『歴史は夜作られる』(37)(1997.2.13.)
アメリカの海運王夫人アイリーン(ジーン・アーサー)と、パリのホテルの接客チーフ・ポール(シャルル・ボワイエ)が恋に落ちる。2人は処女航海の豪華客船に乗ってニューヨークからパリに向かうが…。監督はフランク・ボーゼージ。
水上勉が、青函連絡船・洞爺丸の沈没という大惨事に触発されて『飢餓海峡』を生み出したように、この映画も豪華客船タイタニック号の沈没という大事故と無縁ではあるまい。ただ、感心するのは、クライマックスに豪華客船の遭難を持ってくるがために、そこまでに費やされた手練手管の見事さであった。
言い換えるなら、全編が、これ一組の男女を一緒させるためのご都合主義の連続であり、半ば「そんなはずはないよ」と思わせながらも、見事な映画的なテクニック(演出、脚本、撮影、俳優の力…)を駆使して、トータルとしては見る者を乗せてしまうのだ。
何しろ、この映画が作られたのは今からおよそ60年も前のこと。もちろん、豪華客船によるパリ~ニューヨーク間の旅など、限られた人にしか体験できなかったであろうし、高級レストランの接客チーフと大富豪夫人の恋など、絵空事以外の何ものでもなかったはずだ。
つまり、当時の観客にとっては甚だリアリティがない反面、ゴージャスな夢を見るにはもってこいの設定だったのだろう。今、こんな映画を作ったら、時代遅れと言われて、一笑に付されてしまうのが落ちなのではないか。
【今の一言】などと書いていた同じ年の暮れに、ジェームズ・キャメロンの『タイタニック』が公開され、大ヒットを記録したのだから、オレの意見など当てにはならない。
ジーン・アーサーのプロフィール↓
シャルル・ボワイエのプロフィール↓
アメリカの海運王夫人アイリーン(ジーン・アーサー)と、パリのホテルの接客チーフ・ポール(シャルル・ボワイエ)が恋に落ちる。2人は処女航海の豪華客船に乗ってニューヨークからパリに向かうが…。監督はフランク・ボーゼージ。
水上勉が、青函連絡船・洞爺丸の沈没という大惨事に触発されて『飢餓海峡』を生み出したように、この映画も豪華客船タイタニック号の沈没という大事故と無縁ではあるまい。ただ、感心するのは、クライマックスに豪華客船の遭難を持ってくるがために、そこまでに費やされた手練手管の見事さであった。
言い換えるなら、全編が、これ一組の男女を一緒させるためのご都合主義の連続であり、半ば「そんなはずはないよ」と思わせながらも、見事な映画的なテクニック(演出、脚本、撮影、俳優の力…)を駆使して、トータルとしては見る者を乗せてしまうのだ。
何しろ、この映画が作られたのは今からおよそ60年も前のこと。もちろん、豪華客船によるパリ~ニューヨーク間の旅など、限られた人にしか体験できなかったであろうし、高級レストランの接客チーフと大富豪夫人の恋など、絵空事以外の何ものでもなかったはずだ。
つまり、当時の観客にとっては甚だリアリティがない反面、ゴージャスな夢を見るにはもってこいの設定だったのだろう。今、こんな映画を作ったら、時代遅れと言われて、一笑に付されてしまうのが落ちなのではないか。
【今の一言】などと書いていた同じ年の暮れに、ジェームズ・キャメロンの『タイタニック』が公開され、大ヒットを記録したのだから、オレの意見など当てにはならない。
ジーン・アーサーのプロフィール↓
シャルル・ボワイエのプロフィール↓