『アルプスの若大将』(66)(1992.2.)
若大将こと京南大学の田沼雄一(加山雄三)は、建築学の論文が学会で認められ、ヨーロッパ旅行へ招待されるが、青大将こと石山新次郎(田中邦衛)も同行する。スイスでスキーを堪能した雄一は、航空会社に勤める澄子(星由里子)と知り合う。ヨーロッパ各地で撮影されたシリーズ第7作。
アルベールビルオリンピックに当て込んでの放映。まさに、このシリーズこそは“1960年代東宝明朗路線”の最たるもの。今改めて見直すと、全く屈託がなく、あきれてしまうほどだ。
あの時代は幸せだったとも言えるが、実際は、物質的には今ほど豊かではなく、庶民の多くは、こんな生活を送れるはずもない。つまり、この若大将や植木等の無責任男や森繁久彌の社長といった映画に、庶民は夢を託していたとも思えるのだ。
今回新たに気づいたのは、マドンナの澄ちゃんの持つ嫌らしさだった。彼女が示すあきれるばかりの身勝手さは、今の勘違い女性たちにも通じるものだから、そうした意味でも、このシリーズは時代を先取りしていたのかもしれない。
【今の一言】今回の放映は田中邦衛追悼だという。