昼食には少し早い時間だがドアを押した。水仙の匂いが漂っている。「山口県最南端のレストラン瀬里家へようこそ」のカレンダーが置いてあった。メニューの丁寧な説明に負け1日4食限定のランチに決めた。
聞かれるままに「幾つかのブログを見て訪れた」事を話す。この答えの人も多そうだ。上盛山展望台への道を尋ねた。地図を指しながら途中にある河津桜も見られたらと進められた。伊豆にあるその桜は映像で見たことはある。
坂道を登った山頂では白い水仙が迎えてくれ疲れを癒される。ここにある灯台に似た展望台。そこからは360度の眺望、遠くは四国連山も見えるそうだが霞んでいた。眼下の瀬戸内海は真青で穏やか。
真新しい取付け道を入るとすぐに上関城址公園入口。そこは河津桜のほかは何も植えられていない。開花は1分ほどだろう。5枚の円形の花弁の淡い色合いと青空のコントラストは言いようがない。「昨年は2月10日に咲いていた。あと1週間か10日したら見ごろ」とビデオを回されていた地元の人の話。
河津桜は、寒緋桜と早咲き大島桜の自然交配で誕生した。1955年伊豆半島で偶然発見された。発見者の努力で66年に咲き始めたという。この桜の咲き始めてからの歳月よりも自分のこれまでの歳月のほうが長い。何か考えることがありそうだ。
(写真:優しい色合いの河津桜)