーツともいうべき特撮映画は、家族そろって安心して楽しめるという点も含めて、60年代はディズニー映画の専売特許でした。
話の中心は、ネッドと恋人(ナンシー・オルスン)による熟年カップルの結婚話なのですが、その脇に、白人だけのバスケットボールの試合、郊外生活、フラバーに対する軍部の過剰反応など、60年代前半を象徴するような描写が何気なく散りばめられていて興味を引きます。
監督のロバート・スティーブンソンは、この映画のほかにも『メリー・ポピンズ』(64)『シャム猫FBI/ニャンタッチャブル』(65)『黒ひげ大旋風』(68)『ラブ・バック』(69)『ベッドかざりとほうき』(71)など、ディズニーの実写特撮映画の傑作を撮っています。もっと評価されてもいい監督の一人だと思います。
ところで、この映画は97年にはロビン・ウィリアムズ主演で『フラバー』(97)としてリメイクされました。見比べてみるのも楽しいですよ。