田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

アデュー、ミシェル・ルグラン

2019-01-27 10:15:01 | 映画いろいろ
 フランシス・レイと共に、フランスの映画音楽界を牽引し、ハリウッドでも活躍したミシェル・ルグランが亡くなった。



 ルグランの音楽は、粋でおしゃれで甘いが哀愁もある。シャンソンとジャズを融合させたような、独特のメロディラインが特徴。

 代表作は、ジャック・ドゥミ監督のフランス製ミュージカル『シェルブールの雨傘』(63)『ロシュフォールの恋人たち』(67)、あるいは、アカデミー賞に輝いたハリウッドでの仕事『華麗なる賭け』(68)『おもいでの夏』(71)『愛のイエントル』(83)などになるのだろう。

 個人的には、クラーク・ゲイブルとキャロル・ロンバードの伝記映画『面影』(76)や、スティーブ・マックィーンの遺作となった『ハンター』(80)、手塚治虫の漫画を市川崑が映画化した『火の鳥』(78)も忘れ難い。

 最近の『チャップリンからの贈りもの』(14)でも、チャップリン映画の音楽を巧みにアレンジし、健在ぶりを示していただけに残念だ。たくさんの名曲を残してくれたミシェル・ルグラン。メルシー、アデュー(で合っているのかな)。
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『大アマゾンの半魚人』

2019-01-27 08:07:17 | 1950年代小型パンフレット

『大アマゾンの半魚人』(54)ほか(1998.4.ユニバーサルホラー大会)



 これまで、どれも断片的には見ていたものの、きちんと見たのは今回が初となった。ベラ・ルゴシ主演の『魔神ドラキュラ』(31)や、『フランケンシュタイン』(31)『フランケンシュタインの花嫁』(35)の2部作(ボリス・カーロフのモンスターの造形はすごい)は、さすがに古めかしく、モンスター映画のルーツといった印象の、以上でも以下でもなかった、というのが正直なところ。

 『ミイラ再生』(32)は、生まれ変わりや、時を超えた愛をきちんと描いており、カーロフの台詞回しのうまさも知らされた。まあ、この4本はトーキーに成り立ての30年代初頭の映画。古くさくない方がおかしい。

 というわけで、期待は1954年に製作された『大アマゾンの半魚人』に託されたのだが、これが意外に拾い物だった。『ジョーズ』(75)のルーツを感じさせる、恐怖をあおるショットの数々…、半魚人の目を借りて、ヒロインのジュリー・アダムスをなめ回すカメラワークの奥に隠された倒錯したエロチシズムなど、水中撮影もなかなかのもの。久しぶりに、ゾクゾクするような秘境物が見られた喜びに浸ることができた。思えば、50年代はこうした映画の宝庫でもあったのだ。この半魚人が、東映の『海底大戦争』(66)の半魚人や「ウルトラQ」「ウルトラマン」のラゴンのルーツでもあるわけだ。

 この後、ジョン・ランディスとミック・ギャリスが、ホラーやモンスター映画の予告編を集めて構成した『カミング・スーン』(83)を再見してホラー大会はお開き。ビデオさまさまである。

【今の一言】昨年のアカデミー賞で作品、監督賞他を受賞した『シェイプ・オブ・ウォーター』は、半魚人が人間社会に現れるということで、この映画の逆パターンなんだな。

【ほぼ週刊映画コラム】『シェイプ・オブ・ウォーター』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/55a13c5a787ef959b6caa090c00a2c9b

ギレルモ・デル・トロ監督へのインタビューはこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1139036

『大アマゾンの半魚人』パンフレット(54・国際出版社)の主な内容
解説/山の怪物…河の怪物/ものがたり/スター紹介(リチャード・カールスン、ジユリア・アダムス)/米・欧の肉体女優列記

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