田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『MISS ミス・フランスになりたい!』

2021-02-23 13:41:01 | 新作映画を見てみた

男でも女でもないこと

 この映画で、男性であることを隠しながらミスコンに挑むアレックスを演じるのは、ジェンダーを超えた美しさを誇るフランスの美男モデル、アレクサンドル・ヴェテール。そもそも彼の存在なくしてこの映画は成立しない。

 加えて、この映画がユニークなのは、アレックスと同じ下宿に住む、ドラァグクイーン、移民、黒人、孤独な老人といったマイノリティを、彼の周りに配したところだろう。

 特に、皆が集まってアレックスを応援する最後のコンテストのシーンは、あたかも『ロッキー』(76)などのスポーツ映画の盛り上がりを連想させる。この場合、アレックスは彼らの代表であり、代弁者なのだ。

 そして、この映画のテーマである。男でも女でもないこと、性別を超えて、には、ミスコンへのアンチテーゼや皮肉が込められ、理屈っぽいセリフ、議論や主張の場面もあるところが、いかにもフランス映画らしくて面白かった。

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『カポネ』

2021-02-23 12:19:39 | 新作映画を見てみた

毒気に当てられたような嫌な気分になる

 1920年代、禁酒法時代のシカゴで、イタリア系のギャングの親分として名をはせたアル・カポネ(トム・ハーディ)の最晩年を描く。マット・ディロン、カイル・マクラクランが助演。

 梅毒で脳を病んだカポネ(特殊メークで醜悪な姿となったハーディ)の幻覚や悪夢をひたすら暗い画面で見せるこの映画は、まるでスリラーかホラーのようだ。スタンリー・キューブリックの『シャイニング』(80)をほうふつとさせるシーンすらある。

 『クロニクル』(13)や『ファンタスティック・フォー』(15)のジョシュ・トランク監督が脚本も書き、「果たしてカポネは本当に壊れていたのか」という視点から、自らのイメージを表現した映画だけに、質(たち)が悪い。見終わって、毒気に当てられたような嫌な気分になった。『クロニクル』の頃は期待の監督だっただけに、残念な気がしてならない。

 ところで、カポネはよく映画に登場する。例えば、彼をモデルにしたものでは『犯罪王リコ』(31)『民衆の敵』(31)『暗黒街の顔役』(32)などがあり、『暗黒の大統領カポネ』(59)でロッド・スタイガー、『聖バレンタインの虐殺/マシンガン・シティ』(67)でジェイソン・ロバーズ、テレビシリーズ「アンタッチャブル」でネビル・ブランド、そして『アンタッチャブル』(87)でロバート・デ・ニーロが、それぞれカポネを演じている。

 大悪党のギャングが幾度も題材になる理由(時にはヒーローの如く描かれる)は一体どこにあるのかとも思うが、それこそが、アメリカのダブルスタンダードや矛盾、複雑さを象徴しているとも言えるのではないか。

『ファンタスティック・フォー』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/49ffe42c35f96652d16d44d4c0c3ba94

『クロニクル』
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/56321

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「BSシネマ」『バファロー大隊』

2021-02-23 07:10:16 | ブラウン管の映画館

『バファロー大隊』(60)

「フォードがヒッチコックを意識した!?」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/c089727373498741a6cbf7585ac0dff3

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