昨日行われた平成22年度 公認会計士試験(第Ⅱ回短答式試験)
の早稲田大学の会場では主任試験官を担当させていただきました。
私の担当教室は主任試験官以下
副主任試験官1名、補佐官3名で対応しました。
試験終了時に忘れ物チェックで
「お守り」が一つ落ちていました。
心あたりのある受験生はお問い合わせくださいね。
私も、忘れ物をしないよう、記憶あるうちに書いておきます。
◆国家試験の作業を段取りする方法
国家試験の試験監督業務は、大学勤務の頃に経験した
センター試験以来でしたが、段取り感覚はすぐに戻りました。
試験監督というと、普通のイメージでは
「テストで先生が生徒のカンニングを見張っている」
くらいではないかと思います。あとは
「問題用紙と答案用紙を配って回収するだけ」
というイメージですよね。
国家試験は全国規模で同時に行われるということから
一番大きなポイントは『試験の公平性』です。
このための試験監督要領(マニュアル)が存在しています。
『試験の公平性』というのは
受験者がどこの会場で受験しても同じ条件、同じ時間で
執行されなければならないということです。
◆たとえ蒸し暑くなっても空調は切りました。
『試験の公平性』ということを実感したのは1限目の試験からです。
試験本部から各試験教室に指示のメモが届けられました。
(以下の文言は記憶の範囲です)
↓
試験環境を同じにするために今回、空調は使用しません。
使用している場合は至急停止してください。
↑
昨日の試験日は雨が振っていて、蒸し暑い環境でしたがそれでも
空調は切らざるを得ません。空調の換気は窓を開けて対応しました。
空調の利いた教室と、空調設備のない教室が混在していたので
このような対応になりました。公平な試験環境を守るのですね。
◆試験問題の訂正方法(正確に1分後!)
今回、1限目の『企業法』試験で問題訂正がありました。
この訂正アナウンスにも本部からの指示メモがきて
↓
試験開始の1分後に発言すること(重要)
「試験問題に訂正箇所がありますので、これから試験問題の訂正を行います」
(2回繰り返すこと)
↑
1限目は10:30開始でしたので、正確に10:31にこのアナウンスを
行うことが「試験の公平性」ですね。
タイミングが遅れると
場合によっては当該教室の受験生に有利・不利が生じることになります。
◆時間に厳密な段取りの手順から
以前、昭和天皇が訪問された、というある施設を見学したことがあります。
その施設の展示資料の中に「警察による警備資料」がありました。
天皇陛下が施設のどの部分に『何時何分何秒』に立ち寄るのか、
という事を詳細に記入した順路図があり、その時間に狂いなく警備できる
警官の配置図があったように記憶しています。
あまりに細かいタイムスケジュールなのにびっくりしたものです。
国家の象徴行動には秒刻みの『国家管理』があるのですね。
国家試験の開始や終了の時刻指示も、本部で試験官が秒針を合わせて
その時間を正確に厳守することが最優先されます。
日本全国で同一時間に同一の作業手順で実施するということを
人間の作業で執り行うためには、過去の経験値から積み重ねられた
知恵の集積があるという気がしています。
◆人間の組織プログラミング
一定の時間に正確に、安全確実に、業務を遂行するための手順
というのは個性や創造性を発揮する仕事とはまったく異なるものです。
時間管理されたり束縛されることが嫌いな人にとっては耐えられない
ものかもしれません。
しかし世の中の仕事の基盤は、こうした通常作業の繰り返しから生じるもの。
慣れておかないといけないものでもあります。
このルーティンワークをきちんとこなすことは何になるのでしょう?
金融の世界ではこのことを『信用創造』といいます。
金融業界では、お金を大切に扱っているという『信用』をつくることが
仕事の基本になります。そのためには
・時間を守る。約束を守る。
・順番を違えず、正確と公平を期す。
という地道な作業の積み重ねこそ
見えない『信用』を作り上げる行動につながります。
◆信用を作り上げ、そこから個性を創造していこう。
公認会計士の試験会場で忘れ物となったのが
「お守り」というのは象徴的でした。
「お守り」は
見えないものへの信用・信頼・祈りの象徴なのです。
受験生の努力に応じて受験生を守り、試験が終わった瞬間に
役目を終えたように自分から去っていったものかもしれません。
国家試験に象徴されるものは地道な作業の積み重ねです。
時間を守り、手順を守り、公平な努力をなすことを
もしあきらめて放棄してしまったら
見えない『信用』を作るということの放棄につながります。
『お守り』の効用をなぜ多くの人が信じているか?
それは見えないものを無意識に人は信じているからでしょう。
『信用』というものも、目に見えないものなのです。
『信用』を作るために、我々は何をしたらよいのか。
このヒントが、主任試験官から皆さんへの問いかけです。
一緒に考えましょう!
