ドイツからの亡命監督フリッツ・ラングが撮った西部劇。モノクロ版とテクニカラー版がある。主役はランドルフ・スコットではなく、ロバート・ヤング。
さて、このラングのほかにも、ダグラス・サーク、マイケル・カーティス、ルドルフ・マテ、チャールズ・ビダー、ロバート・シオドマーク、ウィリアム・ディターレ…といった、第二次大戦前、ナチスドイツから逃れてアメリカに渡った亡命監督たちがいる。不思議なのは、ビリー・ワイルダーを除いて、彼らが皆西部劇を撮っていることだ。
いきなりアメリカの荒野に行かされて、彼らはどんな気持ちで西部劇を撮っていたのだろうか、という疑問が湧く。そのせいか、この映画も、西部劇にしては妙に思えるところがある。
双葉十三郎さんは「ぼくの採点表」の中で、この映画について「西部劇の醍醐味ともいうべき場面が、思ったほど生きていない。これらは、監督が生粋の“西部魂”を持っているかどうかで決まる問題だろう」と書いている。そういうことなのかもしれない。
『西部魂』
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