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ある新聞社の「紅葉だより」という読者の撮った写真募集があり、先日、その入選作数編が発表された。いづれも紅葉のよさを表現されていた。銀杏を手前にアップ、紅葉遠景に撮られた作品が良かった。その入選作のうち2編がなんと吉香公園の紅葉谷で撮られた作品だった。驚いた。
そんな紅葉谷にこの秋は散歩も含めて青葉のころから数回足を運んだ。最盛期、紅葉狩に訪れた人が多い日には、見上げて歩かれたり、撮ったりで、ちょっとした渋滞も見られるほど賑わっていた。
見ごろを過ぎたある日、そこを通り通りかかった。紅葉がその姿を消し掃き清められた道にはあのころの華やいだ景色はなく、午後の日が一人ぼっちで留まっていた。紅葉の熱は来秋まで見られない。
紅葉谷を後にし、きょろきょろしながら歩いていた。濃い緑の葉陰に白い花を見つけた。それはびわの花、夏のころに橙色に熟した実を恵んでくれる。紅葉ばかりに目やレンズが向いている間にもほかの自然は休むことなくその営みを続けている。改めて感心する。
定年という大きな区切り、毎日が日曜日になった。時々は日々を思い返して見なければ、びわの花に刺激された午後のウオーキングだった。
(写真:豊に実をつけそうなびわの花)