
朝刊配達の人とすれ違ったり追い越されしながらのウオーキング。この数日は最低気温はマイナス3℃前後の冷え込み。錦川を跨ぐ橋の鉄製欄干は霜がこびり付いているよう。風は冷たい。
いつも家からおよそ3㌔の三叉路で折り返す。そこから先はしばらく民家が途絶え竹林のトンネルになる。その三叉路には大きな街路灯があり一帯は場違いな明るさが広がっている。
三叉路の真ん中で動く何かがいる。このあたりには捨てられたネコが多い。「随分太ったネコだ」と思いながら近づいた。足音に気づいたか見上げた顔は子狸だった。
近づいても恐れる様子もなく餌を探す仕草を続ける。薄っすらと雪化粧したアスファルトの道に餌は見当たらない。狸は家族連れということを思い出したが周りにそれらしき姿はない。親狸とはぐれたのだろうか。
そうだ写真を撮らなくては、いつも持ち歩くデジカメの電源を入れた。この邪心に気づいたか、くるりと向きを変えそばの獣道を上っていった。カメラを構えたときに姿は見えなかった。獣道へ向かってシャッターを押した。撮れた雑草は空しそうだった。
これまで猪、いたち、ムササビは見かけたが狸は初めてだった。猪を初めて見たのは公園の菖蒲が咲く少し前だった。突然の水音に菖蒲池を見ると黒い塊が駆け抜けていた。猪と分かったときこれが猪突猛進かと思った。それからすぐに「猪に注意」の立札が立ち今も立っている。このときはカメラを持っていなかった。
小鳥や虫をはじめ四季の出会いは沢山ある。狸のように思わぬ出会いがあるから早朝ウオーキングは止められないかもしれない。
(写真:我家に10数年住む狸家族)