田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『西洋鏡』

2022-04-16 07:05:36 | 映画いろいろ

 チャン・イーモウ監督の『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』を見て思い出した映画。こちらの方が中国版『ニュー・シネマ・パラダイス』といえるかもしれない。

『西洋鏡』(00)(2009.9.6.)「SHADOW MAGIC」

 1902年の北京。写真館で働くリウ(シア・ユイ)は、訪れたイギリス人レイモンド(ジャレッド・ハリス)が語る“西洋鏡”と呼ばれる動く写真=映画に強い興味を抱く。

 史実とフィクションを巧みに織り交ぜながら、中国で初めて映画を撮り、上映した男たちの姿を描く。監督フー・アン。この映画の京劇の名人や写真師、女形もそうだが、中国映画は総じて脇役がいい。ジャレッド・ハリスはリチャード・ハリスの息子だ。

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巡回映画『消えた声が、その名を呼ぶ』『ロード,ムービー』

2022-04-16 06:46:23 | 映画いろいろ

 チャン・イーモウ監督の『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』を見て、巡回映画が出てくる2本の映画のことを思い出した。

 ファティ・アキン監督の『消えた声が、その名を呼ぶ』(14)で、流浪の主人公が、巡回映画でチャップリンの『キッド』(21)を見る印象的なシーンがあった。

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8e50110c3f7cbf537e97b16d81b5ed63


『ロード,ムービー』(2009.10.23.TOHOシネマズ六本木ヒルズ.東京国際映画祭)

監督:デーヴ・ベネガル

 インド映画と言えば、『大地のうた』(55)『大河のうた』(56)『大樹のうた』(59)のサタジット・レイぐらいしか思い浮かばないが、実はインドは、ハリウッドならぬボリウッドと呼ばれる映画大国。1990年代に『ムトゥ踊るマハラジャ』(95)で一時、日本でも「マサラムービー」ブームが起こったが、自分は乗れなかった。

 さて、この映画。一言で言えば、金持ちのお坊ちゃんの現実逃避ロードムービーなのだが、彼がオンボロトラックに乗って旅をする途中で、少年、謎の老人、ジプシーの女と知り合い、4人旅になっていく様子はまるで桃太郎や金太郎のようでなかなか楽しい。インドの荒涼とした大地の圧倒的な景観が広がるこの旅には、厳しい現実とユーモアが散りばめられている。

 そして、ひょんなことからトラックに積んであったおんぼろフィルムで巡回映画が始まるというのが泣かせる。どこからともなく集る人々の笑顔が印象的だったが、ここには監督の実体験が反映されているという。というわけで『ニュー・シネマ・パラダイス』(98)ほどあざとくないところに好感を持った。

 ところどころに間やテンポの悪さを感じるが、それはハリウッド映画を見慣れてしまった者が抱く勝手な感慨なのかもしれない。幻想的なシーンもあり、ちょっとビートルズの『マジカル・ミステリー・ツアー』(67)を思い出した。

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