田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『THE GUILTY ギルティ』

2019-01-10 08:50:35 | 新作映画を見てみた
 警官のアスガー(ヤコブ・セーダーグレン)は、ある事件をきっかけに、現場を退き、緊急通報指令室のオペレーターを務めていた。ある日、車で誘拐されたという女性からの通報を受けたアスガーは、電話の声と音だけを頼りに、事件解決に挑むことになる。



 スウェーデン出身のグスタフ・モーラーの長編監督デビュー作となったデンマーク映画。トラウマを抱える主人公が、姿の見えない相手と電話を通じて接触するという点では、ハル・ベリーが主演した『ザ・コール 緊急通報指令室』(13)と重なるところもあるが、こちらは、画面に映る主要登場人物はアスガーのみ。しかもカメラは緊急通報指令室から一歩も外に出ない、というところが新鮮に映る。

 モーラー監督が「音声から思い浮かぶイメージは人によって違う。だから一人一人の観客が、異なる人物像を想像するのだ」と語る通り、外の場面や回想を全く入れずに、アスガーと電話の声だけで押し切った“我慢の演出”が、観客の想像力を刺激しながら、ミスリード(誤解)によるサスペンスを生み出すことに成功している。セーダーグレンの見事な一人芝居に加えて、含みを持たせたラストシーンも心に残る。内と外で舞台は異なるが、主人公以外の人物が、ほとんど前面に出てこないサスペンスという点では、スティーブン・スピルバーグの『激突!』(71)を思い出した。
 
 ところで、この映画は、全てがパソコン画面で展開する『search サーチ』とともにサンダンス映画祭で観客賞を受賞したが、両作はユニークなアイデアと脚本の良さで勝負した小品の映画として共通するものがある。

 サンダンス映画祭の観客賞受賞作は、初期の『セックスと嘘とビデオテープ』(89)『ワン・カップ・オブ・コーヒー』(91)『ピクチャー・ブライド』(95)に始まり、最近も『セッションズ』(12)『フルートベール駅で』(13)『セッション』(14)…と佳作揃い。この映画祭の観客賞は信頼に値する。

『ザ・コール 緊急通報指令室』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/85adfdb30ebc7045362526824eb1cd17
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『ウィンチェスター銃'73』

2019-01-10 06:54:27 | 1950年代小型パンフレット

『ウィンチェスター銃'73』(50)(92.8.)



 今年は、図らずも『裸の拍車』(53)『ララミーから来た男』(55)『戦略空軍命令』(55)を、尻取り式に再見し、改めてアンソニー・マン+ジェームズ・スチュワートコンビの魅力を再認識させられた。思えば、この映画がコンビ作の始まりで、自分が初めて見た彼らの映画もこれだった。

 アンソニー・マンの監督作の面白さは、メインストーリーの間に複数のサブストーリーを絡めるところにあると思うが、この映画における、一丁の銃をめぐる人間模様はその最たるものだろう。

 そして、大昔に見た時にも感じたのだが、この映画は主役のスチュワートにも増して、彼に影のように寄り添う相棒役のミラード・ミッチェルが実にいい味を出している。





 

 

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