今回のお題は『白昼の決闘』(47)(1974.6.26.水曜ロードショー)
南北戦争終結後のテキサス。インディアンの母を殺した白人の父スコット(ハーバート・マーシャル)が刑死し、孤児となったパール(ジェニファー・ジョーンズ)は、大牧場主マキャンレス夫妻(ライオネル・バリモア、リリアン・ギッシュ)に引き取られる。
パールをめぐる、マキャンレス家の兄ジェシー(ジョセフ・コットン)と弟ルート(グレゴリー・ペック)の愛と確執、鉄道の利権をめぐる争い、親子の対立を、雄大な西部の風景をバックに描く。
ほかに、ウォルター・ヒューストン、チャールズ・ビックフォード、ハリー・ケリー、ジョアン・テッツェル、バタフライ・マックィーン、オットー・クルーガーらが出演。ちなみにペックとビックフォードは後に『大いなる西部』(58)でも共演している。
製作当時、『風と共に去りぬ』(39)『レベッカ』(40)などで、ハリウッドを代表する敏腕プロデューサーの一人とされた、デビッド・O・セルズニックが製作と脚本を担当し、妻のジョーンズを使って、第二の『風と共に去りぬ』を目指したとされる。
監督は、ウィリアム・ディターレ、シドニー・フランクリン、ジョセフ・フォン・スタンバーグら、6人が入れ代わり立ち代わりし、最後はベテランのキング・ビダーがまとめた(『風と共に去りぬ』のビクター・フレミング的な役割か)。脚本はノンクレジットも含めるとベン・ヘクトら4人、撮影もリー・ガームス、レイ・レナハン、ハロルド・ロッスンと、3人の名前がクレジットされている。音楽はディミトリ・ティオムキン。このあたりはセルズニックの意向が反映された結果なのだろうが、これではうまくまとまるはずがない。
というわけで、馬や地形を生かした素晴らしいシーンもあるのだが、ここまでスタッフがごちゃごちゃしていると、それは一体誰が撮ったシーンなのか、あるいは、一貫性のないストーリー展開もそのせいなのかと考えさせられる。
この映画をテレビで初めて見たのは中学生の頃。ちょうど『子鹿物語』(46)を見たばかりだったので、それとはあまりにも違うペックの姿を見せられて、困惑した覚えがある。
というか、偏執狂的な登場人物による家族劇とヒロインの女の性(さが)を描き込んだこの映画は、西部劇としては甚だ異色だ。何より、ヒロイン・パールの支離滅裂ぶりに付いていけないし、ジョーンズが、やたらと目を動かしたりして、ひどく無理をして演じているようにも見える。この映画の最大の弱点は、彼女のミスキャストにあるのではないかと思うのだ。
同じセルズニック製作、ジョーンズ主演作では、『ジェニイの肖像』(47)や『終着駅』(53)のような正統派メロドラマの方が、彼女の魅力が引き出されている気がする。
『ジェニイの肖像』
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