佐々木朗希の完全試合を見て、思い出した本。彼の場合は、運や偶然がほとんど感じられなかったのがすごかった。
『完全試合-15人の試合と人生』(北原 遼三郎)東京書籍
(1994.2.14.)
完全試合。それはどう達成され、それを行ったピッチャーは、その後の人生をどう生きたか。藤本英雄から槙原寛己まで、全国に取材を敢行したノンフィクション。
偶然見掛けた新聞記事によってこの本と巡り合ったのだが、少々うがった見方をすれば、去年(94年)の槇原(巨人)の完全試合がなければ、日の目を見なかった企画だったのかもしれない。
とはいえ、内容的には、槇原以前に完全試合を達成した14人への取材だけでも、十分なものがあった。そこには、完全試合とは、ちょっとした運や偶然の積み重ね、巡り合わせ、人生の綾などが微妙に絡み合って始めて起こる一種の奇跡だということが書かれ、達成者各々のその後の人生に与えた意味にまで迫っていたからだ。
加えて、この筆者は野球をよく知っていると感じさせるような、試合経過の描写が見事で、それだけでも読み応えがあった。筆者にとっては、地道な取材から出版へとつながるきっかけとなった槇原の完全試合こそが、奇跡の出来事だったといえるのかもしれない。
完全試合を描いた映画『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/22d17e0ac185bc365f650deda217a5ce