
雑草1本も生えていない畑。そこになすびが植えられている。定規や測量器を使われた、そんな錯覚を呼びそうな丁寧な植え方がされている。苗の背丈も同じに見える。
よくもまあ、と眺めていてその仕掛けに気づいた。畝に敷かれたシートの中心線に一定間隔の表示がされていた。その表示にしたがって植えられている。それにしても丁寧な仕事に驚いた。
見事な一列縦隊を眺めながら、少し前に見た園児の整列を思い出した。
「はい、それではきちんと並びましょう」。表通りへ聞こえていた賑やかな園児の声が止んだ。立止まって門の内をみた。
数十人ほどの園児が整列をしていた。肩の高さに上げた手を前の友達の肩近くに伸ばした子が何人かいる。整列の仕方を習っているのはこの春園児になった年少さんだろうか。先生が両肩を抱き話しながら列をつくっている。慣れた姿に見えた。
それなりの列が整うのにそれほど時間は要らない。短い時間だがお喋りをする園児がいなかったことに驚いた。園の躾のよさだろうか感心していたら体操が始まった。
あの園児らが、いつの日か真直ぐな国づくりのため働いてくれたら、整列の仕方を教えた先生が喜ばれるだろう。そんなことを思いながら、収穫量はいかほどだろうかと、夢の無い現実に戻った。
(写真:図面の上に植えられたようななすび)