「じゃぁ、参りましょうか。」軽く微笑んで、親族の方にも声をかけ喫茶室へ向けて歩いてゆく。何とスマートな人なのだろうか。
喫茶室に入ると、大きなガラス窓の向こうに枯山水が見事な日本庭園が見え、喪服姿のお客さん数人が静かに話しこんでいた。温かな日差しの当たる窓辺の席の前で止まった登志子さんは皆を手招きして、私たちはそちらへ向かった。
「じゃあ、かけましょうか。」その言葉で皆が腰かけた。まるで魔法をかけられたようだ。そう思っていたら、天沢君が「雫も座ったら。」と言われて、我に返りあわてて腰かけた。
皆が揃ってコーヒーを頼むと、店員さんはカウンターに戻り、丁寧にコーヒーを入れ始めた。しばらくするとコーヒーの香ばしい香りが漂ってくるのが分かった。私は気を取り直して、初対面のご親族に自己紹介をした。すると西さんのお兄さんの奥さんも甥っこさんも私の事を知っていたようで、「あなたが雫さんでしたか。」とおっしゃってくださった。
その言葉にとても安心し、ようやく腰が落ち着いた。
「雫さん。さっきの続きだけれど、「地球屋」を営んでいる時のお父さんは、どんな人柄だったのかしら。」
登志子さんが私に質問すると、皆が一斉に私に注目した。これはきちんと答えなくてはと思い、今までの事を回想しながら私が見てきた18年という月日の中の西さんとの想い出を一生懸命に話した。
分かってはいたけれど、話せば話すほど西さんの存在が私にとってどれだけ大切であったかを改めて思い知らされてしまった。そしてもっと西さんの話にも耳を傾けておくべきだったと後悔した。
一息ついて顔を上げると、皆は「うん。うん。」と頷き、話に聞き入ってくれていたみたいだった。
恥ずかしくなってしまって思わず下を向いたら、横にいた天沢くんが「大丈夫だよ。雫。」と声を掛けてくれた。
喫茶室に入ると、大きなガラス窓の向こうに枯山水が見事な日本庭園が見え、喪服姿のお客さん数人が静かに話しこんでいた。温かな日差しの当たる窓辺の席の前で止まった登志子さんは皆を手招きして、私たちはそちらへ向かった。
「じゃあ、かけましょうか。」その言葉で皆が腰かけた。まるで魔法をかけられたようだ。そう思っていたら、天沢君が「雫も座ったら。」と言われて、我に返りあわてて腰かけた。
皆が揃ってコーヒーを頼むと、店員さんはカウンターに戻り、丁寧にコーヒーを入れ始めた。しばらくするとコーヒーの香ばしい香りが漂ってくるのが分かった。私は気を取り直して、初対面のご親族に自己紹介をした。すると西さんのお兄さんの奥さんも甥っこさんも私の事を知っていたようで、「あなたが雫さんでしたか。」とおっしゃってくださった。
その言葉にとても安心し、ようやく腰が落ち着いた。
「雫さん。さっきの続きだけれど、「地球屋」を営んでいる時のお父さんは、どんな人柄だったのかしら。」
登志子さんが私に質問すると、皆が一斉に私に注目した。これはきちんと答えなくてはと思い、今までの事を回想しながら私が見てきた18年という月日の中の西さんとの想い出を一生懸命に話した。
分かってはいたけれど、話せば話すほど西さんの存在が私にとってどれだけ大切であったかを改めて思い知らされてしまった。そしてもっと西さんの話にも耳を傾けておくべきだったと後悔した。
一息ついて顔を上げると、皆は「うん。うん。」と頷き、話に聞き入ってくれていたみたいだった。
恥ずかしくなってしまって思わず下を向いたら、横にいた天沢くんが「大丈夫だよ。雫。」と声を掛けてくれた。