今日のBSシネマはジョン・カーペンター監督の『エスケープ・フロム・L.A.』(96)。メモが残っていなかったので、その代わりに、
『要塞警察』(76)(1987.6.7.)
移転を間近に控えた警察署に、ストリートギャングに追われた男が逃げ込んでくる。ギャングたちは警察署を完全包囲。黒人警官は、わずかな署員と署に収容されていた凶悪犯と協力し、ギャングたちに立ち向かう。
この映画は、ハワード・ホークス監督の『リオ・ブラボー』(59)を下敷きにしているという。なるほど、大人数に少人数が立ち向かう戦いの面白さやスピード感はちゃんと踏襲して、上出来な映画に仕上げていると思った。
加えて、これがジョン・カーペンターのデビュー2作目と聞けば、ニューシネマ以降の監督たち(スピルバーグ、ルーカス、ミリアス、デ・パルマ…)の、先達を尊敬し、模倣しながら、自分なりの形にして、新たな映画を作り出すという共通性が浮かんでくる。彼らが、旧作を否定することをエネルギーとし、時代に敏感だったニューシネマの波を越えていったのだ。
その意味でも、この映画はジョン・カーペンターという監督の資質を知るには外せない一本だと言えるだろう。オースティン・ストーカーが演じたタフな主人公は、『ニューヨーク1997』(81)や『遊星からの物体X』(82)のカート・ラッセルに通じるし、得意のバイオレンス描写のルーツもここにある、と言ってもいいだろう。いずれにせよ、ある監督の初期の映画というのは、いろいろと勘繰りたくなるものらしい。
【今の一言】カーペンターは、よっぽど『リオ・ブラボー』が好きとみえ、この映画のほか、火星を舞台とした『ゴースト・オブ・マーズ』(01)、セルフリメークの『アサルト13 要塞警察』(05)と三度リメークしている。