プロローグ…焼け跡に立ち並んだ夢の殿堂
昭和26年…小津安二郎の早すぎる離陸 同時代から見た『麦秋』『東京物語』『お早よう』
昭和26年…乾いた街を潤したシネ・ミュージカル 『アニーよ銃をとれ』から『雨に唄えば』に見るアメリカの夢と情熱
昭和27年…敗北を認めない戦後型ヒロイン 『風と共に去りぬ』とメロドラマの真実
昭和28年…ヒーロー、一度去ってまた還らず 西部劇『シェーン』の語り残された謎とは
昭和28年…空想科学映画の黎明期 『宇宙戦争』に潜む地上の闇
昭和29年…同時代のベストワンは『二十四の瞳』 『七人の侍』の意外な評価
昭和30年…夜の闇を駆け抜けたフィルム・ノワール 『現金に手を出すな』の戦後型アンチヒーロー像
昭和31年…疾走する裕次郎、戦うグレン・フォード 『太陽の季節』と『暴力教室』の戦後的エネルギー
昭和38年…変容するスリラーの巨匠 『鳥』『マーニー』から解読するヒッチコックの迷宮
エピローグ…スターの花々が開き、世界が魅惑された ヘップバーンとモンローの知られざる真実
評論家、作家としても著名な著者が、自身のコレクションである当時のパンフレットの写真をちりばめながら、1950年代の映画黄金時代のさまざまな映画と出来事を解読していく。その時代をリアルタイムで体験した人にしか書けない生々しさが強みだ。特に『シェーン』とジョンソン群戦争の関係について論じた章が印象に残った。もし自分がこういうものを書くとしたら、やはり70~80年代の映画についてになるだろう。