それでは今週も。
の早稲田大学の会場では主任試験官を担当させていただきました。
私の担当教室は主任試験官以下
副主任試験官1名、補佐官3名で対応しました。
試験終了時に忘れ物チェックで
「お守り」が一つ落ちていました。
心あたりのある受験生はお問い合わせくださいね。
私も、忘れ物をしないよう、記憶あるうちに書いておきます。
◆国家試験の作業を段取りする方法
国家試験の試験監督業務は、大学勤務の頃に経験した
センター試験以来でしたが、段取り感覚はすぐに戻りました。
試験監督というと、普通のイメージでは
「テストで先生が生徒のカンニングを見張っている」
くらいではないかと思います。あとは
「問題用紙と答案用紙を配って回収するだけ」
というイメージですよね。
国家試験は全国規模で同時に行われるということから
一番大きなポイントは『試験の公平性』です。
このための試験監督要領(マニュアル)が存在しています。
『試験の公平性』というのは
受験者がどこの会場で受験しても同じ条件、同じ時間で
執行されなければならないということです。
◆たとえ蒸し暑くなっても空調は切りました。
『試験の公平性』ということを実感したのは1限目の試験からです。
試験本部から各試験教室に指示のメモが届けられました。
(以下の文言は記憶の範囲です)
↓
試験環境を同じにするために今回、空調は使用しません。
使用している場合は至急停止してください。
↑
昨日の試験日は雨が振っていて、蒸し暑い環境でしたがそれでも
空調は切らざるを得ません。空調の換気は窓を開けて対応しました。
空調の利いた教室と、空調設備のない教室が混在していたので
このような対応になりました。公平な試験環境を守るのですね。
◆試験問題の訂正方法(正確に1分後!)
今回、1限目の『企業法』試験で問題訂正がありました。
この訂正アナウンスにも本部からの指示メモがきて
↓
試験開始の1分後に発言すること(重要)
「試験問題に訂正箇所がありますので、これから試験問題の訂正を行います」
(2回繰り返すこと)
↑
1限目は10:30開始でしたので、正確に10:31にこのアナウンスを
行うことが「試験の公平性」ですね。
タイミングが遅れると
場合によっては当該教室の受験生に有利・不利が生じることになります。
◆時間に厳密な段取りの手順から
以前、昭和天皇が訪問された、というある施設を見学したことがあります。
その施設の展示資料の中に「警察による警備資料」がありました。
天皇陛下が施設のどの部分に『何時何分何秒』に立ち寄るのか、
という事を詳細に記入した順路図があり、その時間に狂いなく警備できる
警官の配置図があったように記憶しています。
あまりに細かいタイムスケジュールなのにびっくりしたものです。
国家の象徴行動には秒刻みの『国家管理』があるのですね。
国家試験の開始や終了の時刻指示も、本部で試験官が秒針を合わせて
その時間を正確に厳守することが最優先されます。
日本全国で同一時間に同一の作業手順で実施するということを
人間の作業で執り行うためには、過去の経験値から積み重ねられた
知恵の集積があるという気がしています。
◆人間の組織プログラミング
一定の時間に正確に、安全確実に、業務を遂行するための手順
というのは個性や創造性を発揮する仕事とはまったく異なるものです。
時間管理されたり束縛されることが嫌いな人にとっては耐えられない
ものかもしれません。
しかし世の中の仕事の基盤は、こうした通常作業の繰り返しから生じるもの。
慣れておかないといけないものでもあります。
このルーティンワークをきちんとこなすことは何になるのでしょう?
金融の世界ではこのことを『信用創造』といいます。
金融業界では、お金を大切に扱っているという『信用』をつくることが
仕事の基本になります。そのためには
・時間を守る。約束を守る。
・順番を違えず、正確と公平を期す。
という地道な作業の積み重ねこそ
見えない『信用』を作り上げる行動につながります。
◆信用を作り上げ、そこから個性を創造していこう。
公認会計士の試験会場で忘れ物となったのが
「お守り」というのは象徴的でした。
「お守り」は
見えないものへの信用・信頼・祈りの象徴なのです。
受験生の努力に応じて受験生を守り、試験が終わった瞬間に
役目を終えたように自分から去っていったものかもしれません。
国家試験に象徴されるものは地道な作業の積み重ねです。
時間を守り、手順を守り、公平な努力をなすことを
もしあきらめて放棄してしまったら
見えない『信用』を作るということの放棄につながります。
『お守り』の効用をなぜ多くの人が信じているか?
それは見えないものを無意識に人は信じているからでしょう。
『信用』というものも、目に見えないものなのです。
『信用』を作るために、我々は何をしたらよいのか。
このヒントが、主任試験官から皆さんへの問いかけです。
一緒に考えましょう!
それでは今週も。