田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『オデッサ・ファイル』

2020-09-07 06:54:48 | 映画いろいろ
『オデッサ・ファイル』(74)(1979.11.4.日曜洋画劇場)
 
   
 
 1963年のハンブルグ。ルポ・ライターのミラー(ジョン・ボイト)は、元ナチスSS隊員たちによる秘密組織“オデッサ”の存在を知る。ミラーは、オデッサへの復讐を企てているグループと知り合い、厳しい訓練を経てオデッサに潜入するが…。
 
 原作は『ジャッカルの日』(73)のフレデリック・フォーサイス、監督は『ポセイドン・アドベンチャー』(72)のロナルド・二ーム、ジョン・ボイト熱演のサスペンス劇。『ジュリア』(77)では温厚な人物を演じたマクシミリアン・シェルが、一転、冷酷な元収容所長を演じている。姉のマリア・シェルもミラーの母親役で顔を出す。ナチスの力はいまだ衰えず、と思わされる怖さを持った映画だ。
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スピルバーグ関連映画のノベライズ本

2020-09-06 11:30:41 | ブックレビュー

 本を整理していたら、スピルバーグ関連映画のノベライズ本が出てきた。

 

『E.T.』(82)ウィリアム・コツウィンクル
『トワイライトゾーン/超次元の体験』(83)ロバート・ブロック
『グレムリン』(84)ジョージ・ガイプ
『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』(85)アラン・アーノルド
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)ジョージ・ガイプ
『グーニーズ』(85)ジェームズ・カーン
『世にも不思議なアメージング・ストーリー1・2』(86)スティーブン・バウアー
『ニューヨーク東8番街の奇跡』(87)ウェイランド・ドルー
『ハリーとヘンダスン一家』(87)ジョイス・トンプスン
『インナー・スペース』(87)ネイサン・エリオット
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(89)クレイグ・ショー・ガードナー
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』(90)クレイグ・ショー・ガードナー
『アラクノフォビア』(90)ニコラス・エドワーズ

 このうち、著名な作家はブロックだけで、後の人はどういう経歴なのか全く分からない。皆、いわゆる雇われライターだったのか。『未知との遭遇』(77)の著者は一応スピルバーグの名義になっているが、実際はどうなのだろう。

 実はスピルバーグの監督作には原作のあるものが多い。これも、彼の映画は文系だと感じさせる大きな要因の一つだろう。

『激突!』(71)リチャード・マシスン
『ジョーズ』(75)ピーター・ベンチリー
『カラー・パープル』(85)アリス・ウォーカー
『太陽の帝国』(87)J・G・バラード
『ジュラシック・パーク』(93)マイケル・クライトン
『シンドラーのリスト』(93)トーマス・キニリー
『A.I.』(01)ブライアン・オールディス
『マイノリティ・リポート』(02)フィリップ・K・ディック
『宇宙戦争』(05)H・G・ウェルズ
『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』(11)エルジェ
『戦火の馬』(11)マイケル・モーパーゴ
『リンカーン』(12)ドリス・カーンズ・グッドウィン
『BFG: ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』(16)ロアルド・ダール
『レディ・プレイヤー1』(18)アーネスト・クライン

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松竹蒲田撮影所開設100周年「蒲田映画祭」

2020-09-06 08:01:05 | 雄二旅日記

 毎日新聞の朝刊に、松竹蒲田撮影所開設100周年「蒲田映画祭」の記事が載っていた。
https://www.o-2.jp/cinepara/

蒲田はなじみのある地なので、こんな記事を書いたことがあった。

昔、蒲田に撮影所があった!
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/fe80248c282e657a221aae268907683e

マイ・シネマパラダイス・カマタ
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/4394f9fd93f2873eb9cf7af27552f7be

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『ウィル・ペニー』

2020-09-05 12:16:43 | 映画いろいろ

『ウィル・ペニー』(68)(1976.3.10.水曜ロードショー)

シネフィルWOWOWで再見。ウィル・ペニーよりも年上になった今改めて見ると、感慨深いものがあった。

 初老のカウボーイ、ウィル・ペニー(チャールトン・ヘストン)が直面する現実を丹念に描いた渋い西部劇。ジョーン・ハケット母子とのふれあいと別れも描かれ、日本では「第二の『シェーン』」として宣伝された。

 アクションや史劇の大型スターというイメージが強いヘストンにとっては、異色作とも言えるだろうが、彼はもともと舞台の人だから、意外と演技派なのだ。

 監督・脚本はテレビ出身のトム・グライス。ヘストンは「これまでに出会った脚本の中でも素晴らしい作品の一つ。最高の西部劇」とし、新人のグライスに監督をさせたという。ヘストンはよっぽど気に入ったのか、『ナンバーワン物語』(69)『大洋のかなたに』(70)でもグライスとコンビを組んだ。

 冬の風景を見事に映し込んだルシアン・バラードの撮影、デビッド・ラクシンの音楽もなかなかいいが、ラストの歌はなかった方がよかったと思う。

 この映画は、“70年代脇役天国”の男たち=リー・メジャース、アンサニー・ザーブ、ブルース・ダーン、スリム・ピケンズ、クリフトン・ジェームズ、ロイ・ジョンソン、GD・スプラドリン、ルーク・アスキュー、マット・クラーク、ウィリアム・シャラートらに、ベテランのドナルド・プレザンスとベン・ジョンソン(『シェーン』つながりか)が混ざって出てくるところも面白い。

