田中雄二の「映画の王様」

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『騎兵隊』上映会

2022-04-17 07:15:34 | 俺の映画友だち

『騎兵隊』(59)(2022.4.16.人形町・三日月座)

 以前見直した時には、何かすっきりしなくて、この映画には“フォードの魔法”がないなどと思ったのだが、今回は、なかなかよく出来ているじゃないかと思わされてしまった。

 それは、初めてスクリーンで見たせいか、自分が年を取ったせいか、あるいは、最近、妙にひねったり、屈折した映画ばかり見ているせいか…。恐らくその全てが理由だろう。この映画から、何か悠揚迫らぬものを感じたのだ。

 また、例えば、孫のダン・フォードが書いた『ジョン・フォード伝』のこの映画の件を読むと、「『騎兵隊』はフォードにとって、不快な経験でしかなかった。煩雑な駆け引き、下らない雑用、(プロデューサーの)マーティ・ラッキン相手の再三にわたった論争のつけを回され、(スタントマンの)フレッド・ケネディの死で引導を渡されたようなものだった」とある。

 ピーター・ボグダノビッチの『インタビュー ジョン・フォード』では、フォードはこの映画について「私はこの映画を見ていない」と語っている。

 つまり、フォードにとっては、あまり思い出したくない映画なのだろう。で、そういうことを知った上で、改めてこの映画を見ると、その割にはなかなかよく出来ているじゃないか、ということにもなる。思えば、そう思わせることも、“フォードの魔法”によるものなのかと考え直した。

この映画には“フォードの魔法”がない
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/832b2c307e01964b223d50c1349a1a42

コメント
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