『ハケンアニメ!』(2022.4.20.丸の内TOEI)
地方公務員からアニメ業界に転身し、苦節7年を経て監督となった斎藤瞳(吉岡里帆)は、デビュー作『サウンドバック 奏の石』で憧れの天才監督・王子千晴(中村倫也)と業界の覇権をかけて争うことになる。
王子は過去にメガヒット作品を生み出したものの、その後は沈黙。プロデューサーの有科香屋子(尾野真千子)は、そんな王子の8年ぶりに監督復帰作『運命戦線リデルライト』で大勝負に出る。一方、瞳はクセ者プロデューサーの行城理(柄本佑)や個性的な仲間たちとともに、覇権奪還を目指して奮闘するが…。
直木賞作家・辻村深月がアニメ業界で頑張る人々の姿を描いた同名小説を、『水曜日が消えた』(20)の吉野耕平監督が映画化。
アニメ製作の裏側やハウトゥーを見せながら、創作活動全般に共通する苦悩や喜び、そして熱気を描く。実写はもちろん、アニメの制作も一筋縄ではいかぬことがよく分かる。これは、ある意味“お仕事映画”という言い方もできるだろう。
劇中に登場するアニメは、実際に第一線で活躍するクリエイターたちが手掛け、キャストとして梶裕貴ら、人気声優が多数出演しているということだが、アニメに無知な自分にとってはいま一つピンとこない。
ただ、アニメには門外漢の自分のような者が、劇中アニメの『サウンドバック 奏の石』と『運命戦線リデルライト』を見てみたいと思ったのだから、これはよくできた映画の証しと言ってもいいのではないか。