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「金曜ロードショー」『君の膵臓がたべたい』

2020-09-04 07:22:23 | 映画いろいろ

今日の日テレ「金曜ロードショー」は『君の膵臓がたべたい』(17)
もう3年前になるのか。

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/954c56b02eff903ec700e1bad94523f2

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『拳銃王』

2020-09-04 07:12:34 | ブラウン管の映画館

『拳銃王』(50)

 

 西部きっての早撃ちガンマン、ジミー(グレゴリー・ペック)は、別れた妻(ヘレン・ウエスコット)と息子と、もう一度やり直そうと町へやって来る。町が騒然となる中、彼は旧友の保安官マーク(ミラード・ミッチェル)を通して妻と再会しようとするが、彼に恨みを持つ3人組が町に近づいていた…。

 ジミーのモデルは、実在した伝説のガンマンのジョニー・リンゴ。本人はもう足を洗いたいのだが、早撃ちとして有名であるが故に、闘いを挑まれ続ける。そんな男の悲劇を、珍しくひげを生やしたペックが演じる異色西部劇。

 20年後に盛んに作られた、暗い背景と屈折した主人公を持つ、ニューシネマ西部劇群の元祖のような映画。監督のヘンリー・キングは、この映画のほかにも『頭上の敵機』(49)『キリマンジャロの雪』(52)『無頼の群』(58)でペックと組んでいる。 

 また、この映画の、カール・マルデン、リチャード・ジャッケルほか、個性的な脇役たちの中でも、最も気になるのが、ジミーの旧友の保安官を演じたキューバ生まれのミラード・ミッチェルという名脇役。この映画のほかにも、『頭上の敵機』(49)『ウィンチェスター銃'73』(50)『雨に唄えば』 (52)『裸の拍車』(53)などで、必ず主人公の横にいる重要な役を印象深く演じた。

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「おひかえあそばせ」石立鉄男

2020-09-03 12:59:26 | 映画いろいろ

 今、チャンネルNECOで、ドラマ「おひかえあそばせ」(71)の再放送をやっている。

 このドラマは、日本テレビとユニオン映画が製作した、脚本・松木ひろし、音楽・大野雄二、石立鉄男出演によるホーム・コメディの第一作。

 この後、「気になる嫁さん」(71~72)「パパと呼ばないで」(72~73)「雑居時代」(73~74)「水もれ甲介」(74~75)「気まぐれ天使」(76~77)「気まぐれ本格派」(77~78)と続いた。

 ちょうど自分が小学校の高学年から中学、高校にかけての頃に放送され、その後も繰り返し再放送されたので、よく覚えている。松木脚本の笑いと涙の人情噺も、大野の音楽も、石立が演じたキャラクターも、いい女優たちも、達者な脇役たちも、みんな大好きだった。

 脚本の松木は、トニー・カーチスやロック・ハドソンのように、喜劇の出来る二枚目俳優を探しており、石立がそのイメージにぴったり合ったという。

 今、髪形がちょっと似ている大泉洋を使ってリメークしてみては、などと夢想してみるが、大坂志郎や花沢徳衛、名古屋章や谷村昌彦、山本紀彦といった、脇を固める人たちの代わりがいないことに気付かされ、寂しい気分になる。

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『鉄道員』

2020-09-03 07:09:01 | 1950年代小型パンフレット

『鉄道員』(56)『SCREEN特別編集』文化の泉シネマアベニューvol.2(2012.3.1.)



パンフレット(58・池袋劇場)の主な内容は
ピエトロ・ジェルミ監督/かいせつ/ものがたり/エドアルド・ネヴォラ、ルイザ・デラ・ノーチェ、シルヴァ・コシナ/鉄道員のついて(津村秀夫)

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『映画の森』★名ぜりふシリーズ【後編】『ローマの休日』「人生は思うようにならない」転載

2020-09-02 15:19:31 | 映画の森

「KyodoWeekly」7月27日号から★名ぜりふシリーズ【後編】『ローマの休日』「人生は思うようにならない」共同通信のニュースサイトに転載

https://www.kyodo.co.jp/national-culture/2020-09-02_3083436/

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『アジャストメント』

2020-09-02 07:02:37 | ブラウン管の映画館

『アジャストメント』(2011.4.15.東宝東和試写室)

 原作はフィリップ・K・ディックで、原題は「アジャストメント・ビューロー=運命調整局」。全ての人の運命は謎の集団によって操作され、調整されている。謎の集団の正体は神に遣わされた天使たちなのか…。好きになった女性(エミリー・ブラント)との仲を執拗に引き裂こうとする彼らに、マット・デイモン扮する若手政治家が懸命に抗うというのが大筋。

 全体としては、すれ違いの恋愛劇とSFミステリーを併せたような形になっている。筋が分からない間は、この後はどうなるとわくわくさせられるが、途中から展開が支離滅裂になり、最後は失速してしまう。

 『ブレード・ランナー』(82)のアンドロイド、『トータル・リコール』(90)の模造記憶、『マイノリティ・リポート』(02)の予知能力者、そして本作の運命調整局など、ディックの原作は魅力的なアイデアにあふれているから、一見、映画化しやすいように思える。

 例えば、本作のドアを開けたら別の場所という、ドラえもんの「どこでもドア」にも似たシーンは、確かに映画だからこそ表現できるものではある。

 だが、ディックの作品の核となる支離滅裂で観念的な部分は、想像力を必要とする文学的な表現には向くが、視覚に訴える映像には向かないと思う。実際、本作も含めて、アイデア倒れで中途半端な出来になってしまった映画の方が多い気がする。

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